訪問介護ヘルパーが大変だといわれる4つの理由|気になる仕事内容と悩み
「訪問介護ヘルパーの仕事って大変そう」
「自分も訪問介護ヘルパーとして働けるのかな」
このような不安を抱えていませんか。
たしかに、体力を使う仕事内容が多いうえに、コミュニケーションをうまく取らないとクレームになるなど、訪問介護ヘルパーの仕事は大変です。
しかし、大変なりにも、やりがいやメリットがたくさんあります。
今回「みーつけあ」では、訪問介護ヘルパーが大変だといわれる理由や仕事内容について分かりやすく解説します。
「大変だな」と感じたときの対処法を知って、前向きに介護ヘルパーを目指せるようになりましょう。
1.訪問介護ヘルパーが大変な仕事だといわれる理由
訪問介護ヘルパーが大変な仕事だといわれる理由は、主に4つあります。
- 給料・賃金が低い
- 体力を使う
- 人手不足の職場が多い
- クレームを受けることがある
理由を知れば、「大変だ」といわれることに納得ができるはずです。
順番にみていきましょう。
給料・賃金が低い
訪問介護ヘルパーは、仕事内容に対して給料や賃金が低いため、大変な仕事といわれることが多いです。
介護労働安定センターの「令和元年度介護労働実態調査結果」によると、正社員で働く訪問介護ヘルパーの平均月給は、205,402円となっています。
厚生労働省の「令和元年賃金構造基本統計調査」には、全産業の正社員の平均月給が325,400円とあるため、比較すると約12万円もの差がありますね。
また、アンケートに答えた介護職員の64.6%の人が、基本給の引き上げを希望していました。
さらに、47.5%の人がボーナスの導入・引き上げを希望しているという結果もあります。
つまり、仕事に見合った賃金で働けていないと感じる介護職員が、半数以上もいるということです。
体力を使う
訪問介護ヘルパーの仕事は、体力を使うことが多いです。
要介護者の体を支えながら身体介護を行ったり、中腰になりながら作業をしたりと、体に負担がかかります。
そのため、訪問介護ヘルパーは、腰痛や肩こりに悩む人が多いです。
さらに、在宅介護者の家まで自転車で移動する人もいるので、体力を消耗してしまうケースもあるでしょう
もちろん、仕事を続けていれば体が慣れてくるかもしれません。
しかし、まったく負担なく仕事を行うことは難しく、仕事が終わると「大変だったな」と感じてしまいます。
人手不足の職場が多い
介護職は、人手不足に悩まされている事業所が多いです。
そのため、忙しいスケジュールのなかで働いている訪問介護ヘルパーは少なくありません。
介護労働安定センターの「令和元年度介護労働実態調査結果」によると、従業員が不足していると感じている事業所の割合は、65.3%です。
半数以上の職場が人手不足を感じており、1人あたりの仕事の負担は大きくなります。
なかには、1日あたりの訪問数が多かったり、希望の日に休めなかったりする施設もあるでしょう。
余裕のある働き方ができないと、「大変だな」と感じてしまいます。
▼関連記事はこちらから。
>>訪問ヘルパーの人手不足が止まらない!原因や悩みのタネとは?
クレームを受けることがある
訪問介護ヘルパーの仕事を一生懸命おこなっていても、利用者との相性によってはクレームを受けることも少なくありません。
在宅介護は要介護者の自宅で行うため、どうしてもプライベートな空間に踏み込むことになります。
つまり、施設や病院で接するとき以上に、気遣いが求められるわけです。
また、要介護者本人だけでなく、家族との信頼関係も必要となるでしょう。
正しい対応をしたつもりでも、相性が合わなければ、事業所にクレームが入ることもあります。
プライベートな空間で行う介護だからこそ、第三者から見ても「大変だな」と思われやすいです。
2.大変だといわれる訪問介護ヘルパーが行う仕事内容
ここまで読むと、「訪問介護ヘルパーは大変な仕事なんだな」というイメージが強いかもしれませんね。
では実際に、どのような仕事をしているのかを知っておきましょう。
具体的な仕事内容を知らなければ、何が大変なのかは判断できないです。
訪問介護ヘルパーがおこなう主な仕事内容は、3つあります。
- 身体介護
- 生活援助
- 通院等乗降介助
具体的な仕事内容を知って、訪問介護ヘルパーとして働くときのイメージをしてみてください。
身体介護
身体介護は、自分の体をおもうように動かせない人のサポートを行う仕事です。
主に以下のような仕事が挙げられます。
- 食事介助
- 入浴介助
- 排泄介助
食事介助では、食事を作ったり口まで運んだりします。
飲み込みができているか、噛む力があるかといったチェックも訪問介護ヘルパーの仕事です。
入浴介助では、脱衣・洗髪・洗身・拭き取り・着衣までを行います。
要介護度が高いケースでは、体を持ち上げる動作が大変かつ事故につながりやすいため、十分な注意が必要です。
排泄介助は、トイレの誘導やおむつ交換などを行います。
