介護ヘルパーの資格による給料の違いや資格手当について徹底比較
「介護職員初任者研修を取得すると給料は上がるの?」
「実務者研修や介護福祉士と資格手当に違いはあるの?」
介護ヘルパーとして働くうえで、資格によって給料が異なるのかは気になりますよね。
上位資格を取得すれば、給料を底上げすることが可能です。
今回「みーつけあ」では、介護ヘルパーの資格による給料の違いや、資格手当について紹介します。
「介護職員初任者研修、実務者研修、介護福祉士」の給料相場を知ることで、自分が取得するべき資格を、明確に把握できるでしょう。
介護ヘルパーの資格について
介護ヘルパーの代表的な資格は、「介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)、実務者研修、介護福祉士」の3種類です。
資格によって、講習内容や学べるカリキュラムが異なります。
初めて介護資格を取得する人は、入門資格ともいえる「介護職員初任者研修」の取得を目指しましょう。
また、「介護福祉士」は介護業界唯一の国家資格です。
取得すれば活躍できる現場が幅広くなるため、介護業界で活躍したい人が最終的に目標とするべき資格といえるでしょう。
まず始めに、これらの資格内容について紹介します。
それぞれの資格内容を理解して、自分が目指すべき資格を見つけてみてください。
介護職員初任者研修
介護職員初任者研修は、介護の仕事をする上で最低限必要な知識や技術を身につけることができる資格です。
元々は「ホームヘルパー2級」と呼ばれており、訪問介護員を養成するための資格でした。
2013年の介護保険法の改正によって、ホームヘルパー2級は廃止され、現在は「介護職員初任者研修」として位置づけられています。
介護職員初任者研修は、訪問介護・施設介護のどちらでも活かせる研修内容となっているのが特徴です。
・介護職員初任者研修の研修内容について
介護職員初任者研修の研修時間は、130時間となっています。
主な研修内容は以下のとおりです。
1.職務の理解 | 6時間 |
2.介護における尊厳の保持・自立支援 | 9時間 |
3.介護の基本 | 6時間 |
4.介護・福祉サービスの理解と医療との連携 | 9時間 |
5.介護におけるコミュニケーション技術 | 6時間 |
6.老化の理解 | 6時間 |
7.認知症の理解 | 6時間 |
8.障害の理解 | 3時間 |
9.こころとからだのしくみと生活支援技術 | 75時間 |
10.振り返り | 4時間 |
合計 | 130時間 |
これらの講義・演習を修了した後、1時間ほどの修了試験が行われます。
試験内容は各スクールによって異なりますが、一般的には選択問題30問、記述問題が2問です。
合格率は、公表されていません。ネット上では「難易度は低い、9割以上は合格している」と言われています。
研修を真面目にこなして、ちゃんと復習をしていれば合格できる難易度といえるでしょう。
実務者研修
実務者研修は、より専門的な介護知識や技術を学べる資格です。
元々は「ホームヘルパー1級」と呼ばれていましたが、ホームヘルパー2級同様に廃止されました。
実務者研修は、介護職員初任者研修を修了していなくても受講が可能です。
また、さらに上位資格を目指すために必要な資格でもあり、サービス責任者として働くための要件でもあります。
「介護業界でキャリアアップを目指している」という人には、必須の資格といえるでしょう。
・実務者研修の研修内容について
実務者研修の研修時間は、450時間です。
ただし、すでに介護職員初任者研修を修了している場合は、一部の研修内容を省けます。
つまり、介護職員初任者研修で学んだ130時間分は免除となり、残りの320時間の研修のみとなるわけです。
同様に、「旧ホームヘルパー1級・2級・3級」を取得している場合でも、免除される項目があります。
これらを踏まえた、主な研修内容は以下のとおりです。
内容 | 無資格者 | 旧ホームヘルパー1級 | 旧ホームヘルパー2級 | 旧ホームヘルパー3級 |
---|---|---|---|---|
人間の尊厳と自立 | 5時間 | ◯ | ◯ | ◯ |
社会の理解I | 5時間 | ◯ | ◯ | ◯ |
社会の理解II | 30時間 | ◯ | 30時間 | 30時間 |
介護の基本I | 10時間 | ◯ | ◯ | 10時間 |
介護の基本II | 20時間 | ◯ | ◯ | 20時間 |
コミュニケーション技術 | 20時間 | ◯ | 20時間 | 20時間 |
生活支援技術I | 20時間 | ◯ | ◯ | ◯ |
生活支援技術II | 30時間 | ◯ | ◯ | 30時間 |
