介護ヘルパーの資格「介護職員初任者研修」をハローワークで取得するには?
「介護ヘルパーの資格をハローワークで取得したい」
「選考試験があるって聞いたけど、どういった内容なの?」
「ハローワークで取得するメリットやデメリットはある?」
ハローワークでは、介護ヘルパーの資格の一つ「介護職員初任者研修」を取得することができます。
しかし、初めてハローワークを利用する人にとっては、不安が多いのではないでしょうか。
今回「みーつけあ」では、介護職員初任者研修をハローワークで取得する、メリットやデメリットについて紹介します。
取得条件や、選考試験のコツについても触れていきます。せひ、参考にしてください。
ハローワークの職業訓練について
ハローワークは、正式名称を「公共職業安定所」といいます。職業紹介や、雇用対策などを、国が運営する機関です。
「職業訓練(ハロートレーニング)」では、就職活動で役に立つスキルや知識を、ほとんど無料(テキスト代は自己負担)で取得することができます。
厚生労働省の公式ページには、介護職を希望する人の訓練事例も公開されています。
利用するには、ハローワークの窓口で手続きを行わなければいけません。
その後、書類選考および筆記試験・面接といった「選考試験」に合格する必要があります。
「介護ヘルパーの仕事に就きたいけど、資格は持っていない」という人や、「なるべく安く資格を取得したい」という人には便利な制度です。
介護ヘルパーの資格をハローワークで取得する条件
職業訓練を利用すれば、講座費用や交通費を国が負担してくれます。しかし、誰でも無料で受講できるわけではありません。
無料で受講できるのは、現在仕事をしておらず、求職中であることが条件です。
仕事をしている人でも職業訓練を受けることはできますが、その場合は有料コースとなります。
また、求職中の人が受けられる職業訓練は、「公共職業訓練、求職者支援訓練」の2種類です。
それぞれについて紹介していきます。
(1)公共職業訓練
公共職業訓練は、雇用保険を受給している求職者を対象にした職業訓練です。
就職に必要なスキルや知識を身につけたり、資格を取得するための講座を無料で受講できます。
訓練期間は、3ヶ月〜1年ほどです。より細かい訓練コース、地域ごとの訓練情報は、厚生労働省の「ハロートレーニング コース情報検索」や「地域毎の訓練情報」をご参考ください。
(2)求職者支援訓練
求職者支援訓練は、雇用保険を受給できない求職者を対象にした職業訓練です。
他にも、収入が一定額より低い在職者であれば、給付金を受給しながら訓練を受講できます。
万が一、給付金の支給要件を満たしていなくても、無料の職業訓練を受講することは可能です。
求職者支援訓練の活用要件は、主に以下の内容となっています。
・訓練受講の要件
- ハローワークの窓口で申し込みをしていること。
- 雇用保険被保険、雇用保険受給資格がない人。
- 働く意思と能力が備わっていること。
- 職業訓練といった支援活動が必要だと、ハローワークが認めていること。
・給付金の支給要件
- 本人の収入が月8万円以下であること(シフト制で働く人は月12万円以下※注1)。
※注1:2021年9月末までの特例。 - 世帯全体の収入が月25万円以下であること。
- 世帯全体の金融資産が300万円以下であること。
- 現住居以外に土地・建物を所有していないこと。
- 全ての訓練実施日に出席できること(やむを得ない場合も8割以上は出席すること)
- 世帯の中で、同時に給付金を受給しながら訓練を行っている人がいないこと。
- 過去3年以内に、不正の行為の給付金支給を受けていないこと。
参考:求職者支援制度のご案内|厚生労働省
※2021年5月現在のデータ。
本記事では、「求職者支援制度」を中心に、話を進めていきます。
求職者支援訓練|受講手続きの流れ
求職者支援訓練の受講手続きは、以下の流れとなります。
- ハローワークへ求職の申し込みをする。
- ハローワークで職業相談を受ける。
- 募集期間内に受講申込手続きを行う。
- 受講申込書を提出する。
- 面接や筆記試験などの選考試験を受ける。
- 合格通知が届いたら、就職支援計画書の交付を受ける。
- 職業訓練を受講する。
訓練期間中や訓練修了後の3ヶ月間は、求職者支援制度が継続します。
就職が決まっていない場合は、引き続き月に1度の職業相談を行いましょう。
介護ヘルパーの資格「介護職員初任者研修」をハローワークで取得するメリット
介護ヘルパーの資格をハローワークで取得する大まかな流れや、要件・条件は理解できたでしょうか。