これらの身体介護以外にも、歯磨き、着替え、体位変換などの補助を行います。
生活援助
利用者が自立した生活を送れるように、日常生活の援助をすることも訪問介護ヘルパーの仕事です。
たとえば、掃除・洗濯・買い物といった家事や、薬の受け取りなどが挙げられます。
要介護者が1人でもできる場合や、同居する家族がいる場合には、必要ありません。
しかし、独居で日常生活が困難だと判断された人に対しては、生活援助をおこないます。
生活援助は、「要介護人が充実した日常生活を過ごすために必要となるサポート」と、覚えておきましょう。
通院等乗降介助
通院等乗降介助とは、以下の一連のサービスを総称した仕事です。
- 介護ヘルパーが運転する車への乗降車の介助
- 乗降車前後のや屋外における移動等の介助
- 外出先での受診等の手続き、移動等の介助
通院以外にも、日用品の買い物や選挙の投票、役所での手続き、デイサービスの見学の付き添いなどがあります。
要介護人が求めることを代理で伝えたり、体の負担をできるだけ軽減したりすることが仕事です。
3.訪問介護ヘルパーになるのは大変?資格取得は必須
「そもそも、訪問介護ヘルパーになることが大変そう」
このように考えている人も、いるかもしれません。
結論からいうと、資格取得が必須ではあるものの、合格の難易度は低いです。
そのため、挑戦すればほとんどの人が合格できるでしょう。
実際、訪問介護ヘルパーとして働くほとんどの方が、資格取得をしたうえで就職をしています。
なぜなら、訪問介護の身体介護は、資格を持っていることが条件の仕事だからです。
これから介護業界で働こうと考えているのであれば、介護職員初任者研修の取得を目指しましょう。
介護職員初任者研修を取得するには、合計130時間の講習を受ける必要があります。
すべての講習を受講した後に筆記試験を受けて、合格基準を満たせば合格です。
万が一不合格になっても、追試を受ければほとんど合格できます。
費用は受講する学校によってさまざまですが、6〜10万円程度で取得が可能です。
介護職員初任者研修を取得すれば、仕事の幅が広がります。
介護職を目指している人には、積極的に取得して欲しい資格です。
資格補助をしてくれる職場は多い
なかには、無資格でも採用をしてくれる事業所もあります。
資格がなくても、以下のような仕事であれば、介護の仕事に携わることが可能です。
- 生活援助
- 送迎業務の運転手
- 事務作業
- 清掃作業
今すぐ働きたいと考えているのであれば、このような仕事から始めていきましょう。
人手不足を解消するために、資格取得の補助をしてくれる職場も多いです。
キャリアアップのためにも、まずは介護職員初任者研修の合格を目指しましょう。
▼訪問介護の資格に関する記事は、こちらもご参考ください。
>>介護ヘルパーになるには?最短ルートを解説【必要資格や業務内容も】
4.やりがいも多い!訪問介護ヘルパーとして働くメリット
大変な仕事を日々こなす訪問介護ヘルパーですが、やりがいも多いです。
介護ヘルパーとして働くメリットは、主に3つあります。
- 利用者さんや家族に感謝される
- 長く働ける
- 転職しやすい
やりがいを感じて続けられるからこそ、大変な仕事も続けられます。
詳しく確認していきましょう。
メリット1.利用者さんや家族に感謝される
ご利用者様の喜んでくださる姿。必要とされていると感じる事が多い。
人生の先輩から聞ける貴重なお話、助言はとても勉強になります。
毎回感謝されると素直に嬉しいです。
訪問介護ヘルパーは、利用者さんや家族に感謝される機会が多いです。
なぜなら、利用者さんや家族とじっくり向き合える仕事だからです。
1対1で利用者さんの介護に専念できるので、細かい変化にも気付けます。
何度も訪問していくうちに、利用者さんとの会話も弾むようになるでしょう。
また、ご家族の話を聞いたり、アドバイスをしたりする機会も多いです。
サービス利用者の気持ちに寄り添うことで、「ありがとう」と感謝の言葉をもらえるでしょう。
施設介護とは、また違ったやりがいを感じられるはずです。
メリット2.長く働ける
定年後も長く働ける
途中自宅に帰れるから
家事はやりやすい
訪問介護ヘルパーは、出産や子育てを経ても長く働ける仕事です。
なぜなら、介護職はライフスタイルに合わせて働き方を柔軟に変えられるからです。
介護労働安定センターの「令和元年度介護労働実態調査結果」によると、介護職員の54.2%、介護ヘルパーでは35.8%の人が非正規雇用で働いていることが分かっています。
つまり、パートやアルバイトで働ける環境が整っているため、プライベートとの両立がしやすいわけです。
今後、出産や子育て、親の介護を迎えても、仕事との両立がしやすいでしょう。
メリット3.転職しやすい
とにかく就職はしやすい、転職も容易
身内の高齢者のボケ予防や体調の判断が可能に。
訪問介護ヘルパーとして働いた実績があれば、転職先はたくさんあります。