介護過程I | 20時間 | ◯ | ◯ | 20時間 |
介護過程II | 25時間 | ◯ | 25時間 | 25時間 |
介護過程III (スクーリング) | 45時間 | 45時間 | 45時間 | 45時間 |
発達と老化の理解I | 10時間 | ◯ | 10時間 | 10時間 |
発達と老化の理解II | 20時間 | ◯ | 20時間 | 20時間 |
認知症の理解I | 10時間 | ◯ | 10時間 | 10時間 |
認知症の理解II | 20時間 | ◯ | 20時間 | 20時間 |
障害の理解I | 10時間 | ◯ | 10時間 | 10時間 |
障害の理解II | 20時間 | ◯ | 20時間 | 20時間 |
こころとからだのしくみI | 20時間 | ◯ | ◯ | 20時間 |
こころとからだのしくみII | 60時間 | ◯ | 60時間 | 60時間 |
医療的ケア | 50時間 | 50時間 | 50時間 | 50時間 |
合計時間 | 450時間 | 95時間 | 320時間 | 420時間 |
出典:実務者研修|厚生労働省
同資料では、実務者研修の修了要件について、以下のように公表しています。
1.修了認定の対象となる内容の時間数は修了認定科目の時間数以上であること
2.実務者研修カリキュラムにおける「教育に含むべき事項」が含まれていること
3.到達目標に到達していることを評価すること
2021年5月現在、実務者研修に修了試験の実施は義務づけられていません。
しかし、各スクールによっては学習内容の確認として試験を行っている場合があります。
介護福祉士
介護福祉士とは、「社会福祉及び介護福祉士法」に定められた国家資格です。
いわゆる、介護業界におけるリーダー的存在として、活躍できる資格とも言えます。
また、介護福祉士の上位資格には、「一般社団法人 認定介護福祉士認証・認定機構」が、2015年より認証・認定を開始した民間資格の「認定介護福祉士」という資格もあります。
・介護福祉士の資格の取得するには?
介護福祉士の資格を取得するには、「実務経験ルート・養成施設ルート・福祉系高校ルート」の3つの方法があります。
介護施設で働きながら国家試験を受けたいのであれば、実務経験ルートが主流です。
ただし、受験を受けるには以下の条件があります。
- 実務経験が3年以上ある。
- 実務者研修を修了している。
厚生労働省の「第33回介護福祉士国家試験合格発表」によると、介護福祉士の合格率は、2021年3月の発表時点で71.0%です。
介護業界のエキスパートとして活躍していきたい人は、最終的に介護福祉士を目指してみるとよいでしょう。
介護ヘルパーの資格による給料の違い
では、それぞれの資格によって、給料相場はどのように違っているのでしょうか。
取得している介護資格によって、給料には差が出てきます。
なぜなら、担当できる仕事の幅や、資格手当が異なるからです。
ここからは、厚生労働省の「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」を参考にして、それぞれの給料を比較していきます。
「給料を底上げしたい」と考えている人は、参考にしてください。
介護職員初任者研修の給料相場
介護職員初任者研修の平均給与額は、301,210円です。
2019年2月は285,800円となっており、15,410円ほど増加しています。
また、無資格者の平均給与額は275,920円です。介護職員初任者研修の資格を取得するだけでも、25,290円も給料が増加していることが分かります。
介護職員初任者研修を取得すれば、より時給の高い「身体介護」の仕事ができる点も、給料の底上げに繋がっているのではないでしょうか。
実務者研修の給料相場
実務者研修の平均給与額は、303,230円です。
2019年2月は288,890円となっており、14,340円ほど増加しています。
介護職員初任者研修に比べると、2,020円ほど増加していますが、大きな差はありません。
これは、「仕事内容はさほど変わらないものの、資格手当による違いがあるのでは?」と考えられますね。
介護福祉士の給料相場
介護福祉士の平均給与額は、329,250円です。
2019年2月は313,590円となっており、15,660円ほど増加しています。
介護福祉士になると、実務者研修に比べて26,020円と大きな差がみられました。
仕事の幅が広がったことによる昇給や、資格手当の増加によって、給料が大きく上昇したといえるでしょう。
介護業界で給料を底上げしたいのであれば、介護福祉士を目標にしてみてはいかがでしょうか。
介護ヘルパーの資格手当による給料の違いは?
