介護ヘルパーの資格の取り方について|費用や年齢制限は?
「介護ヘルパーの資格って、どのようにして取得するの?」
「費用や年齢制限についても詳しく知りたい」
いざ介護資格を取得しようと思っても、分からないことが多いですよね。
介護ヘルパーとして働くには、介護資格が必要です。そのためには、講座を受講したり、試験を受けたりしなければいけません。
今回「みーつけあ」では、介護ヘルパーの資格の取り方について、費用や年齢制限も含めて紹介します。
介護資格について理解をすることで、事前に必要な準備を整えることができるでしょう。
1.介護ヘルパー(訪問介護員)の仕事内容とは?
介護ヘルパーは、正式名称を「訪問介護員」といいます。
介護が必要な人の自宅に直接向かい、「身体介護、生活援助、通院等乗降介助」といったサービスを提供するのが仕事です。
まず始めに、それぞれの仕事内容について紹介します。
(1)身体介護
「身体介護」は、利用者の体に直接触れなければ行えない介護のことを指します。
利用者の「ADL(日常生活動作)」向上を目指し、利用者の自立支援・重度化防止のために行うサービスです。
そのため、専門的な技術や知識を学び、「介護職員初任者研修」以上の介護資格を取得していなければ、訪問介護の身体介護は行えません。
業務内容としては、以下のような仕事が挙げられます。
- 食事介助
- 排泄介助
- 入浴介助(更衣、洗面、清拭なども含める)
- 体位変換(移乗・移動介助など)
- 通院や外出介助
- 服薬介助
- たんの吸引、経管栄養(一定の研修を修了し、認定を受けたヘルパーのみ可能)
介助内容は、利用者の身体能力に応じて異なります。一部介助や見守り介助など、利用者一人ひとりの能力に合わせた介助も、身体介護の仕事です。
(2)生活援助
「生活援助」は、利用者の体に触れなくても行えるような、家事の援助が仕事です。
利用者が単身だったり、家族が障害・疾病だったりといった状況で、「本人や家族が家事を行うことが困難な場合」に行われます。
主な仕事内容は、以下のとおりです。
- 掃除(利用者の利用する場所のみ)
- 調理(食事の準備・配膳・片付けを含む)
- 洗濯(利用者の私物のみ)
- ベッドメイク
- 買い物代行
- 薬の受け取り など
【補足】介護ヘルパーにできないことは自費サービスになる
サービス利用者によっては、日常生活とは関係のないサービスを求めてくる人もいます。
たとえば、「庭の手入れをしてほしい」「ペットの世話をしてほしい」といったサービスは、介護ヘルパーでは提供できません。
これらのサービスは、「介護保険外サービス」の対象となります。求められた場合には、必ず断りましょう。
(3)通院等乗降介助
「通院等乗降介助」は、利用者の通院における乗降車や、移動介助を行う仕事です。
介護ヘルパー(訪問介護員)が、自ら車を運転して、利用者を病院まで連れていきます。
病院内での付き添いは、原則として介護保険が適用されません。
しかし、「院内での付き添いが必要」とケアマネジャーが判断し、病院側による対応も難しい場合には、病院内であっても付き添いをする必要があります。
2.介護ヘルパーの資格「介護職員初任者研修」の取り方
ここからは、介護ヘルパーの資格「介護職員初任者研修」の取り方について解説します。
この章では、以下の点に着目してまとめています。
- 概要
- 費用
- 年齢制限
- 合格率
- ホームヘルパー2級との違い
そもそも、介護ヘルパーとして働くには、介護資格が必要です。
介護ヘルパーの入門資格ともいえる「介護職員初任者研修」は、10項目のカリキュラムを受講して、修了試験に合格することで取得できます。
詳しくみていきましょう。
(1)介護職員初任者研修の概要
受講方法は、「通学と通信、もしくは完全通学」の2種類です。
実技と実習のみ、必ず通学する必要があります。また、独学で取得することはできません。
研修内容は、以下のとおりです。
1.職務の理解 | 6時間 |
2.介護における尊厳の保持・自立支援 | 9時間 |
3.介護の基本 | 6時間 |
4.介護・福祉サービスの理解と医療との連携 | 9時間 |
5.介護におけるコミュニケーション技術 | 6時間 |
6.老化の理解 | 6時間 |
7.認知症の理解 | 6時間 |
8.障害の理解 | 3時間 |
9.こころとからだのしくみと生活支援技術 | 75時間 |
10.振り返り | 4時間 |
合計 | 130時間 |
講義・演習を修了後、1時間ほどの修了試験が行われます。
試験内容は各スクールによって異なりますが、一般的には選択問題30問、記述問題が2問です。
(2)介護職員初任者研修の費用
介護職員初任者研修にかかる費用は、無料から10万円前後と大きな差があります。
なぜなら、取得する場所や状況によって、待遇が異なるからです。
たとえば、介護ヘルパーとして働きながら資格を取得する場合、事業所が介護職員初任者研修の受講料の一部を負担してくれる場合があります。
ハローワークの職業訓練であれば、訓練受講の要件を満たすことで、テキスト代以外の費用は無料です。
ただし、「安ければよい」というわけではなく、スクールによって受講内容や契約内容は異なります。
事前に下調べをしたり、口コミを確認したりと、内容を把握しておきましょう。
▼ハローワークで資格の取得を検討している人は、以下の記事もご参考ください。
>>介護ヘルパーの資格「介護職員初任者研修」をハローワークで取得するには?
