介護ヘルパーの値段相場はどのぐらい?料金表やケース別具体例を紹介
「介護ヘルパーを利用すると、どのくらい値段がかかるの?」
「値段はどのように決まるのか具体的に知ってから依頼したい」
介護ヘルパーへの依頼を考えたとき、このような悩みを抱えたことはないでしょうか。
もし、少しでも費用を抑えて利用したいのであれば、介護に必要な値段について知っておきましょう。
今回「みーつけあ」では、介護ヘルパーの値段相場や、シチュエーション別の値段シミュレーションを紹介します。
「介護ヘルパーと介護施設のどちらを選ぶべきか迷っている」という人は、ぜひこの記事を最後まで読んで、今後の参考にしてください。
1.介護ヘルパーを利用する値段相場の料金表
介護ヘルパーを利用する際の値段は、「サービス内容」と「時間」によって変動します。
「サービス内容」は、下記の3点が基本です。
- 身体介護→利用者の身体に直接接触して行う介助サービスや自立支援・重度防止のためのサービス
- 生活援助→利用者の代わりに家事などを行うサービス
- 通院等乗降介助→車両への乗車・降車の介助や乗車前後の移動の介助サービス
この3点のサービスと「時間」を掛け合わせることで、値段相場が算出されます。
まずは、以下の表を参照ください。
サービスを受ける際の「実質負担額」は、一番右の列に「自己負担額目安(介護保険1割適用)」として記載しています。
サービス内容 | 時間 | 単位 | 総額目安 | 自己負担額目安 (介護保険1割適用) |
---|---|---|---|---|
身体介護 | 20分未満 | 167単位 | 1,670円 | 167円 |
20分以上30分未満 | 250単位 | 2,500円 | 250円 | |
30分以上1時間未満 | 396単位 | 3,960円 | 396円 | |
1時間以上 | 579単位に30分を増すごとに+84単位 | ー | ー | |
生活援助 | 20分以上45分未満 | 183単位 | 1,830円 | 183円 |
45分以上 | 225単位 | 2,250円 | 225円 | |
身体介護+生活援助 | 身体介護→20分以上30分未満 生活援助→20分以上45分未満 | 317単位 ※身体介護の所要時間が20分から起算して 25分を増すごとに+67単位 (201単位を限度) | 3,170円 | 317円 |
通院等乗降介助 | 1回につき | 99単位 | 990円 | 99円 |
※地域単価は10円を想定
※介護保険の適用は1割を想定
たとえば、身体介護を45分受ける人は「396(総単位)×10円(単位単価)×0.1%(介護保険適用1割)=396円(1回のサービスの値段)」という計算方法となります。
介護ヘルパーの値段は単位によってベースが決まる
前章の表では、値段の算出に「単位」という項目が出てきました。
この単位は、介護ヘルパーの値段を決める大切な役割を果たし、「1単位=10円」を基本として、地域ごとに定められた地域区分に応じて掛け率が設定されています。
たとえば、1級地は掛け率が「20%」です。この場合は10円+上乗せ20%となるので、1単位=12円となります。
地域区分に応じた掛け率の違いは、下記の表のとおりです。
・介護保険サービスの地域区分
地域区分 | 上乗せ割合 |
---|---|
1級地 | 20% |
2級地 | 16% |
3級地 | 15% |
4級地 | 12% |
5級地 | 10% |
6級地 | 6% |
7級地 | 3% |
その他 | 0% |
参考:厚生労働省「令和3年度介護報酬改定における改定事項について」
この地域区分は、市町村ごとに細かく定められています。
「自分はどの地域区分に当たるのかな?」とお考えの人は、厚生労働省の資料「令和3年度介護報酬改定における改定事項について」をご確認ください。
単位以外を基準として料金が加算されるケース
介護ヘルパーの値段は、「単位」をベースとして算出されます。
さらにこのベースに対して、各事業所が定める「加算」というシステムによって、価格が上乗せされる最終的な値段が決定します。
加算の代表例は、下記のとおりです。
初回加算 | 新規利用者に対して、サービス提供責任者や訪問介護員が訪問介護を初めて行った際に加算される料金のこと。 利用者が過去2ヶ月間に同じ事業所からサービスを受けていないことを要件とします。 |
---|---|
特定事業所加算 | 「介護ヘルパーが働く環境の整備」や「介護ヘルパーの質の確保」「介護度が重い利用者への利用体制を整えているか」などの対応を適切に行っている事業所が加算できる料金のこと。 |