ここからは、介護職員初任者研修をハローワークで取得するメリットとして、以下の4つを紹介します。
- 介護業界は仕事が豊富
- 受講料が安い
- 就業サポートが受けられる
- 給付金をもらえる可能性がある
メリットを理解することで、より安心して受講することができるでしょう。
メリット1.介護業界は仕事が豊富
介護職員初任者研修をハローワークで取得すれば、求人に困らず、安定して仕事に就くことが可能です。
というのも、介護業界は常に深刻な人手不足が続いています。
2020年8月に行われた、第182回社会保障審議会による資料では、訪問介護職の有効求人倍率は15倍を超えていました。
2019年時点で、施設介護員の有効求人倍率が4.31倍に対し、訪問介護職は15.03倍です。
また、約8割の事業所が、「介護ヘルパーの不足を感じている」という結果になっています。
今後、介護業界の需要はさらに高まる一方であり、「安定して続けられる仕事に就きたい」と考えている人におすすめの職業です。
メリット2.受講料が安い
介護ヘルパーの資格をハローワークで取得するメリットとして、受講料がほとんど無料であることが挙げられます。
地域や講座によっても異なりますが、介護職員初任者研修の受講料は「5万円〜10万円」ほどです。
受講料が自己負担にならないのは、大きな魅力といえるでしょう。
メリット3.就業サポートが受けられる
ハローワークは、職業紹介や雇用対策も行っています。
職業訓練で介護職員初任者研修を取得できるだけではなく、自分の希望する就職先を探してもらい、就職斡旋(就職あっせん)をしてもらうことが可能です。
厚生労働省資料によると、2020年4月〜5月のハローワークを通じた再就職状況は、介護サービスがもっとも多くなっています。
ただし、求職者支援制度が継続するのは、訓練修了後3ヶ月です。有効活用しましょう。
メリット4.給付金をもらえる可能性がある
求職者支援制度は、給付金の支給要件を満たしていれば10万円の給付金が支給されます。
介護職員初任者研修の受講料が無料とはいえ、テキスト代は自己負担です。
しかし、給付金が支給されれば、およそ1万円〜3万円のテキスト代を差し引いても十分余ります。
支給要件を満たしている人は、積極的に利用するべきでしょう。
介護ヘルパーの資格「介護職員初任者研修」をハローワークで取得するデメリット
介護ヘルパーの資格を、ハローワークで取得するメリットについて紹介しました。
しかし、ハローワークを利用する上で、必ず理解しておかなければいけないデメリットもいくつかあります。
本記事で取り上げるデメリットは、以下のとおりです。
- 選考試験の倍率が高い
- 資格の取得に時間がかかる
- スケジュールが固定されている
- 求人の質に関する失敗談もある
それぞれ紹介します。
デメリット1.選考試験の倍率が高い
ハローワークにおいては、介護職員初任者研修の資格を取得できる職業訓練の選考試験は倍率がとても高いです。
そのため、面接や筆記試験といった選考試験の段階で落ちてしまう人が多くなっています。
事前に介護職員初任者研修について下調べをしていたり、明確な志望動機が決まっていない場合には、選考試験で不利になるケースがあるため注意が必要です。
デメリット2.資格の取得に時間がかかる
選考試験の倍率が高いことで、計画どおりに話が進まず、資格の取得に時間がかかってしまうことがあります。
また、介護職員初任者研修は最短1ヶ月で取得ができる民間スクールが多いのに対して、ハローワークの場合は3ヶ月以上かかってしまうのです。
「すぐに資格が必要」と考えている人には、やや不向きな環境といえるでしょう。
デメリット3.スケジュールが固定されている
ハローワークの介護職員初任者研修は、不定期で開催されています。そのため、自分の都合に合わせてスケジュールを決めることができません。
また、いざ講座を開始しても、平日の9時〜17時頃まで拘束されてしまいます。
民間スクールに比べると、融通が利かない点もデメリットといえるでしょう。
デメリット4.求人の質に関する失敗談もある
あくまで一例ではありますが、ハローワークで扱っている求人の質が低いという失敗談があります。
SNS上では、以下のような口コミがありました。
- ハローワークは介護の素人がやっているから、あまり施設見学もしないし情報が少ない。
- ハローワークに通っていたときは、ほぼ派遣の仕事しか選択肢がなかった。
もちろん、ハローワークで扱っている全ての求人が悪いというわけではありません。
