介護ヘルパーの「訪問介護サービス」とは?【サービス内容や料金を解説】
「介護ヘルパーの訪問介護サービスを利用したい」
「どのようなサービスを受けられるの?」
「介護サービスを施設で受けるのは気が重い」という人は多いと思います。
そのような人には、「訪問介護」がおすすめです。
自宅に介護ヘルパーが訪問して、1対1で介護を行ってくれます。住み慣れた家でサービスを受けられるため、訪問介護の需要は増しています。
今回「みーつけあ」では、訪問介護のサービス内容や料金について解説していきます。
家族や自分の希望に合ったサービスか判断できるように、情報収集していきましょう。
介護ヘルパーの「訪問介護サービス」とは
訪問介護サービスとは、介護ヘルパーが利用者の自宅を訪問して行う介護サービスです。
介護資格をもつ職員が、入浴介助や買い物支援等を行ってくれます。
なお、訪問介護は介護保険適用(自費サービス除く)となるため、料金の自己負担は原則1割です。
まず始めに、訪問介護の「サービス内容、施設との違い、サービス料金」について、理解しておきましょう。
訪問介護のサービス内容
訪問介護のサービス内容は、大きく3つに分けられます。
- 身体介護…利用者の身体に直接触れて行う介助。食事・排せつ・入浴など
- 生活援助…日常生活を送るうえで必要な家事のサポート。調理・掃除など
- 通院介助…通院・入退院に関する介助
身体介護や通院介助を行うには、介護資格が必須です。
介護の知識や技術を身につけた介護ヘルパーによって介護サービスが提供されるため、安心して任せられます。
訪問介護サービスと施設介護サービスの違い
訪問介護と施設介護のもっとも大きな違いは、「サービスを受ける場所」です。
訪問介護では、住み慣れた自宅でサービスを受けられます。
いっぽう施設介護では、「特別養護老人ホーム」「有料老人ホーム」といった介護施設に入居します。
そのため「自宅で介護を受けるのか、施設で介護を受けるのか」が、大きな違いといえるでしょう。
訪問介護サービスの料金
訪問介護の料金は、「サービス内容ごとの料金×利用時間」で決定します。
料金一覧は、以下のとおりです。
サービス内容 | 項目 | 単位数 | 1単位10円としたときの費用目安 |
身体01 | 20分未満の身体介護 | 167単位 | 1,670円 |
身体1 | 20分以上30分未満の身体介護 | 250単位 | 2,500円 |
身体2 | 30分以上1時間未満の身体介護 | 396単位 | 3,960円 |
身体3 | 1時間以上1時間半未満の身体介護 | 579単位 | 5,790円 |
身体4 | 1時間半以上2時間未満の身体介護 | 663単位 | 6,630円 |
生活援助2 | 20分以上45分未満 | 183単位 | 1,830円 |
生活援助3 | 45分以上 | 225単位 | 2,250円 |
通院等乗降介助 | 1回につき | 99単位 | 990円 |
たとえば、食事介助を45分利用した場合、身体2の396円が自己負担額となります。
また、施設や地域によって、単位数や1単位の費用は異なります。
複数の事業所の料金を比較したいのであれば、できる限りパンフレットやHPを参考にして、情報を集めましょう。
▼訪問介護の料金に関する記事は、こちらもご参考ください。
>>介護ヘルパーのサービス内容を徹底解説【料金や自費サービスも】
介護ヘルパーの訪問介護サービスを利用する流れ
訪問介護サービスを利用する手順は、以下のとおりです。
- 居住地域の市区町村で要介護認定の申請をする
- 要介護もしくは要支援の通知を受ける
- ケアプランを作成する
- 介護サービス事業者を選ぶ
- 介護サービス事業者と契約
- サービス提供開始
要支援と認定された場合、地域包括支援センターにてケアプラン(介護サービス計画書)を作成していきます。
要介護と認定された場合は、居宅介護支援事業所にて「ケアマネジャー」を選びます。
依頼を受けたケアマネジャーは、利用者本人・家族等の意見を取り入れながら介護計画を進めるという流れです。
なお、ケアマネジャーは相性・能力などを踏まえて、変更することもできます。
▼さらに詳しく知りたい人は、以下の記事もご参考ください。
>>介護ヘルパーを依頼するまでの流れとは?各サービスの料金や種類についても紹介
訪問介護サービスのメリット・デメリット
訪問介護のサービス内容や料金・利用手順について理解できたでしょうか。
訪問介護サービスの理解を進めるなかで、「具体的にはどんなメリット・デメリットがあるの?」と疑問に感じた人もいるでしょう。
ここからは、訪問介護サービスのメリット・デメリットを3つずつ紹介していきます。
よいところ・悪いところを理解することで、自分や家族に必要なサービスなのか検討できますよ。
訪問介護サービスのメリット
訪問介護サービスのメリットは、以下の3つです。
- マンツーマンでサービスを提供してくれる
- 要介護度に応じたサービスを利用できる
- 必要な介助のみを受けることができる
訪問介護は施設介護と違い、介護ヘルパーがマンツーマンで介助してくれます。
「1週間に2回だけ入浴介助をしてほしい」といった、柔軟な対応ができるのもメリットです。
また入居費等が必要ないため、施設介護と比べて費用が抑えられます。
厚生労働省「介護サービス概算料金の資産」を用いた比較結果は、以下のとおりです。
【在宅介護の場合】
【施設介護の場合】
参考:概算料金の試算 | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」
上記のシミュレーションは、以下の条件で行っています。
- 在宅介護…訪問介護15回、通所介護15回