特別地域加算 | アクセス性が低い地域に対してサービスを提供する場合に事業所が加算できる料金のこと。 |
参考:厚生労働省「訪問介護・訪問入浴介護の報酬・基準について (検討の方向性)」
サービス内容と時間によって変動する「単位」
事業所によって変わる「加算」
この2つによって、介護ヘルパーの値段は決まるということを覚えておきましょう。
2.介護ヘルパーにかかる値段の違いをケース別に計算
ここまで、介護ヘルパーにかかる値段のルールを確認してきました。
ここからは、シチュエーションに応じて具体的にどれほどの値段となっていくのかを確認していきましょう。
- 【ケース1】介護度1+週4回+身体介護
- 【ケース2】介護度2+週3回+生活援助
- 【ケース3】介護度2+週4回+身体介護・生活援助
上記3点のケースを想定して、計算をしていきます。
【ケース1】介護度1+週4回+身体介護
まずは、「週4回の身体介護を依頼する値段」をシミュレーションしてみます。
- 段階→介護度1(立ち上がりが不安定であるため入浴介助を依頼)
- サービス内容→身体介護
- 利用頻度→週4回
- 利用時間→30分以上1時間未満
【1回の利用料金】
- 30分以上1時間未満→396単位
- 単位単価→10円
- 介護保険適用1割
396×10×0.1=396円(1回あたり)
【週4回利用】
396×4=1,584円
このケースにおいて、1週間の総費用は1,584円(月換算でおおよそ6,336円)となります。
【ケース2】介護度2+週3回+生活援助
次に、「週3回の生活援助を依頼する値段」をシミュレーションしてみます。
- 段階→介護度2(1人で買い物に行くことができないため、買い物代行を依頼)
- サービス内容→生活援助
- 利用頻度→週3回
- 利用時間→50分
【1回の利用料金】
- 50分→225単位
- 単位単価→10円
- 介護保険適用1割
225×10×0.1=225円(1回あたり)
【週3回利用】
225×3=675円
このケースにおいて、1週間の総費用は675円(月換算でおおよそ2,025円)となります。
【ケース3】介護度2+週4回+身体介護・生活援助
最後に「週4回の身体介護+生活援助を依頼する値段」をシミュレーションしてみます。
- 段階→介護度2(1人での細かい行動が難しいため、食事と買い物代行を依頼)
- サービス内容→身体介護+生活援助
- 利用頻度→週4回
- 利用時間→身体介護:20分以上30分未満
生活援助:20分以上45分未満
【1回の利用料金】
- 身体介護:20分以上30分未満
生活援助:20分以上45分未満
→317単位 - 単位単価→10円
- 介護保険適用1割
317×10×0.1=317円(1回あたり)
【週4回利用】
317×4=1.268円
このケースにおいて、1週間の総費用は1,268円(月換算でおおよそ5,072円)となります。
3.負担を軽くしたい人向けの費用軽減制度
介護保険という制度によって、利用者の支払い額は総額の10%~30%に抑えられています。
しかし、「それでも介護ヘルパーに依頼をする費用を支出することが難しい」という人もいるでしょう。
そのような人向けに、ヘルパー依頼の費用を軽減する制度が設けられています。
ここでは、下記の2点について解説をしていきます。
- 高額介護サービス費
- 社会福祉法人等による低所得者に対する利用者負担軽減制度
それでは、見ていきましょう。
高額介護サービス費
高額介護サービス費とは、1ヶ月または1年間に支払った介護サービス自己負担額の合計が限度額を超えたときに、介護保険から超えた分が払い戻される制度です。
所得に応じた「区分」によって、「負担額の合計上限」が決まっています。
たとえば、課税所得が300万円の人は、負担上限額が44,400円です。
このケースで、訪問介護に対して月額50,000円を自己負担した場合には、5,600円が払い戻されます。
厚生労働省によって定められている、「区分」と「負担額の合計上限」は、下記の表のとおりです。
区分 | 負担の上限額(月額) |
---|---|
課税所得690万円(年収約1,160万円)以上 | 140,100円(世帯) |
課税所得380万円(年収約770万円) 〜課税所得690万円(年収約1,160万円)未満 | 93,000円(世帯) |
市町村民税課税 〜課税所得380万円(年収約770万円)未満 | 44,400円(世帯) |