「質の低い求人が混じっている」ということも、念頭に置いておきましょう。
介護ヘルパーの資格をハローワークで取得するなら志望動機が重要
介護ヘルパーの資格をハローワークで取得するメリット・デメリットについて触れてきました。
時間に余裕があり、なるべく費用をかけたくないのであれば、ハローワークを利用したいと考える人もいるでしょう。
しかし、選考試験に合格できなければ、職業訓練を受けることができません。
選考試験を有利にさせるためには、「志望動機」が重要なポイントです。
- 志望動機をはっきりさせる
- 介護の仕事を選んだきっかけをアピールする
- 事前に介護職員初任者研修について理解しておく
ここからは、選考試験のコツについて、いくつかポイントを紹介します。
ポイント1.志望動機をはっきりさせる
選考試験の面接では、介護の仕事に就きたい意向と、介護職員初任者研修を取得して活躍したいという意思を、はっきりと伝えましょう。
面接の段階で就きたい職種が定まっておらず、介護ヘルパーとして働くのに必要な資格も把握していないという状況では、選考試験が不利になります。
明確に働く意思を提示することで、面接を有利に進められるでしょう。
ポイント2.介護の仕事を選んだきっかけをアピールする
介護の仕事に就きたい理由をアピールすることで、より信ぴょう性を高めることができます。
些細なきっかけでも問題ありません。
「何となく介護の仕事に興味があった」と説明するのではなく、「親の介護が必要になったとき、自分でもスキルや知識を身につけたいと感じた」といった理由が好ましいでしょう。
重要なのは、「本当に介護の仕事をしたいという理由がある」ことです。
ポイント3.事前に介護職員初任者研修について理解しておく
「熱意だけをアピールできればよい」というわけではありません。
介護の仕事がしたいのに、介護職員初任者研修について何一つ把握していなければ、「本当に興味があるのだろうか?」と疑われてしまいます。
介護職員初任者研修は、介護の基礎知識と技術を身につけられる資格です。介護の仕事をするのであれば、必ず必要になります。
介護資格について詳しく知りたい人は、以下の記事もご参考ください。
>>介護ヘルパーの資格とは?初任者研修・実務者研修との違いや内容を解説
給付金を民間スクールに利用することも可能
求職者支援制度を利用した場合の話をしてきましたが、ここからは雇用保険を受給できる場合の話も紹介します。
もし、雇用保険を受給できるのであれば、「教育訓練給付制度」を利用できます。
教育訓練給付制度とは、厚生労働大臣が指定する一般教育訓練を修了した場合に、受講料の20%(上限10万円)が支給される制度です。
一般教育訓練給付金は、以下に該当する人が対象となります。
- 受講開始日に、雇用保険の支給要件期間が3年以上(初めて支給を受ける人は、当分の間1年以上)であること。
- 受講開始日に被保険者でない人のうち、被保険者資格を喪失した日(離職日の翌日)以降、受講開始日までが1年以内(適用対象期間が延長された場合は最大20年以内)であること。
- 前回の教育訓練給付金の受給から、今回の受講開始日前までに3年以上(※注)経過していること。
※注:2014年10月1日前に、教育訓練給付金を受給した場合はこの取扱が適用されない。
参考:教育訓練給付制度|ハローワークインターネットサービス
以上3点に該当する人が、厚生労働大臣が指定する一般教育訓練を修了することが給付の条件となります。
対象となる講座は、「厚生労働大臣指定教育訓練講座 検索システム」から確認してください。
民間スクールであれば、費用はかかりますがハローワークより時間の融通が効きます。
また、すぐに受講が開始できたり、最短1ヶ月で修了できるといった恩恵を受けられるでしょう。
まとめ:介護ヘルパーの資格をハローワークで取得する前に必ず確認しよう!
介護ヘルパーの資格をハローワークで取得するには、大きなメリット・デメリットがあることを理解いただけたのではないでしょうか。
資格の取得までに、ある程度時間をかける余裕があり、かつ費用をなるべく減らしたいのであれば、ハローワークの利用を検討してみるとよいでしょう。
なるべく早く資格を取得したいのであれば、教育訓練給付制度を利用したり、自ら民間スクールに挑戦してみるのもおすすめです。
介護ヘルパーの事業所によっては、働きながら介護職員初任者研修を修了できる場所もあります。
自分に合った方法で、介護職員初任者研修の修了を目指しましょう。