介護ヘルパーは資格なしで働ける!仕事内容やメリット・デメリットを解説
介護ヘルパーへ転職を考えていても、資格を持っていないことを理由にためらっていませんか?
介護業界では資格を持って働いている人も多いですが、実は資格なしでも働ける仕事があります。
「みーつけあ」では、無資格でもできる介護ヘルパーの仕事内容について詳しく解説します。
資格なしでも仕事ができる理由やメリット・デメリットも確認して、不安なく働けるようにしましょう。
1.介護ヘルパーが資格なし(無資格)でも働ける理由
介護ヘルパーは、資格がなくても働ける職業です。
しかし、なぜ働けるのか理由も知らないままでは、転職に不安も残るでしょう。
この項目では、資格なしでも仕事ができる理由を、以下2点に分けて説明します。
- 2025年の人手不足問題を解消するため
- 国が義務化した研修がある
それぞれ介護業界の内情も理解できるので、確認してみてください。
2025年の人手不足問題を解消するため
資格なしでも働ける理由の1つとして、2025年の人手不足を解消する目的があります。
2025年問題とは、1947年~1949年に生まれた世代が75歳以上となり、医療・介護といった社会福祉制度の利用者の急増が懸念される問題です。
厚生労働省の資料「今後の高齢化の進展」によると、2025年には高齢者人口が約3,500万人に達すると予想しています。
つまり、国民の4人に1人が、高齢者という状態です。
高齢者が増えれば介護を必要とする人も増えて、介護職員の人数は現状よりさらに必要になります。
このような問題から、介護職に就く人をより多く受け入れるために、資格なしでも介護ヘルパーの仕事ができるようになりました。
国が義務化した研修がある
無資格の人が認知症ケアの理解を深めるために、厚生労働省は認知症介護基礎研修の受講を義務化しました。
2023年までは努力義務として設定され、2024年以降は完全義務化です。
詳しいカリキュラム内容を知るために、大阪市で実際に開かれた認知症介護基礎研修を確認してみましょう。
内容 | 受講方法 | |
---|---|---|
講義:認知症の人の理解と対応の基本 | ・認知症の定義と原因疾患 ・認知症の中核症状と行動、心理症状の理解 ・認知症ケアにおいて基礎となる理念や考え方 ・認知症ケアの基礎技術 | eラーニング(コロナ対策のため) |
実習:認知症ケアの 実践上の留意点 | ・認知症の人とのコミュニケーション ・行動の背景を理解したケアの工夫 ・自事業所の状況や自身のこれまでのケアの振り返り | 集合研修 |
ステップとしては、オンラインで学習できるeラーニングで講義を受けた後に、実習を行うという流れです。
自宅で時間があるときに事前学習ができて、集合研修も半日で終わる内容になっています。
「無資格で知識がないまま働くのは難しい」と少しでも感じたなら、今後必ず必要となる認知症介護基礎研修を受講しておいて損はありません。
2.資格なしでも働ける介護ヘルパーの仕事内容とは?
無資格でも介護ヘルパーとして働けますが、仕事内容は限られます。
たとえば、身体介護は利用者さんの命に関わる重要な仕事です。専門的な知識を身に付けた有資格者しか行えません。
資格なしでもできる介護ヘルパーの仕事内容は、以下のとおりです。
- 生活援助(掃除や洗濯などの家事)
- 送迎業務
- 事務系業務
それぞれの内容を、具体的に解説していきます。
生活援助(掃除や洗濯などの家事)
生活援助とは、直接体に触れる身体介護を行わない支援です。
たとえば、以下のような仕事があります。
- ゴミ出し
- 洗濯をする
- 洗濯物を干して畳む
- 食材の買い出し
- 食事の調理や片付け
- 起き上がる・座るなどの動作の介助
生活援助は、家事を行うのが困難な人を手助けする仕事です。
また、利用者本人に関する仕事しかできません。
食事の用意をする場合、同居している家族の分も一緒に準備するのは支援の対象外となります。
「一緒に行える家事は負担にならないから」と、つい引き受けてしまいそうですが、頼まれても必ず断りましょう。
送迎業務
送迎業務は、デイサービスや通所事業所、小規模多機能型居宅介護といった通所施設から自宅までの送迎を行います。
車を運転するため、普通自動車免許が必要です。
事務系業務
事務系業務は、事業所に届く請求書や郵便物の管理、お客さんの応対などを行います。
直接利用者の支援を行うことはなく、裏方で他の介護ヘルパーの業務を支える仕事です。
【補足】資格なしではできない身体介護について
無資格の介護ヘルパーは、訪問介護では身体介護にあたる行為の全般が行えません。
身体介護は、利用者さんの体に触れるような以下の内容があてはまります。
- 食事介助
- 入浴介助
- 排泄介助
- 着替え介助 など
訪問介護以外の介護では、他の有資格者が判断できるため無資格でも身体介護ができます。
3.介護の仕事未経験・無資格で介護ヘルパーの求人・転職情報はある?
