在宅介護と施設介護にかかる費用を徹底比較!
「介護にはどのくらいの費用がかかるの?」
「施設介護と在宅介護ではどちらが安いのか知りたい」
介護は、誰にでも起こりえる問題です。どのくらいの費用がかかるかイメージできず、漠然とした不安を抱える人は多いのではないでしょうか。
介護にかかる費用は「在宅介護をするか」「介護施設に入居するか」で異なります。両方の相場が分からないと、貯金や年金で足りるのか把握できません。
そこで今回「みーつけあ」では、在宅介護と施設介護にかかる費用を徹底比較していきます。
介護にかかる大まかな費用を理解することで、将来への不安を軽減できますよ。
在宅介護サービスにかかる費用は?
在宅介護サービスは、訪問介護ヘルパーが利用者の自宅を訪問して、介護サービスを提供します。
訪問介護の具体的なサービス内容は、以下の3つです。
- 食事・入浴など直接身体に触れて行う「身体介護」
- 洗濯・調理などの家事全般をサポートする「生活援助」
- 通院時のサポートを行う「通院介助」
また、訪問介護は「サービス内容・時間・自己負担」によって費用が変わります。
費用は「単位」と呼ばれる値で表され、地域によって1単位あたりの金額は違います。
訪問介護の費用一覧は以下のとおりです。
サービス内容 | 項目 | 単位数 | 1単位10円としたときの費用目安 |
身体01 | 20分未満の身体介護 | 167単位 | 1,670円 |
身体1 | 20分以上30分未満の身体介護 | 250単位 | 2,500円 |
身体2 | 30分以上1時間未満の身体介護 | 396単位 | 3,960円 |
身体3 | 1時間以上1時間半未満の身体介護 | 579単位 | 5,790円 |
身体4 | 1時間半以上2時間未満の身体介護 | 663単位 | 6,630円 |
生活援助2 | 20分以上45分未満 | 183単位 | 1,830円 |
生活援助3 | 45分以上 | 225単位 | 2,250円 |
通院等乗降介助 | 1回につき | 99単位 | 990円 |
介護保険制度により、1単位10円としたときの費用目安のうち「1~3割」が自己負担となります。
居住する地域や、夜間対応等の加算によって費用は増減する点に注意しましょう。
在宅介護サービスでかかる費用平均とは
「生命保険に関する全国実態調査平成30年」によると、自宅で介護を行うのにかかる費用目安は以下のとおりです。
- 一時的にかかる費用…83.3万円
- 月額費用…4.4万円
出典:生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査平成30年」
一時的にかかる費用とは、住宅改修や福祉用具の購入などにかかる費用を指します。
月額費用は、訪問介護サービスを利用した際の費用です。デイサービス等の通所介護も、月額費用に含まれます。
在宅介護サービスの費用は要介護度によって変わる
家計経済研究所が2017年6月に発表した「在宅介護のお金と負担」によると、要介護度によって在宅介護にかかる費用は変わります。
要介護度別の費用目安は、以下のとおりです。
要介護1 | 要介護2 | 要介護3 | 要介護4 | 要介護5 | |
介護サービスへの支出 | 0.7万円 | 1.4万円 | 2.5万円 | 1.7万円 | 2.1万円 |
介護サービス以外の支出 | 2.6万円 | 3.0万円 | 3.5万円 | 4.2万円 | 5.3万円 |
全体 | 3.3万円 | 4.4万円 | 6.0円 | 5.9万円 | 7.4万円 |
※被介護者1人当たりの費用・期間は1か月
症状の少ない要介護度1は、3.3万円です。
多くの介護を必要とする要介護度5では7.4万円となっており、およそ4万円の費用差があります。
介護をする家族がいれば費用は少なく済む
同居する家族が介護を行えるのであれば、介護費用は少なく済む可能性が高いです。
ただし、腰痛といった身体的な負担や、24時間気を遣うことによる精神的な負担といったリスクもあります。
そのため、費用と負担のバランスを考えて介護サービスを選択することが大切です。
在宅介護と施設介護にかかる費用を計算・比較
ここからは「在宅介護」と「施設介護」にかかる費用を、比較検討していきます。
まずは、在宅介護の費用目安を計算していきましょう。
日本の健康寿命と平均寿命の差は、「男性およそ9年」「女性およそ12年」です。そのため今回は中間の10年として計算します。
10年×(在宅介護の月額費用4.4万円×12か月)=528万円
528万円に「一時的にかかる費用83.3万円」を足すと、およそ611万円となりました。在宅での介護にかかる費用は、10年で600万円以上かかると想定できます。
在宅介護と施設介護の費用を比較!