世帯の全員が市町村民非課税 | 24,600円(世帯) |
世帯の全員が市町村民非課税 (前年の公的年金等収入金額 +その他の合計所得金額の合計が80万円以下の方等) | 24,600円(世帯) 15,000円(個人) |
生活保護を受給している方等 | 15,000円(世帯) |
参考:厚生労働省「令和3年8月利用分から高額介護サービス費の負担限度額が見直されます」
社会福祉法人等による低所得者に対する利用者負担軽減制度
社会福祉法人等による低所得者に対する利用者負担軽減制度とは、低所得者向けに社会福祉法人等が利用額を軽減する制度です。
この制度を利用することにより、利用者負担は1/4(老齢福祉年金受給者は1/2)にまで引き下がります。
この制度を利用するためには、下記要件をすべて満たし、市町村の審査を受けたうえで「確認証」が発行される必要があります。
・年間収入が単身世帯で150万円、世帯員が1人増えるごとに50万円を加算した額以下であること。
・預貯金等の額が単身世帯で350万円、世帯員が1人増えるごとに100万円を加算した額以下であること。
・日常生活に供する資産以外に活用できる資産がないこと。
・負担能力のある親族等に扶養されていないこと。
・介護保険料を滞納していないこと。
4.介護ヘルパーと介護施設入居の値段の違い
ここからは、介護ヘルパーと介護施設入居の値段の違いについて確認していきましょう。
始めに結論を述べてしまうと、「値段」において両者をひとくくりに比較することは難しいといえます。
施設の金額は事業者によって幅広く設定されており、大きな開きがあるからです。
しかし、平均を確認してみると、施設入居のほうが介護保険が適用されるヘルパーへの依頼に比べて高くなる傾向があります。
「それぞれの施設はどのくらいの価格帯なのか知りたい」という人向けに、下記3施設の紹介を行っています。
- 有料老人ホーム
- 特別養護老人ホーム
- サービス付き高齢者向け住宅
それでは見ていきましょう。
有料老人ホーム
有料老人ホームとは、入浴や排せつ、食事の介護、食事の提供などを目的とした介護施設のことです。
老人ホーム入居における費用内訳は、「初期費用」と「月額費用」になります。
値段を計る際に重要となるこの2点ですが、施設によって幅広く設定されているため一概に「老人ホームの値段は~円です」と言い切ることが難しい状況です。
入居費用については、「100万円前後」から「数千万円」の幅があります。
月額費用も10万円を超える値段が相場となっているため、実質負担10%~30%で利用できる介護ヘルパーと値段で比較することは難しいと言えるでしょう。
特別養護老人ホーム
特別養護老人ホームとは、要介護3から5に認定されている人が入居できる公的な介護保険施設です。
入居費用といった初期費用が発生しないことが、有料老人ホームと大きく異なる点となります。
月々の利用料金は10万円ほどとなっているので、有料老人ホームよりは安価に入居が可能です。
月々の費用は要介護度によって異なり、この数値が高くなるほど金額が上がります。
利用者の介護度を確認したうえで、値段を調べていきましょう。
サービス付き高齢者向け住宅
サービス付き高齢者向け住宅は、「高齢者住まい法」によって創設された民間によって運営される介護施設です。
「介護の必要がない比較的健康な高齢者」が入居する施設であるという点が、大きな特徴となります。
こちらも、月々の賃料を支払う必要がありますが、「一般型」で5万円~25万円ほど、特定施設認定を受けている「介護型」で15万円~40万円ほどが発生します。
5.介護ヘルパーへの依頼か介護施設入居か迷ったときには
介護施設入居にかかる費用は、その施設の種別に応じてさまざまです。
また、介護ヘルパーに依頼する在宅介護とは大きく金額が異なることも特徴の1つです。
しかし、「費用が安いから介護ヘルパーにお願いしよう」と安易に決めてしまうことはおすすめしません。
介護ヘルパーに依頼をして行う介護は、あくまでも週に数回の一時的なものです。
基本的には家族が面倒をみることを前提としているため、その際に発生する精神的負担や時間コストを充分に考慮する必要があるでしょう。
- 家族で介護を行っていく余裕が充分にあるのか
- 家族と被介護者、それぞれが納得するかたちになっているか
上記の点を、しっかりと話し合うことが大切です。
6.介護ヘルパーの値段・料金に関するQ&A
最後に、介護ヘルパーの値段・料金に関するQ&Aを確認していきましょう。
下記3点の疑問に回答していきます。
- 訪問介護の料金は介護保険に含まれる?
