介護ヘルパーは無資格でもできる!業務や取っておきたい資格を解説
「無資格だけど、介護ヘルパーになれるのかな?」とお悩みですね。
無資格でも、介護ヘルパーになってその力を存分に発揮させることは可能です。
しかし、働き出してから資格を取ろうとすると、勉強する時間の余裕がないことでキャリアアップまでに時間がかかることがあります。
今回「みーつけあ」では、無資格でもできる介護ヘルパーの業務や、資格を取得してからの就職をおすすめする理由を解説しています。
ぜひ参考にして、無資格の介護ヘルパーがどのような働き方をするのか、イメージを描きましょう。
1.介護ヘルパーには無資格でもなれる
無資格・未経験であっても、介護職に就くことはできます。
特別養護老人ホームやグループホームといった施設や、訪問介護でも求人は多いです。
無資格でも求人が多い理由は、「人手不足」にあります。
介護労働安定センターの「令和元年度介護労働実態調査」によると、事業所の65.3%が人手不足という状況です。
人手不足の要因は、他社と人材を取り合っている状況であることや、仕事内容のわりに賃金が低いため離職してしまうことが挙げられます。
そのため、介護業界は常に人手不足となっており、無資格・未経験でも働きながら資格を取得できるわけです。
しかし、知識がないまま介護ヘルパーになると、忙しさから心身に大きな負担がかかる可能性があります。
実際に無資格で介護職に就いた場合の業務内容を確認して、仕事を想像してみましょう。
▼人手不足に関する記事はこちらから。
>>訪問ヘルパーの人手不足が止まらない!原因や悩みのタネとは?
2.介護ヘルパーが無資格でもできる4つの業務
介護ヘルパーの仕事は、知識と経験が必要です。
そのため無資格の介護ヘルパーは、有資格者の補助がメインの業務内容となります。
主に以下の4つが、無資格の介護ヘルパーの仕事です。
- 利用者さんの身体介護(施設介護のみ)
- 利用者さんの身の回りのお世話
- 施設の事務業務
- その他の知っておきたい仕事
業務内容を順番に見ていきましょう。
業務1.利用者さんの身体介護(施設介護のみ)
介護ヘルパーは、利用者さんが必要とする身体介護を行います。
身体介護とは、食事・着替え・入浴・排せつ・移動といった利用者さんの身体に触れて行う介護のことです。
たとえば、食事を口まで運んだり、ベッドから車いすに移したりします。
ただし、痰の吸引や爪切りといった医療行為にあたる専門性の高い身体介護は、無資格者では行えません。
施設介護員として学びながら介護職員初任者研修を取得して、実務経験を積んで実務者研修を受けることで初めて行えるようになります。
また、訪問介護における身体介護も、特例を除いて無資格では行えない業務です。
介護ヘルパー(訪問介護員)として身体介護を行いたい場合は、介護職員初任者研修を取得しましょう。
▼介護ヘルパーの資格に関する記事はこちらから。
>>介護ヘルパーの資格とは?初任者研修・実務者研修との違いや内容を解説
業務2.利用者さんの身の回りのお世話
無資格の場合、掃除や洗濯・食事の用意といった「生活援助」という業務があります。
たとえば、薬局や病院に薬を受け取りに行ったり、衣服を整理したりするなど、生活援助は利用者さんに触れずに行う介護です。
訪問介護ヘルパーの場合、家事やゴミ出しの代行をすることがあります。
その家で行われている掃除方法やゴミを出す日といったことも把握して、業務にあたらなければなりません。
ただし、生活援助でサービスを提供できるのは利用者さんに対してのみです。
食事の用意であれば、利用者さんの家族の分も一緒に作ることはできません。
無資格のうちは、どこまでが仕事の範囲として行ってよいのか判断に困ることが多いため、先輩や所属事務所の担当者から指示をもらいましょう。
業務3.施設の事務業務
介護ヘルパーとして介護施設に勤務するなら、施設の事務業務も行います。
書類整理や施設の備品の注文、来訪者の対応といった仕事をすることも業務の一環です。
介護保険の仕組みや介護報酬の知識があれば、請求業務を任せられることもあるでしょう。
事務業務は、利用者さんを直接ケアできない仕事ですが、用品の位置や使い方を学ぶよいチャンスになります。
雑用と考えるのではなく、学ぶチャンスが巡ってきたと前向きに捉えてみてください。
そうすることで、急に特定の用品が必要になったときに「頼りがいのある」介護ヘルパーとして力を発揮できるでしょう。
業務4.その他の知っておきたい仕事
他にも、送迎やレクリエーションの実施といった業務もあります。