介護・福祉業界は深刻な人手不足に悩まされているため、採用されやすいからです。
また、訪問介護ヘルパーとして働けていたのであれば、デイサービスや老人ホームなどの施設でもスキルを発揮できます。
一度介護スキルを身につければ、転職を経てキャリアアップしていきやすいです。
万が一、今の職場に不満があったり、家族の都合で引っ越すことになっても、就職先に困ることはないでしょう。
▼関連記事はこちらから。
>>介護ヘルパーのやりがい5選【楽しいところと大変なところがわかる】
5.訪問介護ヘルパーに向いている人の特徴
訪問介護ヘルパーに向いている人は、利用者や家族と向き合いながら「どのような介護をしていきたいのか」と、明確な目標を持てる人です。
ほかに向いている人の特徴として、以下のことが挙げられます。
- 最低でも介護職員初任者研修を取得する気がある人
- 利用者一人とじっくり向き合える人
- 利用者の家族とコミュニケーションを取れる人
- 「ありがとう」という言葉を励みに頑張れる人
- ライフスタイルに合わせて長く働きたい人
このような特徴にあてはまるのなら、やりがいを感じながら訪問介護ヘルパーとして働けるでしょう。
利用者や家族に感謝されながら、自分自身もスキルアップ・キャリアアップしていけるはずです。
6.訪問介護ヘルパーの業務が大変に感じたときの対処法
訪問介護ヘルパーの仕事をするなかで、「大変・つらい」と感じたら、無理はしないようにしましょう。
一度立ち止まり、以下のような対処法を試してみてください。
- やりがいを思い出す
- 責任者や上司へ相談する
- キャリアアップを目指す
- 転職を考える
対処法を実践すれば、心を新たにもう一度頑張れるようになりますよ。
4つの対処法を、具体的に見ていきましょう。
対処法1.やりがいを思い出す
日々の業務に追われて「大変だ」と感じたら、一度仕事のやりがいを思い出しましょう。
なぜなら、大変だと感じているときは、目の前の業務ばかりにとらわれていることが多いからです。
訪問介護ヘルパーの一番のやりがいは、利用者や家族の感謝の言葉でしょう。
今行っている業務の先に、笑顔や「ありがとう」という言葉が待っていることを思い出してください。
「もう一度頑張ろう」と思えるはずです。
対処法2.責任者や上司へ相談する
どうしても頑張れないと思ったときは、責任者や上司へ相談をしましょう。
たとえば、利用者や家族との相性が悪く、どのように接したらよいのか分からないといった場合に効果的です。
今まで数多くの人の介護にあたってきた先輩であれば、よいアドバイスが期待できます。
どうしても折り合いがうまくいかないのなら、担当を変更してもらえるかもしれません。
また、同僚とのトラブルも、責任者や上司へ相談するべきです。
ペアを変えてもらったり、シフトをずらしてもらったりと、対処法はたくさんあります。
信頼できる責任者や上司へ相談することで、心が軽くなるでしょう。
対処法3.キャリアアップを目指す
仕事のモチベーションが上がらないのであれば、自分自身のキャリアアップを目指しましょう。
毎日の業務をこなすことだけに集中していると、大きな目標を見失いがちです。
たとえば、ケアマネージャーやサービス提供責任者を目指すといった、大きな目標をもつのもよいでしょう。
一方で「ご家族の気持ちを理解するために、今月は会話を意識しよう」と、自分で目標を見つけるのもおすすめです。
目標を定めることによって、技能のレベルがアップし職場での評価につながります。
日々の仕事が作業にならないように、目標を持って業務に取り組みましょう。
対処法4.転職を考える
仕事内容よりも、職場環境に不満があるのであれば、転職を考えましょう。
訪問介護ヘルパーの仕事の経験や介護の資格を持っている人は、介護業界で強く求められています。
多くの求人が出ているので「介護ヘルパー 地域」、「介護職 地域」と検索をしてみましょう。
今より、よい条件で働ける職場が見つかるかもしれません。
実際に、転職をするには労力がかかります。
しかし、「他にも働ける場所がある、いつでも辞められる」と、分かるだけでも気が楽になります。
今の職場に固執するのではなく、視野を広げて転職を検討してみましょう。
▼こちらの記事も参考になります。
>>介護ヘルパーはきついのか?きつい理由と対処法を徹底解説
まとめ
訪問介護ヘルパーの仕事は、とても大変です。
体力を使い、利用者や家族のプライベート空間で密に介護をおこなうので、気遣いも欠かせません。
しかし、やりがいやメリットも多いです。
以下のような人であれば、やりがいを持って仕事に取り組めます。
- 最低でも介護職員初任者研修を取得する気がある人
- 利用者一人とじっくり向き合える人
- 利用者の家族とコミュニケーションを取れる人
- 「ありがとう」という言葉を励みに頑張れる人
- ライフスタイルに合わせて長く働きたい人
人の役に立てる仕事がしたい人は、ぜひ訪問介護ヘルパーを目指してみてはいかがでしょうか。