訪問介護ヘルパーの食事介助を徹底解説【できること・できないことがわかる】
訪問介護ヘルパーが食事介助をする際、「どこまで介助してよいのか」と迷ってしまう人は多いのではないでしょうか?
訪問介護ヘルパーが行ってよい食事介助は、介護保険内で定められています。保険適用外のサービスを実施している場合、規約違反となってしまうのです。
そこで今回「みーつけあ」では、訪問介護ヘルパーが食事介助でできること・できないことを詳しく解説していきます。
最後まで読んでいただければ、食事介助の範囲はもちろん、食事介助のポイントを理解できますよ。
訪問介護ヘルパーの食事介助とは?
食事介助とは、1人で食事ができない方のサポートをする仕事です。
身体機能・認知機能の低下が原因で咀嚼(そしゃく)できなかったり、うまく飲み込めなかったりする高齢者の食事を手伝います。
なお、以下のような内容もサポートに含まれますよ。
- 食事の見守り
- 食事の準備
- 食後のケア
訪問介護ヘルパーの調理補助について
食事介助に関連する「調理補助」は、訪問介護業務の生活援助にあたります。
台所に立つことが難しかったり、一人で調理するのが不安だったりする場合に、介護ヘルパーが付くケースが多いです。
なお調理補助と違い、食事介助は訪問介護業務の「身体介護」にあたります。
生活援助サービスの方が料金が安く、時間も短いです。
訪問介護ヘルパーの買い物支援について
食事介助や調理補助の前に、食材等の買い出しを行うこともあります。
買い物支援は「生活援助」に該当し、主には以下の2種類です。
- 利用者の付き添い
- 訪問介護ヘルパーが1人で行う
訪問介護ヘルパーが1人で実施する場合は、「買い物に必要な金額を預かる」という金銭管理も業務内容に含まれるので注意しましょう。
訪問介護ヘルパーが食事介助でできること
訪問介護ヘルパーが食事介助で出来ることは、以下のとおりです。
- 一緒に食材の買い出しを行う(もしくは代行)
- 一緒に食事の支度をする
- 利用者の希望に合わせて調理を代行する
- 食事のサポート(口まで運ぶ、細かく刻むなど)
- 皿洗い
- 見守り
上記はあくまで一例です。
「日常生活を送るうえで必須の部分」に関してのみ、訪問介護ヘルパーが介助してよいとされています。
訪問介護ヘルパーが食事介助でできないこと
訪問介護ヘルパーが食事介助でできないことは、以下のとおりです。
- 嗜好品(お酒やたばこ、お菓子など)を買ってくる
- 誕生日や正月などの特別な調理
- お歳暮やお中元など特別な買い出し
日常生活で必要な食事・買い物・調理の範囲を超えていたり、利用者以外のために行ったりする介助は介護保険適用外です。
そのため上記のようなサービスをお願いされても、「規則で決まっているので」とお断りするように心がけましょう。
▼関連記事はこちらから
>>訪問ヘルパーは酒タバコの買い物代行ができない?できる・できないサービスについて
訪問介護ヘルパーによる食事介助の料金目安は?