たとえば、デイサービスといった通所型の事業所では、ケアだけではなく利用者さんを送迎する車の運転手も業務の1つです。
地図を確認して、実際に家に着くまでにはドキドキすることもあるでしょう。
また、施設で行われるレクリエーションを企画して、あなたが中心となって進めていくことがあります。
このように、介護の資格がなくてもできる業務はたくさんあります。
無資格の介護ヘルパーの業務内容を知ったところで、訪問介護の身体介護について知っておきたい特例を確認しましょう。
3.厚労省が発表!無資格で訪問介護の身体介護もできる特例
これまで訪問介護の身体介護は、介護職員初任者研修を修了していないと行えませんでした。
しかし、厚生労働省によると、以下のように柔軟に対応してもよいという対処となっています。
個別の事情を勘案し、新型コロナウイルス感染症の影響により一時的に訪問介護員の資格を持った人を確保出来ないと判断できる場合であれば、幅広く認められる。
つまり、通常では認められなかった新型コロナウイルス感染症によって有資格者を確保できない場合は、無資格の介護ヘルパーによる身体介護を認める特例が設けられたのです。
具体的には、2021年3月に厚生労働省が施設の利用ができなくなった利用者さんに対して、訪問介護の提供が増えたり、介護職員の発熱などで人員を確保できなかったときに特例を認めました。
さらに4月、上記の場合に限らず、有資格者の人員確保が難しいなら、事業所の判断で柔軟に対応できます。
ただし、介護ヘルパーなら誰でもよいというわけではありません。
介護施設で経験を積んでいて、サービス提供に支障がないということが条件です。
また、今回の特例は一時的なもので、新型コロナウイルス感染症が治まったときには、解除される可能性があります。
そのため、原則訪問介護の身体介護は資格がないとできないと覚えておきましょう。
4.無資格で介護職に就くメリット・デメリット
無資格でも介護職に就くことはできますが、メリットとデメリットがあります。
- メリット|すぐに現場の介護スキルを習得できる
- デメリット|介護スキルを向上できないまま働くことになる
無資格で働けることで、現場で使える介護技術をすぐに身につけられます。
介護の技術は、利用者さんに合わせてアレンジされるため多種多様ですから、資格取得を目指すときに役立ちます。
ただし、基礎を知る前にアレンジされた方法を覚えるため、新規利用者さんのケアが難しくなるでしょう。
では、どうしてこうした現象が起きるのか詳しく紹介します。
メリット|すぐに現場の介護スキルを習得できる
まず、現場で指導を受けながら働くため、介護スキルを習得しやすいです。
最初は覚えることが多く大変ですが、現場で働かないと得られない知識や技術はいろいろあります。
たとえば、以下のような技術は実務をしなければ得られない知識・技術の一例です。
- 利用者さんの希望に合わせた介助方法
- 怪我や病気に合わせた介助方法
- 失語を伴う疾患のある利用者さんとのコミュニケーション
資格取得の授業で教えてもらえるのは、介護技術の「基本」。
現場では、覚えた基本からさらに利用者さんに合わせてアレンジする「応用」が求められます。
無資格で働くことは、資格の取得で行う座学や実技研修だけでは学べない介助方法・コミュニケーション技術を、先輩に教わりながら覚えられるメリットがあるわけです。
デメリット|介護スキルを向上できないまま働くことになる
無資格で介護ヘルパーとして働くデメリットが、身につけた介護スキルを向上できないまま働くことです。
なぜなら、介護技術の基本を覚える前に応用に入るため、なぜアレンジした方法が行われているのか、自分自身が理解できていないからです。
また、理解できていたとしても、正しい基本が身についていないことで「新規の利用者さん」にどう接したらよいのか、判断に困るケースもあるでしょう。
人手不足が深刻化している事業所では、忙しさに追われてスキルアップする時間の余裕が取れないこともあります。
そのため介護ヘルパーを目指すのであれば、無資格のまま就職するより、先に資格を取得することで基礎知識を得るのがおすすめです。
なぜ資格を取得してから働いたほうがよいのか、次章で理由を確認しましょう。
5.就職前に資格取得をおすすめする5つの理由
無資格で介護現場に飛び込むより、就職する前に介護職員初任者研修(以下、初任者研修)を修了しましょう。
理由は5つあります。
- 働きだすと忙しくて資格を取得しにくい
- 新人教育のない施設もある
- 無資格より給料がよい
- 介護のイメージを掴みやすい
- 現場の要望に的確に応えられる
就職前に初任者研修を取得すれば、介護現場でより柔軟に活躍できるでしょう。