(3)介護職員初任者研修の年齢制限
介護職員初任者研修には、年齢制限がありません。ただし、スクールによっては16歳以上からと指定している場合もあります。
そのため、16歳未満で介護職員初任者研修の取得を考えている人は、事前に確認するようにしましょう。
受講する人の年齢層は幅広いので、50代や60代でも資格を取得することが可能です。
(4)介護職員初任者研修の合格率
介護職員初任者研修の合格率は、非公開となっています。口コミでは、「難易度は低い、合格率は9割以上」といった内容が多いです。
しかし、簡単とはいえ、資格を取るには時間もかかり大変なことです。
合格のために学ぶのではなく、現場で役立てるために知識や技術を身につけましょう。
(5)ホームヘルパー2級との違い
介護職員初任者研修は「ホームヘルパー2級」と呼ばれていました。以前までは、訪問介護員のみを養成するための資格だったのです。
しかし、2013年の介護保険法の改正によって、ホームヘルパー2級は廃止となりました。現在は、「介護職員初任者研修」として位置づけられています。
介護職員初任者研修は、訪問介護・施設介護のどちらでも活かせる研修内容となっているのが特徴です。
また、研修内容としては「認知症の理解」が追加されています。介護現場で働く上では、とくに影響はないでしょう。
注意点としては、ホームヘルパー2級所持者が履歴書に「介護職員初任者研修修了」と記載することはできません。
履歴書の記載は「訪問介護員2級養成研修課程修了」または「ホームヘルパー2級修了」と記載してください。
資格の効力に大きな違いはありませんので、自身を持って記載しましょう。
▼履歴書に関する記事はこちらから。
>>登録ヘルパーの面接で使える豆知識!服装や履歴書の書き方について
3.介護ヘルパーの資格「実務者研修」の取り方
実務者研修は、介護職員初任者研修の上位資格です。
より専門的な知識や、医療的ケアに関する技術を学ぶことができます。
研修は、20科目450時間です。もし介護職員初任者研修を修了しているのであれば、介護職員初任者研修で学んだ130時間分は免除できます。
同様に、「ホームヘルパー1級、2級、3級」を取得している場合でも、その際に学んだ項目は受講する必要がありません。
詳しくは、下記の厚生労働省の資料をご参考ください。
また、実務者研修には、介護職員初任者研修のような修了試験はありません。
ただし、スクールによっては学習内容の確認として、試験を行っている場合があります。
試験がないからといって、研修を怠けないようにしましょう。
(1)実務者研修の費用
実務者研修の費用は、約3万円〜15万円と、介護職員初任者研修に続いて大きな差があります。
理由は、現在所有している資格によって、受講料が異なるためです。
いくつかの開講スクールの資料を参考に、費用相場を比べてみましょう。
スクール | 無資格 | 介護職員初任者研修 | 介護職員基礎研修 |
---|---|---|---|
ニチイ | 220,000円 | 193,814円 | 57,627円 |
三幸福祉カレッジ | 142,670円 | 109,670円 | 40,700円 |
未来ケアカレッジ | 164,450円 | 109,450円 | 54,450円 |
藤仁館医療福祉カレッジ | 180,000円 | 140,000円 | 46,200円 |
※2021年5月のデータ。(税込価格)
介護職員基礎研修とは、2012年にホームヘルパー1級と一本化された資格です。
すでに学んでいる項目が多い分、費用も安くなっています。
(2)ホームヘルパー1級との違い
実務者研修は、ホームヘルパー1級にはない研修項目の「医療的ケア・介護過程Ⅲ」を学べます。
医療的ケアを学ぶことで、「たんの吸引、経管栄養」といった仕事を行うことができますよ。
仕事の幅が広がるため、介護職員初任者研修よりも本格的に介護現場で活躍できるでしょう。
4.介護ヘルパーの資格「介護福祉士」の取り方
介護福祉士とは、「社会福祉及び介護福祉士法」に定められた国家資格です。