未経験・無資格で働けることが理解できても、求人募集がなければ意味がありません。
実際に検索して、求人情報を調査した内容を確認してみましょう。
タウンワークで、職種を介護職に絞り込み、キーワードに無資格と入力した内容を以下の表にまとめました。
都道府県 | 正社員(募集件数) | 契約・派遣社員(募集件数) | パート・アルバイト(募集件数) |
---|---|---|---|
北海道 | 155件 | 608件 | 136件 |
東京都 | 776件 | 2,522件 | 614件 |
神奈川県 | 662件 | 2,472件 | 1,342件 |
大阪府 | 530件 | 3,591件 | 893件 |
福岡県 | 116件 | 1,223件 | 148件 |
結果を見ると、都道府県によって差はありますが、資格なしでも働ける職場があることがわかります。
また、パート・アルバイトよりも、社員としての求人募集のほうが多いです。
介護ヘルパーの仕事に挑戦したいのであれば、まずはお住まいの地域の求人を探してみてください。
4.介護ヘルパーとして資格なしで働く3つのメリット
資格なしで介護ヘルパーとして働くメリットを確認してみましょう。
無資格だからこそ得られるメリットは、以下の3つです。
- 現場を体験できる
- 時間とお金が無駄にならない
- 働きながら資格が取れる
自分の状況と照らし合わせながら、確認してみてください。
(1)現場を体験できる
資格取得の前に現場を体験できるのは、大きなメリットとなります。
なぜなら、資格の勉強だけではわからない現場の感覚が身につくからです。
学校の勉強と同じように、見聞きして得た知識と実際に行ってみることには差異があります。
実務をとおして先輩の働き方や目の前にいる利用者さんの状況を体験できれば、資格の勉強をより有利に進められるでしょう。
(2)時間とお金が無駄にならない
資格を取得するには、お金と時間が掛かります。
カイゴジョブアカデミーを例に見ると、資格取得にかかるお金と時間は以下のとおりです。
資格 | 受講時間 | 費用 |
---|---|---|
介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級) | 130時間 | 42,900円 |
介護福祉士実務者研修(旧ヘルパー1級) | 450時間 | 110,000円 |
出典:カイゴジョブアカデミー
※表の費用は東京校舎の場合
介護福祉士実務者研修の資格を取得する場合、450時間の受講が完了するまでに半年から1年程度の時間がかかります。
決して簡単に取れる資格ではなく、費用も安くはありません。
資格取得にかかるお金や時間を無駄にしないためにも、まずは介護の現場を経験してみるというのも、1つの手段でしょう。
資格取得の前に介護の仕事を経験して、「続けられそうであれば資格取得を目指す」という選択も、資格なしの人だからできることです。
(3)働きながら資格が取れる
無資格の働き手を募集している事業所の中には、人材確保のために資格の取得を支援しているところがあります。
費用面の負担が軽くなり、勉強にあてる時間の確保もしやすくなるので求人情報をよく確認してみましょう。
収入を得ながら、知識と技術を身に付けられるようになります。
5.介護ヘルパーとして資格なしで働く2つのデメリット
続いては、資格なしで介護ヘルパーとして働くデメリットを紹介します。
デメリットは以下の2点です。
- 給料が低い
- 仕事を覚えにくい
それぞれ見ていきましょう。
(1)給料が低い
介護ヘルパーとして資格なしで働くと、資格保有者より給料は低くなります。
なぜなら、同じ時給で働いても無資格であれば、資格手当がつかないからです。
では実際に資格の有無で、どのくらい月給が変わるのかを見ていきましょう。
保有している資格 | 月給 |
---|---|
介護支援専門員(ケアマネジャー) | 274,471円 |
介護福祉士 | 236,569円 |
介護初任者研修 | 212,210円 |
無資格 | 196,432円 |