食事介助の料金は「介護報酬」として定められています。
具体的な単位数は以下のとおりです。
【身体介護(食事介助等)】
時間 | 単位 |
---|---|
20分未満 | 167 |
20分~30分未満 | 250 |
30分~1時間未満 | 396 |
1時間~1時間30分未満 | 579 |
以降30分追加 | 84 |
生活援助加算(引き続き介助を行った場合) | 67 |
【生活援助(調理補助、買い物支援など)
時間 | 単位 |
---|---|
20分~45分未満 | 183 |
45分以上 | 225 |
基本的には1単位=10円として計算しますが、地域ごとに差があるので注意してください。
なお例として「45分の調理補助サービスを利用した場合」だと、225単位×10=2,250円です。このうち利用者は1割を負担するので、225円が料金となります(所得によっては2~3割を負担)。
サービス利用者から料金について聞かれたときのために、覚えておくとよいでしょう。
特別な食事介助は「自費サービス」なら可能
「お正月におせち料理を作ってほしい」といった特別な食事介助は、自費サービスを利用することで実現できます。
自費サービスとは、介護保険適用外のサービスを全額自己負担で受けられる制度です。企業ごとに設けられていることが多いですね。
介護保険サービスでは、くみ取れないニーズを満たすことができます。
そのため介護保険外サービスの提供を求められたときは、利用者に自費サービスを勧めてみてください。
訪問介護ヘルパーが食事介助で注意すべきポイント5つ
ここからは、訪問介護ヘルパーが食事介助で注意すべきポイントを、5つ紹介していきます。
- 利用者の希望をくみ取る
- 栄養バランスを考える
- 時間を意識して調理する
- 自立支援を大切に
- 食事のペースに配慮する
食事介助の苦手意識をなくせるように、それぞれ詳しく解説していきます。
①利用者の希望をくみ取る
食事介助で注意すべきポイント1つ目は「利用者の希望をくみ取ること」です。
利用者の希望をしっかりと聞くことで、食事介助を円滑に進めることができます。
時間が限られている訪問介護では満足度を高めるためにも、以下のような工夫が必須です。
- どんな料理が好きなのか?
- どんな順番で食べるのが好きか?
- 逆に嫌いな料理はあるのか?
日常会話や普段の様子からニーズをくみ取り、情報収集して食事介助に役立てましょう。
②栄養バランスを考える
食事介助で注意すべきポイント2つ目は「栄養バランスを考えること」です。
栄養バランスに注意して調理・食事介助を行うことで、利用者の健康につながります。
健康が維持されるメリットは、以下のとおりです。
- 認知症の進行が遅れる
- 心身機能の向上につながる
- 訪問介護ヘルパー自身の評価が上がる
栄養バランスの良い食事を学び、調理補助や食事介助の質を向上させましょう。
③時間を意識して調理する
食事介助で注意すべきポイント3つ目は「時間を意識して調理すること」です。
訪問介護ヘルパーは食事・調理補助・買い物支援など、いずれの業務でも時間が決まっています。
制限時間のあるなかでサービスの質を維持し、効率的に進める必要があるのです。
そのため、普段から時間を測り、「今日は味噌汁を作るのに20分かかった」「あらかじめ野菜を切っておけば、次回早くなる」など、少しずつ改善ができるように工夫をしてみてください。
④自立支援を大切に
食事介助で注意すべきポイント4つ目は「自立支援を重視すること」です。
自立支援を重視すべき理由は、少子高齢化により介護人材が不足しているからです。2025年までに必要な介護人材は約245万人で、およそ55万人が必要になると言われています。
出典:第7期介護保険事業計画に基づく介護人材の必要数について|厚生労働省
そのため利用者の出来ることが増えれば、利用者や家族の満足度が増えるのはもちろん、「介護ヘルパーが忙しくなるリスク」を減らせるのです。
利用者にもできることとして、以下のような行動が挙げられます。
- できる範囲で野菜を切る
- 料理を皿に取り分ける
- テーブルを拭く
利用者の身体能力に応じた判断をして、「介護ヘルパーが何でもやる!」ということのないように注意をしてみてください。
⑤食事のペースに配慮する
食事介助で注意すべきポイント5つ目は「食事のペースに配慮すること」です。
時間制限がある訪問介護サービスでは、食事を早く召し上がってもらおうと急かしてしまう介護ヘルパーがいます。
しかし食事のペースが早いと満足度が下がるだけではなく、最悪の場合には食べ物が気管に入って「誤嚥(ごえん)」に繋がってしまいます。
そのため飲み込みを確認しながら、利用者のペースに合わせて食事をとってもらうように意識しましょう。
▼訪問介護ヘルパーの料理に関しては、以下の記事もご参考ください。
>>介護ヘルパーは料理スキルが必要?料理を作るポイントや注意点まとめ
まとめ
介護ヘルパーが行う食事介助では、出来ることと出来ないことが介護保険法によって定められています。
すべて希望を聞き入れると平等性が保たれなくなるため、最初は上司に「これを実施して問題ないか?」と確認するよう心がけてみてください。