そのため、社会的な信頼が高い資格といえるでしょう。
介護福祉士の資格の取り方には、3つの方法があります。
- 実務経験ルート
- 養成施設ルート
- 福祉系高校ルート
介護ヘルパーとして働きながら国家試験を受けるのであれば、実務経験ルートが主流です。
実際に、介護業界でキャリアアップを目標としている口コミには、「実務経験を3年積んで、介護福祉士の受験に合格する」といった意気込みも見られます。
試験を受けるには、実務経験が3年以上あり、実務者研修を修了していなければいけません。
また、厚生労働省の「第33回介護福祉士国家試験合格発表」によると、介護福祉士の合格率は、2021年3月の発表時点で71.0%です。
道のりは険しいですが、介護のエキスパートとして活躍したい人は目指してみましょう。
(1)介護福祉士の費用
介護福祉士の受験手数料は、2021年5月現在で15,300円です。
無資格の場合は、実務者研修費用が別途かかります。
養成施設ルートから介護福祉士の資格を取得する場合は、学費として100万円〜200万円が必要です。
福祉系高校ルートでは、通常の高校でかかる学費と同じくらいの費用がかかるでしょう。
(2)認定介護福祉士について
介護福祉士の上位資格として、「一般社団法人 認定介護福祉士認証・認定機構」が、2015年より認証・認定を開始した民間資格の「認定介護福祉士」という資格もあります。
介護の需要は日々高まっており、介護職の指導や教育、医療職等との連携強化など、幅広く活躍できる介護福祉士が求められるようになりました。
2021年5月の段階では、「認定介護福祉士登録名簿」の人数は58人です。介護業界の最前線で活躍したい人は、覚えておくとよいでしょう。
5.一般教育訓練給付金制度を活用しよう
もし、雇用保険を受給できるのであれば、「教育訓練給付制度」を利用できます。
教育訓練給付制度とは、厚生労働大臣が指定する一般教育訓練を修了した場合に、受講料の20%(上限10万円)が支給される制度です。
一般教育訓練給付金は、以下の内容に該当する人が対象となります。
1. 受講開始日に、雇用保険の支給要件期間が3年以上(初めて支給を受ける人は、当分の間1年以上)であること。
2. 受講開始日に被保険者でない人のうち、被保険者資格を喪失した日(離職日の翌日)以降、受講開始日までが1年以内(適用対象期間が延長された場合は最大20年以内)であること。
3. 前回の教育訓練給付金の受給から、今回の受講開始日前までに3年以上(※注)経過していること。
※注:2014年10月1日前に、教育訓練給付金を受給した場合はこの取扱が適用されない。
参考:教育訓練給付制度 – ハローワークインターネットサービス
以上3点に該当する人が、「厚生労働大臣が指定する一般教育訓練を修了すること」で、給付金を受け取ることができます。
対象となる講座は、「厚生労働大臣指定教育訓練講座 検索システム」から確認してください。
6.介護ヘルパーの資格を取得するメリット・やりがい
ここまで、介護ヘルパーの仕事内容、資格の取り方について紹介してきました。
なかには、「資格を取得するメリットって何だろう?」「介護ヘルパーの仕事って、やりがいはあるの?」といった、疑問や不安を抱いている人もいるのではないでしょうか。
そこで、この記事では介護ヘルパーの「メリット・やりがい」について、それぞれ3つずすピックアップしてみました。
- メリット1.給料がアップする
- メリット2.転職先が豊富
- メリット3.親の介護にもヘルパーの資格が役立つ
- やりがい1.利用者から感謝してもらえる
- やりがい2.キャリアアップを目指せる
- やりがい3.自分にあった働き方ができる
「介護資格を取得しようか迷っている」という人は、ぜひ参考にしてください。
メリット1.給料がアップする
資格を取得することで、給料を底上げすることが可能です。
介護の仕事は、資格がなくても「介護助手職」としてなら働くことが可能です。
そうはいっても、仕事内容が限られてしまい、資格保持者に比べたら給料は劣ります。
