介護ヘルパーが掃除サービスでできることは?【具体例を紹介】
介護ヘルパーとして掃除サービスを提供する際、「どこまでが介護保険の適用内なの?」と迷ってしまう人は多いのではないでしょうか?
訪問介護の掃除サービスでできること・できないことは、境界線が曖昧です。
そのため、気付かずに保険適用外のサービスを提供している可能性があります。
そこで今回「みーつけあ」では、「介護ヘルパーが出来る掃除サービス」について詳しく解説していきます。
最後まで読んでいただければ、介護保険適用外のサービスを頼まれたときの対処法がわかりますよ。
介護ヘルパーの仕事は3種類
介護ヘルパーの掃除サービスは、訪問介護業務の「生活援助」に該当します。
その他にも介護ヘルパーの業務は2種類あり、全部で3種類の業務に分けられます。
それぞれの主な業務内容は、以下のとおりです。
- 身体介護…入浴介助や食事介助など、利用者の身体に触れて行う専門的な介護
- 生活援助…調理や洗濯、買い物支援や掃除など、家事全般の援助
- 通院介助…居宅から病院、または病院から帰宅など通院時の付き添い
なお各業務には「介護保険適用の基準」が定められており、具体的な内容は厚生労働省のHP等で確認ができます。
介護ヘルパーの掃除サービスについて
介護保険サービスとして掃除できる範囲は定められています。
具体的な条件は、以下のとおりです。
- 日常生活を送るうえで必須となる場所
- 掃除のできる同居人がいない場合
このような条件を満たした場合のみ、介護保険サービスとして掃除を行えます。
そのため同じ家であっても、「要介護認定された利用者の部屋は掃除可」「ご家族の部屋は掃除不可」というケースがあるのです。
もし、今の業務が「介護保険内サービスとして適正だろうか」と不安なときには、ケアマネジャーやサービス提供責任者に相談をしてみましょう。
介護ヘルパーの掃除サービスの料金は?
介護ヘルパーが行う掃除サービスの料金は、以下の計算式で求められます。
「サービスの種類別料金 × 利用時間 + その他料金(加算)」
細かな料金は地域によって異なりますが、一般的なサービス料金の目安は以下のとおりです。
サービス料金の設定 | 利用者負担(1割) (1回につき) | |
身体介護 | 20分未満 | 165円 |
20分以上30分未満 | 248円 | |
30分以上1時間未満 | 394円 | |
1時間以上1時間半未満 | 575円 | |
生活援助 | 20分以上45分未満 | 181円 |
45分以上 | 223円 | |
通院時の乗車・降車等介助 | – | 98円 |
出典:厚生労働省「どんなサービスがあるの? -訪問介護(ホームヘルプ)」
上記より生活援助サービスである掃除を20分実施した場合は、181円が自己負担となります。
なお、自己負担は所得によって異なり、最大で3割負担です。
サービス利用者に尋ねられた際の、参考にしてみてください。
介護ヘルパーの掃除サービスでできること・できないこと
介護ヘルパーの掃除サービスには、「できること・できないこと」が細かく定められています。
細かく定められている理由は、介護保険サービスは「国のお金」が財源だからです。
すべての要望に応えてしまうと、際限なく国のお金がつぎ込まれることになります。
また訪問介護サービスでは、ケアマネジャーが事前に情報収集を行い、ケアプランを立てています。
事業所や介護ヘルパーは、原則的にこのケアプランに記載のあるサービスしか提供できません。
介護ヘルパーができる掃除サービスの例
介護ヘルパーができる掃除サービスの例は、以下のとおりです。
- リビングや台所の簡易的な掃除
- 自室や寝室の簡易的な掃除
- トイレ、浴室、洗面所の簡易的な掃除
- 玄関やベランダの簡易的な掃除
簡易的な掃除とは、床拭きや掃除機掛けなどです。日常生活で必ず利用する場所のみが該当しています。
また利用者がしゃがめなかったり、長く掃除していないことで衛生状態が悪化したりと、日常生活に影響がある場合は上記以外の掃除もできることがあります。
介護ヘルパーができない掃除サービスの例
介護ヘルパーができない掃除サービスの例は、以下のとおりです。
- 年末の大掃除
- ガスコンロやシンクの掃除
- 窓ふき
- 冷蔵庫や洗濯機、家具の掃除
- 床のワックス掛け
- 草むしりや庭の手入れ
大掃除や窓ふきなど、日常生活の範囲を超えた大がかりな掃除はできません。
また、利用者以外の部屋を掃除したり、手伝ったりといったサービスも介護保険適用外となります。
【掃除以外】介護ヘルパーができないサービスは?
特別な掃除以外にも、介護ヘルパーができないサービス例を紹介していきます。
- 特別な調理
- カーテンや靴といった大型の洗濯
- 家具や家電の買い出し
- 銀行への振り込み
- 役所等への申請代行
- ペットの世話や散歩
- 室内外の修理
- 医療行為
上記のサービスを実施してしまうと、他の利用者との公平性が保てません。
そのため「日常生活の範囲を超えていないか?」「利用者本人にとって必須のサービスか?」という視点を持ち、利用者や家族の要望を吟味する姿勢が重要です。
介護ヘルパーが掃除を頼まれたときの対処法
介護ヘルパーが介護保険適用外の掃除を頼まれた場合、まずは規則違反となってしまう旨を伝えましょう。
その上でクレームが出てしまった場合は、すぐにサービス提供責任者やケアマネジャーへ相談してください。
またどうしても断りづらい場合は、代替案として次章で解説する「自費サービス」を紹介するのもおすすめです。
介護ヘルパーができない場合は「自費サービス」をおすすめしよう
「自費サービス」とは、介護保険の対象にならないサービスを全額自己負担で受けられる仕組みです。
近年では、多くの事業所が自費サービスを提供しており、以下のようなサービスを受けられます。
- 大掃除
- 窓ふき
- 庭の手入れや草むしり
事業所以外にも、家事代行サービスや民間の訪問介護サービスを利用する方法もあります。
介護ヘルパーができないサービスをお願いされた場合は、自費サービスを勧めてみてください。
まとめ
介護ヘルパーができること・できないことを見極めることで、利用者やご家族とのトラブルを避けることができます。
「日常生活の範囲内か」「利用者本人に関わる場所か」という視点をもち、判断に迷う時はケアマネジャー等に相談するよう心がけましょう。