介護ヘルパーの入門資格ともいえる「介護初任者研修(旧ヘルパー2級)」でも、約15,000円の差があります。
「給料を底上げしたい」と考えているのであれば、先に資格取得を検討しましょう。
(2)仕事を覚えにくい
資格がある人に比べて、無資格の場合は仕事の覚えにくさを感じるかもしれません。
なぜなら、無資格の人は介護の基礎知識がないため、有資格者より仕事への理解に時間がかかるからです。
また、就職先の現場が人手不足の場合には、じっくりと仕事を教えてもらえない可能性もあります。
無資格で働く場合には、未経験者へのサポートが充実している求人を探しましょう。
6.介護職員初任者研修は働きながら資格が取得できる
介護ヘルパーとして長期的に働くのであれば、介護資格の取得をおすすめします。
まずは、働きながら資格の取得が可能な「介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)」を目指しましょう。
働きながら取得できる理由として、以下3点が挙げられます。
- 自宅学習メインで取得可能
- 通いやすいスクールを選ぶことで無理なく取得できる
- 介護職員初任者研修の合格率はほぼ100%
順番に確認して、資格取得を前向きに考えてみましょう。
(1)自宅学習メインで取得可能
介護職員初任者研修であれば、自宅学習メインで資格の取得が可能です。
資格取得の方法は、以下の2パターンがあります。
- 通学制
- 通学+通信制
それぞれについて紹介します。
・通学制
通学制は自宅学習ではなく、130時間すべてのカリキュラムを通学して受講する方法です。
通学の場合、仕事をしながら受講するのは難しいかもしれません。
休職期間中や有給などを使って調節するか、夜間や土日に受講できるスクールを探すなどの工夫をすれば、資格取得も可能でしょう。
通学制にすれば、講師の指導を直接受けられるので、効率よく学べておすすめです。
通学+通信制
通信制は130時間のカリキュラムのうち、座学の約40時間を自宅学習、実技の約90時間をスクール学習として、通学を最小限にした方法です。
仕事から帰って自宅で学習できるので、通学時間も省けます。
また、介護ヘルパーの仕事を行いながらであれば、知識があるので難しくはないでしょう。
しかし、疲れて帰ってきてから家で勉強となると、なかなか勉強が進まない人も少なくありません。
家では集中できないというのであれば、仕事帰りにカフェに寄って勉強時間を設けるなど、工夫をしましょう。
(2)通いやすいスクールを選ぶことで無理なく取得できる
資格取得をする上で、スクール選びも重要です。
働きながら資格取得を目指すのであれば、開講している日時をチェックしておきましょう。
スクールによっては、日中や平日にしか開講していない場所や、土日や夜間に開講しているところがあります。
また、家から近い場所にするのか、職場から近い場所にするのかなども、大切なポイントです。
自分が通いやすい場所や時間帯を考えてスクールを選べば、無理なく資格の取得を目指せます。
▼関連記事はこちらから。
>>介護ヘルパーの資格は通信だけで取れる?介護職員初任者研修の取り方
(3)介護職員初任者研修の合格率ほぼ100%
介護職員初任者研修の合格率は、残念ながら公表されていません。
しかし、試験は合格するまで何度も受けられるので、最終的な合格率はほぼ100%です。
試験自体の難易度も高くはなく、カリキュラムをすべて受ければ全員が合格できるといわれています。
再試験や補講にはお金がかかるので、追加費用を払わないためにも事前にしっかり勉強しておきましょう。
▼合格率に関する記事は、こちらもご参考ください。
>>介護ヘルパーの資格難易度は低い?介護職員初任者研修の合格率について
まとめ
資格がなくても、介護ヘルパーとして働けることが理解できたでしょうか。
2025年以降は高齢者が増え、介護業界のさらなる人手不足も予想されます。
そのため、無資格OKの介護ヘルパー求人がなくなる可能性は低いでしょう。
しかし、資格がなければ業務範囲が限られるうえ、キャリアアップが難しいです。
介護ヘルパーとして長く働きたい人は、介護職員初任者研修の資格取得を目指しましょう。