訪問介護ヘルパーによる買い物代行サービスのできること・できないこと
「訪問介護の買い物支援って、どこまでやってよいの?」
「できないことを頼まれたときの対処法が知りたい」
訪問介護の仕事をしていると、買い物代行を頼まれる機会は多いですよね。
しかし「具体的にはどういったサービスなのか」「どこまで支援してよいのか」を、理解している人は少ないのではないでしょうか?
買い物代行の範囲は、「利用者本人が生活するうえで必要不可欠な買い物のみ」です。その範囲を超えた場合、規則違反となる可能性があります。
そこで今回「みーつけあ」では、買い物代行サービスのできること・できないことについて紹介していきます。
買い物代行サービスでやっていいこと・いけないことを把握して、トラブルを防ぎましょう。
訪問介護ヘルパーの買い物代行サービスとは
1人での買い物が不安な人を、「買い物難民」と呼びます。
公共交通機関の発達や高齢化の影響により、買い物難民は年々増加している状況です。
このような買い物難民の方々が、訪問介護ヘルパーに買い物を代行してもらえるサービスを「買い物代行サービス」といいます。
買い物代行の主なサービス内容は、以下のとおりです。
- ヘルパーが利用者宅に訪問
- 買い物リストと代金を預かる
- 買い物代行
- 利用者宅へお届け
- 費用を精算
まずは、利用者宅で買い物してほしいものと費用を確認します。
その後、近くの店で買い物を済ませて、品物の精算を行うまでが1回のサービスとなります。
訪問介護ヘルパーの仕事は大きく分けて3種類
訪問介護の仕事は、大きく分けて「身体介護・生活援助・通院介助」の3種類です。
このなかで、買い物代行は「生活援助」に含まれます。
- 身体介護…利用者の身体に直接触れて行う介助。食事・排せつ・入浴介助など
- 生活援助…日常生活を送るうえで必要な家事のサポート。買い物代行・調理・掃除など
- 通院介助…通院の補助。通院・退院時の付き添いや送迎など
生活援助は、あくまで日常生活を送るうえで最低限必要な家事をサポートすることが目的です。
そのため、買い物代行の範囲は利用者本人の生活必需品や、薬の受け取りなどが基本となります。
▼訪問介護ヘルパーの仕事内容に関する記事はこちらから。
>>介護ヘルパーとはどんな仕事?【仕事内容や必要な資格を紹介】
買い物代行サービスの費用
介護保険適用内の場合、買い物代行サービスの費用は以下のとおりです。
時間 | 単位 | 料金目安 | 1割負担 | 2割負担 | 3割負担 |
20分以上45分未満 | 183 | 1,830円 | 183円 | 366円 | 549円 |
45分以上 | 225 | 2,250円 | 225円 | 450円 | 675円 |
※1単位=10円として計算(地域差あり)
上記は、訪問介護における「生活援助」の利用料目安となります。
介護保険が適用されない自費サービスの場合は、30分500円ほどの設定額が多いです。
買い物代行サービスで利用する場所
買い物を行う主な場所は、以下のとおりです。
- スーパーマーケット
- コンビニエンスストア
- 薬局 (受取りが主)
- 服屋
- 靴屋
介護ヘルパーが行える買い物代行は、利用者宅の近くにあるお店のみです。
目安としては、買い物も含めて往復30分以内と定めている事業所もあります。
遠方の買い物を頼まれた場合は、自費サービスの利用を提案してあげましょう。
訪問介護ヘルパーが買い物代行サービスでやってよいこと
介護保険法では、訪問介護について以下のように定めています。
介護を受けるもの(以下「居宅要介護者」という。)について、その者の居宅において介護福祉士その他政令で定める者により行われる入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話であって(以下略)
したがって、「介護保険適用内の買い物代行サービス」でやってよいことは、以下のとおりです。
- 日常生活を送るうえで必要不可欠な買い物
- 利用者本人に必要な買い物
また、訪問介護ヘルパーはケアマネジャーの定める「介護計画(ケアプラン)」に沿って、サービスを提供する必要があります。
利用者に頼まれたからといって、「何でもしてあげてよい」というわけではありません。
介護ヘルパーがやってはいけないことについても、しっかり把握しておきましょう。
訪問介護ヘルパーの「買い物代行サービス」でやってはいけないこと
「介護保険適用内の買い物代行サービス」でやってはいけないこととして、以下の2つが挙げられます。
- 日常生活を送るうえで必要のない買い物
- 利用者以外のための買い物
上記を前提にして、介護計画(ケアプラン)にはないサービスを提供しないように注意しましょう。
ここからは、具体例や対処法について紹介します。
買い物代行サービスでやってはいけないことの具体例
介護保険が適用されない買い物代行サービスの具体例は、以下のとおりです。
- お酒やタバコなどの嗜好品を購入する
- お歳暮や来客用の品を購入する
- 普段利用しないデパート等での購入
- 行事用の食品や物品を購入
- 訪問前の事前購入
他にも、遠方での買い物や、観光の付き添い等も介護保険が適用されません。
介護保険適用外の買い物代行をお願いされたときの対処法
介護保険適用外の買い物代行サービスをお願いされた場合、あいまいな回答をしないように心がけましょう。
回答例は以下のとおりです。
内容 | 回答例 |
---|---|
お歳暮を買いに行きたい | お歳暮の購入は契約外なので出来ません。 |
タバコと酒を買ってきてほしい | 〇〇病院から止められていてできません。 |
隣の市にあるデパートで食材を購入したい | 延長料金をいただくことになります。 |
事前に野菜を買い、次に持ってきてほしい | お金の貸し借りはトラブルに繋がるのでできません。 |
あいまいな回答をすると、「前のヘルパーさんはやってくれた」「どうしてもお願いしたい」といった形で、問題が先延ばしになってしまいます。
「申し訳ございません」という低姿勢を維持しながら、「なぜ実施できないか」という理由を伝えましょう。
また1人で解決できない場合、「一度相談させていただきます」とその場を収めるのも有効です。
上司やケアマネジャーに相談して、指示を仰ぎましょう。
▼訪問介護ヘルパーのできること・できないことについては、以下の記事もご参考ください。
>>訪問介護ヘルパーに頼めることって?できること・できないことを紹介
介護保険適用外の買い物代行サービスを実施するには?
介護保険適用外の買い物代行サービスをお願いされた場合には、「自費サービス」の利用を促しましょう。
自費サービスとは、利用者が「全額自己負担」で行う買い物代行サービスです。多くの運営主体は民間企業となります。
自費サービスであれば、「嗜好品の購入、お歳暮の購入」といった買い物代行も可能です。
そのため、無理なお願いされた場合は、新たな選択肢として自費サービスを伝えてみてください。
▼関連記事はこちらから。
>>【介護保険外】訪問ヘルパーの自費サービスとは?料金や内容を徹底解説!
まとめ:利用者に買い物代行の範囲を理解してもらおう!
介護ヘルパーの「買い物代行サービス」は、1人での買い物が難しい人向けのサービスです。
- 生活必需品の買い物
- 利用者本人が必要な買い物
- 介護計画(ケアプラン)に沿った買い物
訪問介護ヘルパーとして働くかぎり、利用者さんから無理なお願いをされる機会は必ず訪れます。
介護保険が適用される基準を理解して、規約外のサービスを提供しないように注意しましょう。
▼代行サービスとの違いも踏まえて知りたい方は、以下の記事が参考になります。
>>訪問ヘルパーが買い物代行で買えないものとは?代行サービスとの違いについて紹介