介護ヘルパーは同居家族がいても依頼できる?条件や具体例を紹介
介護ヘルパーの利用を検討してはみるものの、「同居家族がいるから依頼できない」と諦めてしまう人は多いです。
しかし、同居家族がいても「決められた状態・条件」に当てはまるなら、介護ヘルパーを利用できます。
今回「みーつけあ」では、同居家族がいても介護ヘルパーを頼める状態・条件について分かりやすく解説します。
同居していても、介護ヘルパーを利用して無理なく豊かな生活を送りましょう。
1.介護ヘルパーは同居家族がいても利用できる
同居家族がいても、「定められた条件」を満たせば介護ヘルパーは利用できます。
まずは、ケアマネジャーに相談しましょう。
ケアマネジャーは、以下の方法で探すことができます。
- 介護予定者のかかりつけ病院による紹介
- 地域の介護福祉に関する部署
- デイサービスセンターの紹介
介護される利用者さんだけではなく、同居家族にとっても長く付き合っていける人を探すのが大切です。
ケアマネジャーには、現在の状況を説明して、在宅で介護ヘルパーによる介護を受けられるか確認しましょう。
受けられる場合は、身体介護か生活援助なのかという点まで相談してください。
介護ヘルパーに依頼できると決まれば、ケアマネジャーが判断して、適切なケアプランを作成します。
ケアプランは、利用者さんがよりよい生活を送るために必要な介護サービスを考えた、個人単位の計画書のことです。
同居家族がいる場合は、現状を調べてケアプランを作成する必要があります。
介護ヘルパーを依頼できるかどうか、事前に知っておくことでスムーズに手続きを勧められるでしょう。
▼介護ヘルパーのサービス開始までの流れについては以下の記事をご参考ください。
>>訪問ヘルパーのサービス開始までの流れについて|費用やサービス内容も紹介します!
2.同居家族がいても介護ヘルパーを利用できる具体例
同居家族がいても介護ヘルパーを利用できるケースを、3つに分けて紹介します。
- 同居家族が病気や怪我・障がいで介護できないケース
- 同居家族が元気でも日中は家にいないケース
- 同居家族のケアプランが別々に作成されるケース
基本的には、病気や怪我、障がいなどのやむを得ない事情がある場合に、介護ヘルパーを利用できます。
また、仕事や生活を維持するために必要な家事で家を開けることが多く、安心して生活を営めない状態と判断されたときも利用可能です。
それぞれの具体例を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
具体例1.同居家族が病気や怪我・障がいで介護できない
相談者の家族構成 | 相談例 |
---|---|
・相談者(56歳) ・相談者の元夫(57歳/離婚済) ・相談者の母(70歳) | ・相談者は離婚済み ・交通事故の後遺症で障がいと鬱病を発症 ・自分の身の回りのことはなんとかできるようになったが、認知症の傾向が出てきた |
介護ヘルパーの利用は、同居していても介護を十分に行えない状態なら、受け付けてもらえることが多いです。
要介護者の面倒を見られない状況とは、同居家族等が障がい(身体・知的・精神)を有し、家事をすることが不可能である場合を指します。
例を見ると、相談者は同居家族として認められますが、夫はおらず、交通事故の後遺症で身体の障がい、そして精神的な病気を抱えています。
こうしたケースでは、単に障がい者手帳の有無だけで判断せず、実際に障がいを理由として、家事をすることが可能か否か判断する必要があります。
また、「どの程度の家事であればできるのか」という同居家族の「できること」を探すことも、ケアマネジャーの役目です。
客観的にできること・できないことを見てもらうことで、改めて自分たちの生活を見直すことにつながるケースもあります。
具体例2.同居家族が元気でも日中は家にいない
相談者の家族構成 | 相談例 |
---|---|
・相談者(35歳) ・相談者の妻(32歳) ・相談者夫婦の息子(10歳) ・相談者の父(75歳) | ・母が亡くなり、独居させることが難しくなった父を引き取った ・共働きで、相談者も妻も日中は家いない ・経済的な理由から、退職はできない ・息子もまだ10歳と幼く、できる家事は限られる |
こちらのケースでは、仕事に出ている間に父の介護をできる人がいません。
2人とも働かないと、経済的に困難であるということを説明して、ケアマネジャーと話を進めていくことで、食事などの援助を受けられる場合があります。
ただし、夜にできる家事については、援助が受けられない可能性が高いです。
安全性に配慮して、必要と判断された場合は同居家族が元気でも介護ヘルパーの利用が認められることがあるでしょう。
具体例3.同居家族のケアプランが別々に作成される
同居家族に要支援または要介護認定の人が複数いる場合、ケアプランが別々に作成されるケースがあります。
たとえば、二人暮らしの高齢夫婦が揃って要介護状態になった場合、夫のケアプランと妻のケアプランを別々に用意する、といった形です。
介護保険のサービスは、ケアプランにもとづいて、「個人単位」で作られます。
そのため、同居しているとしても、それぞれに必要な介護内容に合わせて介護ヘルパーが利用できます。
同居家族が要支援・要介護に認定されている場合は、介護ヘルパーを利用できるケースがほとんどですので、担当のケアマネジャーに確認してみましょう。
3.同居家族がいるときの生活援助・身体介護の依頼で知っておきたい3つのポイント
同居家族がいるときに生活援助・身体介護という介護ヘルパーのサービスを利用するなら、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 家事ができない・苦手は該当しない
- 共用部分は基本的に依頼できない