上位の資格を取得することで、仕事の範囲が広がり、資格手当も期待できますよ。
詳しい給料相場については、後ほど紹介します。
メリット2.転職先が豊富
介護業界は、慢性的な人手不足によって、職場探しにはあまり困らない状況です。
2020年8月に行われた、「第182回社会保障審議会」による資料では、訪問介護職の有効求人倍率は15倍を超えています。
仮に、「人間関係が上手くいかない」といった悩みを抱えてしまったら、身勝手な利用でない限り、転職をしてもよいのです。
介護資格さえ取得していれば、どこにいっても重宝されるでしょう。
メリット3.親の介護にもヘルパーの資格が役立つ
介護資格を取得した際に学んだことは、自分の親の介護でも役立ちます。
介護と聞くと、若い頃は「自分には関係のないこと」と、誰もが思うかもしれません。
しかし、平均寿命が上がり、高齢化が進行し続けている現代においては、決して他人事ではないのです。
いざというときに、介護資格は必ず役に立つでしょう。
やりがい1.利用者から感謝してもらえる
介護ヘルパーは、利用者から直接感謝の気持ちを伝えてもらえます。
「福祉・介護の仕事に関する意識調査報告書」では、「大変だけどやりがいがある」と答えている人が多いです。
それに伴い、「利用者から学べることがある」「感謝の気持ちが嬉しい」という回答も続いています。
「誰かの役に立ちたい」と思える人にとっては、やりがいのある仕事といえるでしょう。
やりがい2.キャリアアップを目指せる
「介護の仕事を続けていきたい」と思った人にとっては、キャリアアップの機会が多いことも、やりがいに繋がります。
介護福祉士の資格を実務経験ルートで取得するのであれば、必ず3年以上の実務経験が必要です。
3年も働いていれば、より介護業界に深く関わっていきたいと考え始める人も多いでしょう。
また、介護業界は多くの女性が活躍している仕事です。
女性がキャリアアップしやすいという点も、やりがいが持てるポイントでしょう。
やりがい3.自分にあった働き方ができる
訪問介護には、「正社員、パート・アルバイト、登録ヘルパー」など、さまざまな働き方があります。
なかでも、登録ヘルパーは直行直帰で働ける特殊な勤務体制です。
働ける時間をあらかじめ事業所に伝え、その時間帯に介護を希望する利用者がいれば、その時間だけ働くことができます。
定時出勤が難しい主婦の人や、副業として働きたい人におすすめです。
「みーつけあ」は、登録ヘルパーを適切な事業所へと無料で導くシステムが充実しています。
現在の収入に満足していない人は、ぜひご活用ください。
▼関連記事はこちらから。
>>介護ヘルパーのやりがい5選【楽しいところと大変なところがわかる】
7.介護ヘルパーの資格による給料相場
では、それぞれの資格によって給料はどのように変化するのでしょうか。
厚生労働省の「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」を参考にして、それぞれの給料を比較してみます。
資格 | 平均給与額(月平均) |
---|---|
介護職員初任者研修 | 301,210円 |
実務者研修 | 303,230円 |
介護福祉士 | 329,250円 |
介護職員初任者研修と実務者研修では、わずか2,020円の差となっています。
しかし、介護福祉士になると、実務者研修と比べて26,020円と、大きな差がみられました。
給料を底上げしたいのであれば、介護福祉士を目指すことで結果に繋げられるでしょう。
まとめ:まずは介護職員初任者研修を取得しよう!
「とりあえず介護の仕事を始めてみたい」と考えている人は、介護職員初任者研修の取得から始めてみましょう。
ある程度経験を積んで、「もっといろんな仕事がしてみたい」と思えるのであれば、実務者研修、介護福祉士と、キャリアアップを検討することもできます。
介護の仕事は、今後も需要が高まり続ける職種の代表格です。
年齢に関係なく、いつでも挑戦できる仕事なので、「誰かの役に立てる仕事がしたい」と考えていた人は、ぜひ介護ヘルパーを目指してみてください。