介護ヘルパーは、資格手当による給料の違いも少なからずあります。
しかし、実際には資格手当がない事業所があることも事実です。
「介護福祉士等現況把握調査」では、介護福祉士の資格手当は平均10,802円となっています。
明確な資格手当の金額は公表されていないものの、介護職員初任者研修なら2千円〜5千円、実務者研修なら5千円〜1万円ほどの資格手当がもらえるようです。
あくまで平均的な資格手当のデータとなっていますが、少しでも給料をアップさせたいのであれば、キャリアアップを検討してみてはいかがでしょうか。
介護ヘルパーの資格による給料は施設介護と訪問介護で変わる?
介護ヘルパーは、主に訪問介護がメインの仕事となります。
では、施設介護と比較すると、給料の違いはあるのでしょうか。
本記事では、「介護老人福祉施設と訪問介護事業所」を、各資格ごとに比較してみました。
厚生労働省の「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」を参考にして、それぞれの給料を比較していきます。
施設介護と訪問介護の平均給与額
施設 | 資格なし | 介護職員初任者研修 | 実務者研修 | 介護福祉士 |
介護老人福祉施設 | 301,760円 | 332,390円 | 325,230円 | 361,890円 |
訪問介護事業所 | – | 307,410円 | 310,430円 | 314,440円 |
資料によると、全体的に介護老人福祉施設のほうが、給料が高くなっていることが分かりました。
無資格者と介護福祉士の平均給与額に関しては、約6万円ほどの違いがあります。
なお、実務者研修の方が介護職員初任者研修よりも給料が低くなっていますが、両者の集計対象数が3倍近く異なっていたため、多少の誤差があるのでしょう。
一方、訪問介護事業所は資格による大きな給料差は見られませんでした。
また訪問介護の仕事は事実上、無資格では行えないことから、データとしても公表されていません。
訪問介護の仕事で給料に不満がある人は、施設介護を検討してみるのもよいでしょう。
介護ヘルパーの資格「介護職員初任者研修」が給料を上げるには?
ここまで、各資格の研修内容や取得方法、資格による給料の違いを紹介してきました。
中には「介護職員初任者研修が給料を上げる方法は、上位資格を取得するしかないの?」と悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
最後に、介護職員初任者研修が給料を上げる方法について、5つほど紹介します。
- 勤続年数を増やす
- 介護主任を目指す
- 掛け持ちをする
- キャリアアップを目指す
- 転職する
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
1.勤続年数を増やす
昇給制度を設けている事業所であれば、勤続年数を増やすことで給料を上げることが可能です。
ただし、事業所によっては昇給が見込めないことも十分にあり得ます。
面接の際に、あらかじめ昇給制度はあるか?を確認しておくとよいでしょう。
2.介護主任を目指す
介護主任とは、いわゆる介護職員の中のまとめ役というポジションです。
介護現場のリーダーとして能力が認められれば、経験年数に関係なく昇給が見込めます。
ただし、常に冷静で公平な判断を求められるため、誰でも務まる役職ではないです。
コミュニケーション能力に自信がある人は、積極的に目指してみてはいかがでしょうか。
3.掛け持ちをする
「キャリアアップや昇給に興味がない」という人は、事業所を掛け持ちすることで給料アップが可能です。
訪問介護には、好きな時間を希望して働ける「登録ヘルパー」という働き方があります。
掛け持ちをすることで、隙間時間を活かして自分の働きたい時間に自由に働けるのがメリットです。
ただし、希望の時間に仕事が入らなければ働けないため、収入は安定しません。
▼登録ヘルパーに関して気になる人は、以下の記事もご参考ください。
>>登録ヘルパーは掛け持ちしても良い?掛け持ちをする3つのメリットとは
4.キャリアアップを目指す
介護業界で長く働いていきたいと考えているのであれば、上位資格を取得するのが最もおすすめです。
本記事でも紹介したように、介護福祉士の資格を取得すれば給料は確実に底上げできます。
また、介護福祉士になることで、介護現場に限らず介護の指導者としても仕事の幅を広げることが可能です。
実務者研修を取得していて、3年以上の勤務がある人は、積極的に挑戦しましょう。
5.転職する
「今の職場が合わなかった」という人は、無理して続けずに転職を検討しましょう。
事業所によって、給料の待遇はさまざまです。
介護職員初任者研修の資格さえあれば、仕事はいくらでも見つかるでしょう。
自分にあった事業所を探すことも、給料アップには有効です。
まとめ:介護ヘルパーの上位資格を取得して給料を上げよう!
介護ヘルパーの仕事は、常に需要が高まっています。
仕事をしながら経験を重ねて、上位資格を取得すれば確実に給料アップが見込めるでしょう。
また、資格手当や昇給制度を実施している事業所を見極めることも重要です。
面接の段階から疑問があるのであれば、積極的に確認して自分にあった事業所を見つけてください。