- 介護保険適用外のサービスは自費(自己負担)となる?
- 施設によって似たようなサービスでも価格が変わるのはなぜ?
それでは、見ていきましょう。
Q1.訪問介護の料金は介護保険に含まれる?
A.訪問介護の料金は、基本的に介護保険に含まれます。
保険の対象となるのは身体介護、生活援助、通院等乗降介助の3点です。
3つのサービスは、保険によって10%~30%のみの本人負担となります。
なぜなら、厚生労働省では、介護保険について以下のように定めているためです。
介護保険の被保険者は、65 歳以上の方(第1号被保険者)と、40 歳から 64 歳までの医療保険加入者(第2号被保険者)に分けられます。第1号被保険者は、原因を問わずに要介護認定または要支援認定を受けたときに介護サービスを受けることができます。
紹介した厚生労働省の一文にある「介護サービス」には、介護ヘルパーによる訪問介護が含まれています。
Q2.介護保険適用外のサービスは自費(自己負担)となる?
A.介護保険適用外のサービスは、例外が認められない限りは自費での対応となります。
具体的な介護保険適用外のサービスとしては、庭の草刈りやペットの散歩、車の洗車などが挙げられます。
身体介護、生活援助、通院等乗降介助に該当しないサービスを「実費サービス」として複合的に対応している事業者は数多くありますが、最初に「適用外サービスに対応しているか」という点をしっかり確認しましょう。
その後に、具体的な金額の確認をしていくことが大切です。
▼介護保険外サービスに関する記事はこちらから。
>>【介護保険外】訪問ヘルパーの自費サービスとは?料金や内容を徹底解説!
Q3.施設によって似たようなサービスでも価格が変わるのはなぜ?
A.似たようなサービスであっても価格が変わる原因は「加算」にあります。
サービス内容は、基本的に「単位」によって決定されますが、この単位をベースとした上で「加算によって金額が上乗せされる」という仕組みになっているのです。
加算には、初回加算、特定事業所加算、特別地域加算などいくつかの種類があります。
事業所が備えている体制や所在地によってこの数値は変動し、「同じサービスであったとしても値段が変わるという」ことを覚えておきましょう。
まとめ:介護ヘルパーの値段は保険適用で抑えられる
今回「みーつけあ」では、介護ヘルパーの値段が気になっている人向けに、表やケース別の例を通して具体的に確認を進めてきました。
介護ヘルパーへの依頼は、介護保険が適用されるということもあり、金銭的な負担は少なく介護を行うことができます。
利用者や家族にとってやさしい制度であると言えるでしょう。
一方で、利用者の個別状況、家族が関われる範囲などをしっかりと精査することも必要です。
もし、介護ヘルパーや家族だけの力では足りないようなら、施設への入居も選択肢に入ってくるでしょう。
今置かれている状況を充分に考え、本当に必要なサービスを選び取っていくことが大切です。