介護ヘルパー不足の現状は?【人手不足の理由や対策を徹底解説】
「介護ヘルパーが人手不足なのは本当?」
「どのくらい人手不足なのか知りたい」
多くのメディアで、介護業界の人手不足問題が取り上げられています。
しかし、どのくらい人手が足りていないのか、明確な人数を理解している人は少ないのではないでしょうか?
介護ヘルパーの人手不足は、現場の忙しさに直結します。
今回「みーつけあ」では、介護ヘルパーの人手不足について、有効求人倍率や採用に関するアンケートをもとに解説していきます。
介護ヘルパー不足の現実を理解して、今後のキャリアについて考えていきましょう。
介護ヘルパーはどのくらい人手不足なのか?
厚生労働省の調査によると、2019年度における訪問介護員の有効求人倍率は「15.03倍」でした。
同年の施設介護員の有効求人倍率は、4.31倍です。
施設介護と比べて、介護ヘルパーは4倍近く人手が足りていないことが分かります。
また、厚生労働省の「2025年に向けた介護人材にかかる需給推計」によると、2025年には37.7万人もの介護人材が不足するそうです。
出典:厚生労働省|2025 年に向けた介護人材にかかる需給推計(確定値)について
具体的な改善や対策が行われない限り、介護業界の人手不足を解消するのは極めて困難といえるでしょう。
新型コロナによる人手不足の影響について
新型コロナウイルスによる人手不足の影響は大きく、2020年9月の有効求人倍率が上昇した一因となっています。
- 訪問先で感染してしまうリスク
- 訪問先で感染させてしまうリスク
自宅に訪問するという不安から、離職や利用停止が増えている現状です。
また、新規利用が増えづらいため賃金も上がらず、人手不足は加速していると考えられています。
介護ヘルパーの人手が不足している理由3選
なぜ、介護ヘルパーは人手不足なのでしょうか?
一般的なイメージとしては、「きつい・汚い・危険」といった3Kによって、介護職そのものへの関心が低いという点も、理由の1つでしょう。
この記事では、より具体的なデータを元に、以下3つの理由をピックアップしました。
- 賃金水準が低い
- 採用が難しい
- 高齢化
訪問介護員の人手不足の原因から、忙しさの理由について理解を深めていきましょう。
理由1.賃金水準が低い
介護ヘルパー不足の理由1つ目は、「賃金水準の低さ」です。
平成22年平均賃金構造基本統計調査によると、訪問介護・常勤職員の年収は「平均210.9万円」となっています。
- 施設介護員…214.5万円
- 社会保険、社会福祉、介護事業…239.2万円
- 全産業…323.0万円
施設介護を含む福祉系事業や、他産業を含めた平均賃金と比較しても、5~110万円ほど賃金水準が低いです。
訪問介護は身体面の負担だけではなく、「1対1で介護を行う」という精神的なプレッシャーもあります。
そうした業務内容と賃金が比例していないという点が、人手不足につながっています。
理由2.採用が難しい
介護ヘルパー不足の理由2つ目は、「採用の難しさ」です。
「介護職種別の人手不足感」の調査では、訪問介護員の82.1%が人手不足と回答しています。これは介護職種で最多の数値です。
また介護労働安定センターによる調査では、「人手が不足している理由」について、「採用が困難である」の回答が89.1%となっています。
出典:公益財団法人介護労働安定センター「平成 30 年度 『介護労働実態調査』の結果 」
このことから、多くの事業所が人手不足感を実感しているにもかかわらず、採用できていない現状が分かります。
理由3.高齢化
介護ヘルパー不足の理由3つ目は、「高齢化」です。
厚生労働省の調査によると、2025年には認知症高齢者の数が約47万人にのぼると推計されています。
高齢化のスピードに介護人材確保が追い付かず、人手不足は加速している状況です。
介護ヘルパーの人手不足を改善する対策とは?
介護ヘルパーが人手不足である理由について、理解できたでしょうか。
なかには「人手不足の理由はわかったけど、国や企業は何も対策しないの?」と考えた人もいると思います。
そこでここからは、「介護ヘルパー人手不足への改善策」について解説していきます。
現在行われている改善策を理解して、介護業界におけるキャリア形成の質を高めていきましょう。
介護職員処遇改善加算
介護職員処遇改善加算とは、介護職員の賃金改善のために実施されている加算です。
給料に上乗せする形で、処遇改善加算手当がもらえます。
なお加算額は、全5区分からなる要件によって増減します。
多くの要件を満たす事業所が増えれば、賃金水準は上がるでしょう。
外国人労働者の受け入れ
外国人労働者の受け入れにより、人手不足の解決を目指しています。
2021年現在、外国人受入れの仕組みは以下4つです。
- EPA(経済連携協定)
- 在留資格「介護」
- 技能実習
- 特定技能1号
実際に介護福祉士養成施設への入学者数は年々増加しています。日本介護福祉士養成施設協会の調査によると、2020年は7,042人でした。
若い外国人留学生を受け入れることで、人口減少が進む日本でも介護人材を増やすことができます。
また、外国人留学生に介護知識や日本語を教える機会も増えるので、わかりやすいマニュアル作成やコミュニケーションの活性化も期待できるでしょう。
▼訪問ヘルパーの人手不足に関する記事は、こちらも参考になります。
>>訪問ヘルパーの人手不足が止まらない!原因や悩みのタネとは?
まとめ【介護ヘルパー不足は高齢化で大きな課題に】
介護ヘルパーの人手不足は、年々深刻化しています。
介護関係者は、介護に興味のある人を気軽に受け入れられる体制を整えていくことも大切となるでしょう。
また人手不足の問題は、介護現場における「忙しさ」にも影響を及ぼします。。
賃金水準や採用率の変化などに注目しながら、どのような対策が行われていくのかをチェックしていきましょう。