順番に説明します。
理由1.働きだすと忙しくて資格を取得しにくい
介護の現場は常に忙しいため、勉強する時間を十分に取れない可能性があります。
勉強に時間を割けないと、いくら経験を積んでいても資格は取れません。
介護職員の入門資格である初任者研修を修了するには、130時間の講義を受講する必要があります。
スクールのコースによって早くて1ヶ月、長くて4ヶ月の間、休日や夜間を利用して研修を受けることになるのです。
研修に時間がかかることから、資格取得のバックアップ体制のない事業所でないと、働きながら資格を取得することが困難となります。
理由2.新人教育のない施設もある
事業所によっては、しっかりした研修をしないまま、初日から利用者さんの介助をする可能性があります。
なぜなら、忙しい事業所では、新人のために研修時間を取れないことがあるからです。
すると、先輩や上司から指示を受けても理解できず、戸惑いながら仕事を始めることになります。
しかし、資格を取得していれば、ある程度の介護知識は習得しているため、新人教育のない事業所でも働きやすいでしょう。
理由3.無資格より給料がよい
資格を取得している人は、無資格の人より給料がよくなります。
なぜなら、資格手当を設定している事業所が多いためです。
実際に厚生労働省の「令和2年度介護従事者処遇状況等調査」から、無資格より初任者研修を受けている人の方が、月給で約2.5万円高いことが分かります。
このことから、就職前に資格を取得することで、無資格より高い給料で仕事をスタートできるのです。
理由4.介護のイメージを掴みやすい
資格を取得するために勉強することで、実際の介護をイメージしやすいというメリットもあります。
介護資格では身体介護だけでなく、利用者さんとのコミュニケーション方法についても学ぶため、介護全体のイメージを掴みやすいのです。
もし無資格で就職すると、思っていた介護と現実の介護とのギャップに悩むことがあります。
たとえば、認知症グループホームでゆっくりと高齢者の介護に関われると思っていたのに、急に怒鳴られたり、泥棒扱いされたりすることがあるのです。
しかし、事前に認知症の人の症状や言動が分かっていれば、深く傷つくことはありません。
このように、資格を取得していれば、介護の現実を理解して働き始めることができます。
理由5.現場の要望に的確に応えられる
資格を取っておくと、介護現場の要望に応えやすくなります。
なぜなら、先輩や上司の指示や利用者さんの要望に、自分の知識を照らし合わせて何をすればよいか判断して、素早く対応できるからです。
求められていることに応えられるということは、覚えなければならないことが減り、精神的に負担が軽くなります。
無資格の人で、時間が確保できるなら介護職員初任者研修に挑戦しましょう。
6.初めての介護資格は初任者研修が取りやすい
初めての介護資格は、初任者研修をおすすめします。
なぜなら、初任者研修では介護の基礎をしっかり学べ、前提知識がなくても取りやすいためです。
以下の表に、初任者研修の受講時間や費用をまとめています。
受講時間 | 130時間 |
期間 | 1ヶ月から4ヶ月程度(受講するスクールやコースによる) |
費用 | 3万円から9万円程度(受講するスクールやコースによる) |
初任者研修は、実技を学ぶために通学する必要があります。
そのため、自宅から近いスクールのほうが通いやすいでしょう。
期間や費用は選択するスクールやコースによって異なるため、数社のパンフレットを取り寄せて比較してください。
また、初任者研修の上位にあたる資格は、実務者研修となります。
実務者研修も初任者研修と同様、無資格から取得できるものの、経験がないと取得が難しいです。
また、初任者研修を取得してから実務者研修を受けたほうが、免除される講義もあり、費用もおさえられます。
そのため、初めての介護資格は、初任者研修を取得しましょう。
▼介護職員初任者研修に関する記事はこちらから。
>>介護ヘルパーになるには?最短ルートを解説【必要資格や業務内容も】
まとめ:介護資格を取得してからの就職がおすすめ
無資格でも、介護ヘルパーになることは可能です。
しかし、就職後は資格を取得するための時間が取れないことがあります。
資格を取得できないと、給料やスキルアップが難しく、仕事を続けていくことが辛くなることもあるでしょう。
そのため、働きだす前に初任者研修を修了できれば、介護の仕事をイメージできて、現場の要望にも応えられます。
介護業界で長く働き続けるためにも、スタート時点で資格を取得してから就職しましょう。