介護ヘルパーはサービスに時間制限がある!保険制度やプランの設定方法を理解しよう
利用者さんの自宅に行き、生活のサポートをするのが介護ヘルパーの仕事です。
サポートをする役目がある一方で、サービス提供は決められた制限内で行う必要があります。
そのため、十分な時間が取れないこともあるかもしれません。
今回「みーつけあ」では、サービス時間の制限やプランの決め方、保険制度を解説します。
制限があるなかで、自分ができることは何かを考えて働けるように、知識を深めていきましょう。
1.介護ヘルパーはサービス時間に制限がある
介護ヘルパーが、利用者さんの自宅を訪問してケアできる時間には制限があります。
ケアプランに沿ったスケジュールが組まれるため、急遽追加で介護をするといった対応はできません。
また、要介護度によって1ヶ月で受けられる支給限度額(単位数)は決まっています。
要介護度別の支給限度額は以下のとおりです。
要介護度 | 1ヶ月の支給限度額 |
要支援1 | 5,032単位 |
要支援2 | 10,531単位 |
要介護1 | 16,765単位 |
要介護2 | 19,705単位 |
要介護3 | 27,048単位 |
要介護4 | 30,938単位 |
要介護5 | 36,217単位 |
参考:目黒区公式ホームページ 区分支給限度額(介護保険から給付される一か月あたりの上限額)
要介護度ごとに、設定された限度額内でケアが受けられます。
2.訪問介護の時間を制限する保険の決まり
訪問介護を受ける利用者さんは、介護保険を利用します。
誰しも一度は耳にしたことがある保険ですが、内容を詳しく知らないという人もいるでしょう。
ここからは、以下2点に分けて介護保険を解説します。
- 介護保険の対象者
- 介護保険を利用した場合のサービス時間
利用者さんに保険について聞かれることは少ないかもしれませんが、知っておいて損はない知識です。
介護保険の対象者
介護保険の利用対象者は、以下のとおりです。
- 65歳以上の第1号被保険者
- 40〜65歳までの第2被保険者
40歳以上になれば誰もが加入する社会保険ですが、すべての人が自動的に利用できるわけではありません。
介護保険を利用したいのであれば、各地域の介護保険を担当している窓口、もしくは地域包括支援センターで申請をして、要介護認定を受ける必要があります。
介護保険を利用した場合のサービス時間
介護保険で訪問介護を利用する時間は、以下4つに区分されます。
- 20分未満
- 30分未満
- 30〜60分未満
- 60〜90分未満
介護保険には訪問介護の利用制限がありませんが、月間の支給限度額が設定されています。
限度額を超えた分は、利用者さんの全額自己負担となるので注意しておきましょう。
限度額の範囲内であれば、自己負担額が1~3割まで抑えられます。
3.介護ヘルパーのサービス時間はどのように決められる?
訪問介護には時間制限があることを紹介してきました。
では、区分の中からはどのように決められているのでしょうか。
介護ヘルパーが訪問介護に行く時間は、以下2つの要因から決められています。
- 一人ひとりに合ったプラン
- サービス時間の分類
自分が行う仕事の時間がどのように設定されているのか、それぞれ見ていきましょう。
一人ひとりに合ったプラン
介護ヘルパーの訪問時間や回数は、ケアマネジャーが利用者さんと面談し、一人ひとりに最適なプランを提案・作成します。
人によってプランが変わるのは、必要とする介護が異なるためです。
たとえば、同じ入浴という項目でも、利用者さんによって介助にかかる時間は、以下のように異なります。
- 基本的には自分で行うが見守りが必要
- 移動や入浴で身体介助が必要
見守りだけが必要なら、介護ヘルパーの労力は少ないです。しかし、介助を行えばより多くの負担と時間がかかることは、容易に想像できるでしょう。
具体的なサービス内容は、ケアマネジャーや訪問介護事業所のサービス責任者が集まって行う、サービス担当者会議で決定します。
利用者さんのニーズに合わせた支援をするため、知識や責任のある立場の人たちが集まって最適なプランを設定しているのです。
サービス時間の分類
サービス時間は、大きく分けて2種類あります。
- 身体介護にかかる時間
- 生活援助にかかる時間
さらに、提供時間に合わせて細かく名前があるので、以下の表で確認しておきましょう。
身体介護 | 生活援助 | 身体介護+生活援助 |