続いて施設介護にかかる費用を計算していきます。
介護保険施設である「特別養護老人ホーム」と、民間企業が運営母体の「介護付き有料老人ホーム」の2つを計算した結果は、以下のとおりです。
●特別養護老人ホーム
- 入居一時金…0円
- 月額利用料…7~15万円
- 月額利用料10万円×10年で計算…1,200万円
●介護付き有料老人ホーム
- 入居一時金…0円~数百万円
- 月額利用料…20~30万円
- 入居一時金200万円+月額利用料20万円×10年で計算…2,600万円
施設介護の場合、どちらも1,000万円以上の費用がかかることが分かります。設備が充実している施設では、さらに費用が高くなるケースもありますよ。
在宅介護と施設介護はどちらがよいの?
ここまで費用目安を比較してきましたが、費用だけで適したサービスを判断することはできません。
なぜなら、介護サービスにはそれぞれのメリット・デメリットがあり、人によって向き不向きは異なるからです。
介護者・被介護者に合ったサービスを選択できるよう、メリット・デメリットをみていきましょう。
①在宅介護のメリット・デメリット
在宅介護の主なメリットは、「自宅なので安心感がある・個別対応なので必要なサービスを選択しやすい・費用が安い」という3点です。
いっぽう在宅介護の主なデメリットは、「夜間対応が充実していない」「介助者の負担が大きい」の2点となっています。
そのため、在宅介護は自宅で過ごしたい人に向いています。経済的な負担も少ないので、仕事や貯金を踏まえて選ぶのも重要です。
②施設介護のメリット・デメリット
施設介護の主なメリットは、「介助者の負担を大きく軽減できる・他者との交流機会が増える・夜間対応が充実している」という3点です。
続いて施設介護の主なデメリットは、「費用が高い」「施設を選ぶのが大変」の2点となっています。
そのため、施設介護は介助者の負担が大きいと感じている人におすすめです。集団生活が問題ないか注意して、施設の規模や特徴を踏まえて絞り込みましょう。
また「介護者が週5日仕事をしたい⇒施設介護」といった形で、求める生活と介護サービスをすり合わせることが大切です。
訪問介護ヘルパーの費用は軽減制度で安くできる
訪問介護サービスでは、低所得者向けの「軽減制度」が設けられています。
高額介護サービス費 | 自己負担合計額が一定の上限額を超えた際、超えた分が介護保険から払い戻される |
社会福祉法人等による 低所得者に対する利用者負担軽減制度 | とくに生計が困難な人に対して、社会福祉法人等が利用者負担額を軽減する制度 |
制度の有無は地域によって異なります。利用を検討する際は、市区町村の窓口に問い合わせてみましょう。
医療費控除で税金を安くしよう
訪問介護サービスの利用や介護保険施設への入居を行った場合、医療費控除の対象となる可能性があります。
また、6か月以上寝たきりで、医師から「おむつ使用証明書」を発行してもらった場合も、医療費控除の対象となります。
▼さらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご参考ください。
>>介護ヘルパーのサービス費用は医療費控除になる?【対象サービスとは】
まとめ:介護ヘルパーサービスは費用以外も大切!
在宅介護と施設介護を比較した場合、「在宅介護サービスのほうが費用が安い」という結果になりました。
しかし在宅介護では身体面・精神面の負担が大きくなるリスクもあるため、費用だけで適切なサービスは選べません。
早めに「利用者や家族が求める生活」を把握して、メリットの多いサービスを利用するように検討してください。