- サービス内容は市区町村の指示に従うことになる
介護ヘルパーは、あくまでもやむを得ない理由で介護ができない場合に、利用が認められているサービスです。
家事ができないから依頼したい、苦手だから頼みたいといった個人的な理由では利用できません。
「相談までしたのに、利用できないと言われた」といった失敗をしないように、3つのポイントをチェックしておきましょう。
ポイント1.家事ができない・苦手は該当しない
「私は掃除がうまくできないから」
「料理が苦手だから」
このような理由では、介護サービスは利用できません。
なぜなら、「介護は同居家族が行う」という、国の基本方針があるためです。
第三者から見て、「確かにこの状況では、同居者が介護することはできない」と判断されて初めて、介護サービスが利用できるのです。
仕事で外出していて、家事ができないなどの明確な理由がないケースでは、介護ヘルパーの利用は難しいでしょう。
ポイント2.共用部分は基本的に依頼できない
とくに扱いが難しいのが、「共用部分」についての扱いです。
介護で着目すべき共用部分とは、以下のような住宅内の設備が挙げられます。
- トイレ
- 利用者さんの部屋以外の部屋
- お風呂
基本的に、共用部分は同居家族が対応するべき場所として考えられます。
そのため、トイレやお風呂の掃除や、雑草が生えた庭の手入れなどの依頼は、できないものとして考えてください。
他にも、洗濯や買い物、料理などの「同居家族も利用するもの、同居家族が自分のものと一緒にできるもの」については、依頼することができません。
しかし、以下のような例外もあります。
- 失禁が多いことで衣類を別で選択する必要がある
- トイレが滑りやすく日中家族がいないところで転倒する可能性が高い など
上記の理由では、同居家族の共有部分であっても依頼できる可能性があります。
ポイント3.サービス内容は市区町村の指示に従うことになる
同居家族がいる場合、介護ヘルパーのサービスを適用するかの最終決定は、市区町村が行います。
相談者が必要と思って依頼しても、担当のケアマネジャーが作成したケアプランを市区町村が確認し、「同居家族が対処できる」と判断すれば、介護サービスを受けることができません。
このように、市区町村の判断はケアマネジャーと異なる場合もあります。
介護サービスを利用せずに、「なるべく同居家族のできることを引き出そう」と努力することがケアマネジャーにも求められています。
また、以下のような個人的な理由は対象になりません。
- 自分以外の家族には頼みにくい
- 家事は苦手
- この人は苦手
介護ヘルパーは、市区町村が認めなければ利用できないことも覚えておいてください。
4.同居家族がいて介護ヘルパーを依頼する際の注意点
同居家族がいて介護ヘルパーを依頼するなら、事前にアセスメントが行われることに注意しましょう。
アセスメントとは、介護を行う際に「利用者さんが何を必要としているのか」を正確に測るために行われる、評価や査定です。
簡単にまとめると、「利用者さんの現状を把握するための事前調査」ということになります。
アセスメントは、各事業所の指定シートに記入したり、システムに入力することで作成され、ケアマネジャーによって差がでないようになっています。
たとえば、以下のような環境の変化もアセスメントが必要です。
- 以前いた家族が家を出た
- 引越しやリフォームなどで住む家の仕組みが変わった など
アセスメントの結果によって、今まで利用していた介護ヘルパーが終了となることもあります。
5.同居家族がいるときの介護ヘルパー利用で気になるQ&A
最後に、同居家族がいるときの介護ヘルパー利用で多かった質問3つに回答していきます。
- 介護ヘルパーに身体介護は依頼できる?
- 介護保険に同居が不利になることはある?
- 同居家族がいる要支援でもサービスは受けられる?
今後、介護ヘルパーを利用するときに知っておくと便利な知識なので、確認をしておいてください。
Q1.介護ヘルパーに身体介護は依頼できる?
A.身体介護は、介護ヘルパーの仕事範囲のため、対応してもらえます。
しかし、介護対象は利用者さん本人に限ります。
元気な同居家族はもちろんですが、他のケアプランを利用している同居家族も依頼できません。
入浴や通院なども依頼できるため、現在の状況を細かく説明しましょう。
Q2.介護保険に同居が不利になることはある?
A.介護保険に、同居家族が影響することはありません。
なぜなら、介護保険の認定調査は、介護を必要とする利用者さん個人の状態を見て決められるからです。
現在の状況を見て、サービス内容が調整される介護ヘルパーとは違います。
誰もが正しく認定を受けて、適切なサービスを受けられるような制度ですので安心してください。
Q3.同居家族がいる要支援でもサービスは受けられる?
A.同居家族がいる要支援の人でも、介護ヘルパーのサービスは受けられます。
要支援1〜2に該当する人は、サービスが必要であると判断された場合にケアマネジャーと市区町村の判断でケアを提供してもらえます。
現在の状態に合わせて、適切なプランを作ってもらうためにも、「要支援だから」と諦めず、まずはケアマネジャーに相談してみましょう。
まとめ:介護ヘルパーを利用するために相談しよう
同居家族がいても、介護ヘルパーを利用できるケースはあります。
まずは介護認定を受けてから、ケアマネジャーに相談して判断してもらってください。
どうしても時間が取れない、介護の負担が大きく生活が厳しいなど、あなたを救ってくれる制度が多数用意されています。
介護ヘルパーの利用以外の選択肢も、ケアマネジャーなら適切に提案してくれるでしょう。
ご紹介した内容を参考に、無理なく過ごせる日常を手に入れる1歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。