身体1:20分以上30分未満 | 生活援助1:45分未満 | 生活1:20分以上45分未満 |
身体2:30分以上69分未満 | 生活援助2:45分以上 | 生活2:45分以上70分未満 |
ー | ー | 生活3:70分以上 |
参考:厚生労働省 「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について
表内にある生活援助2は、45分以上として設定されていることから、「何時間かかってもよいのでは?」と考える人もいるかもしれません。
しかし、実際の現場では「生活援助2は60分まで」といったように、事業所ごとに時間制限が決められています。
なぜなら、介護ヘルパーは1日に何人もの担当利用者さんを抱えているため、1人だけに多くの時間を使えないからです。
人手不足の背景からも、介護ヘルパーは利用者さんに寄り添ったプランを提案しつつ、限られた時間の中で質の高いサービスを提供しなければいけません。
4.介護ヘルパー(訪問介護)を利用したときにかかる料金
介護ヘルパーは、利用者さんが支払っている料金を知らなくても働くことができます。
しかし、利用者さんはあなたが働いた時間の対価としてお金を払っていることは忘れてはいけません。
実際に、利用者さんは介護にどれくらいの料金を払っているのか、簡単に確認しておきましょう。
厚生労働省にも情報を提供している「公益財団法人家系経済研究所」によれば、介護ヘルパーを利用した際にかかる1ヶ月あたりの金額は、約16,000円です。
ただし、在宅介護では、介護ヘルパーの費用以外にも考えておかなければいけない出費があります。
例えば、以下のような費用です。
- おむつ代
- 食費
- 介護グッズ
- 医療費 など
介護ヘルパーにかかる金額が約16,000円に対して、介護用品には約34,000円かかります。
つまり、合計で月に約50,000円の出費となるでしょう。
月々50,000円という負担の度合いは家庭によって異なりますが、なかには金額面がネックとなり今後の利用を不安に感じる利用者さんやそのご家族もいます。
利用者さんが大切なお金を払ってケアを受けているということは、常に心の隅において介護にのぞんでください。
5.介護ヘルパーの利用時間のQ&A
最後に、介護ヘルパーの利用時間についての疑問に答えていきます。
- 介護ヘルパーが訪問する時間帯は?
- 1日に2回以上サービスを提供できる?
- 介護保険と医療保険は併用できる?
順番にチェックしていきましょう。
Q1.介護ヘルパーが訪問する時間帯は?
A. 介護ヘルパーが訪問する時間帯は、基本的に平日の午前8時から午後6時までです。
しかし、事業所によっては夜間や早朝、土日祝日なども対応します。
働く際に「夜間勤務は避けたい」といった希望があるなら、求人情報をしっかりチェックして自分が活動できる時間帯の事業所を見つけましょう。
Q2.1日に2回以上サービスを提供できる?
A. 1日に2回以上の訪問介護サービスの提供は可能です。
ただし、原則として1回目の訪問から2時間以上空けなくてはいけないという2時間ルールがあります。
もし、2時間以内に2回目のサービスを行なった場合、1度のサービスとみなされ利用時間が規定のサービス時間を超えてしまうことがあるかもしれません。
例えば、30分の身体介護を行ったあと、2時間たたないうちに2回目の介護を行なった場合は、「30分×2回」ではなく「60分×1回」としてカウントします。
場合によっては、利用者さんの負担金額が高くなるので介護ヘルパーとしても注意しましょう。
Q3.介護保険と医療保険は併用できる?
A. 介護保険と医療保険は、併用できません。
両方の制度を利用できる場合は、介護保険が優先されます。
ただし、それぞれ別の理由で利用するのであれば、介護保険と医療保険は併用可能です。
たとえば、生活のために週1回介護ヘルパーを利用している人が、熱を出して医療機関へ受診した場合は、診察料金は医療保険制度から給付が受けられます。
まとめ
今後、介護ヘルパーとして活躍したいのであれば、利用時間について理解しておきましょう。
利用者さんやご家族は、介護の不安を解消するために詳しく知りたいことが多くあるはずです。
相談されるのはケアマネジャーですが、信頼されている介護ヘルパーに聞きたいという人もいるでしょう。
利用者さんやご家族に安心して任せてもらえるように、利用時間や制度の理解を深め、明確な答えを用意できるようにしてくださいね。