- 施設介護…特別養護老人ホーム
- 双方とも要介護3を想定
1か月のシミュレーションでは、在宅介護と施設介護で7万円以上の差が生じました。
したがって、「年金や貯金だけでは介護が難しい人」には、訪問介護のほうがメリットがあると分かりますね。
訪問介護サービスのデメリット
訪問介護サービスのデメリットは、以下の3つです。
- 自宅にヘルパーが来るので警戒心がある
- 利用時間に制限がある
- 介護保険が適用されるサービスは限られている
訪問介護では、介護保険が適用されるサービス内容が細かく定められています。
原則的には、ケアプランに沿ったサービスしか利用できません。
またサービスを受ける際、時間に制限がある点もデメリットです。
介護ヘルパーの訪問介護サービスで「できること」「できないこと」
訪問介護サービスのメリット・デメリットについて理解できたでしょうか。
メリット・デメリットを理解するなかで、「訪問介護について、もっと詳しく知りたい」と感じた人もいるでしょう。
ここからは、訪問介護サービスの「できること」「できないこと」を解説していきます。
- できること…介護保険が適用される
- できないこと…介護保険が適用されない
今回は「介護保険が適用される場合・適用されない場合」で分けています。
希望する介護サービスがどちらに該当するか確認し、自己負担が大きくならないよう検討していきましょう。
訪問介護サービスの「できること」
訪問介護サービスの「できること」は以下のとおりです。
- 食事、入浴、排せつの介助
- 移動、移乗介助
- 着脱の手伝い
- 施設への送迎サポート
- 服薬介助
- 調理や買い物支援
- 日常生活で必要な箇所の掃除
- 通院前の準備や送迎サポート
利用者本人が日常生活を送るうえで、必要不可欠と考えられる介助は介護保険が適用されます。
なお「必要不可欠と考えられる介助」の基準は、以下のように定められています。
- 食事,排泄,入浴などの身の回りの介助
- 自立支援を目的とした介助(機能訓練等)
- 有する能力に応じた生活援助
訪問介護サービスは、「何でも対応してくれるサービスではない」ということを理解しておきましょう。
訪問介護サービスの「できないこと」
訪問介護サービスで「できないこと」は、主に以下のとおりです。
- 利用者以外を対象とした調理
- カーテンや靴などの洗濯
- 役所等への申請代行
- ペットの世話や散歩
- 利用者以外の部屋を掃除
- 医療行為
利用者以外が対象であったり、日常生活を超えていたりするサービスは介護保険が適用されません。
このようなサービスは、介護保険外サービス(自費サービス)として扱われます。
▼訪問介護でできること・できないことに関する記事はこちらから。
>>介護ヘルパーの医療行為は禁止?実態やできること・できないことについて
介護保険適用外の場合は「自費サービス」を活用
介護保険適用外の訪問介護サービスを受けたいときは、「自費サービス」を利用しましょう。
自費サービスとは、全額自己負担で幅広いサービスを受けられる仕組みです。
- 窓拭きをしてほしい
- お歳暮を買いに行きたい
- 元旦の特別な料理を作ってほしい
通常では断られるような、細かなニーズに応えてくれるのがメリットです。
まずは事業所やケアマネジャーに相談して、自費サービスが受けられるか確認してみましょう。
▼自費サービスについてさらに詳しく知りたい人は、以下の記事もご参考ください。
>>【介護保険外】訪問ヘルパーの自費サービスとは?料金や内容を徹底解説!
訪問介護以外の訪問サービス
介護保険適用の訪問介護サービスにはできないことがあると紹介しました。
なかには、「訪問介護では対応できない課題を、別の訪問サービスで解決したい」という人もいるでしょう。
最後に、訪問介護以外の訪問サービスについて解説していきます。
- 訪問入浴
- 訪問看護
- 訪問リハビリテーション
複数の訪問サービスを理解して、自宅での生活の質を向上していきましょう。
①訪問入浴
利用者の自宅で入浴介助サービスを受けられるのが、「訪問入浴」です。
以下いずれかの要件を満たす場合、訪問入浴サービスを利用できます。
- 65歳以上で要介護1~5の認定を受けている人
- 40~64歳で、指定されている特定疾病のいずれかがある人
上記に加えて、かかりつけ医師からの入浴許可も要件の1つです。
身体を清潔に保てるだけではなく、腰痛といった介護者の負担を減らせます。
訪問介護と同様に介護保険が適用されるので、自己負担は原則1割です。
▼訪問入浴に関する記事はこちらから。
>>介護ヘルパーの入浴介助は依頼できる?条件を満たして介護疲れの予防
②訪問看護
看護師が利用者の自宅を訪問して、健康管理や診療を行うのが「訪問看護」です。
訪問看護の主なサービス例は、以下のとおりです。
- 体温、脈拍、血圧測定
- 入浴や排せつ介助
- 褥瘡防止の処置
- カテーテルの管理
また介護保険が適用されるには、以下の条件を満たす必要があるので注意しましょう。
- 65歳以上
- 要支援1,2もしくは要介護1~5の認定を受けている
- 40~64歳で特定疾病がある
▼関連記事は、こちらもご参考ください。
訪問看護ヘルパーのサービスを受けるなら医療保険?それとも介護保険?
③訪問リハビリテーション
自宅でリハビリテーションを行ってくれるのが、「訪問リハビリテーション」です。
- 理学療法士
- 作業療法士
- 言語聴覚士
リハビリテーションの専門家が自宅を訪問して、ケアプランに沿ってリハビリテーションを実施します。
自宅にいながら、「心身機能の維持・向上」「日常生活で出来ることを増やす」といった目標を達成できるのがメリットです。
まとめ【訪問介護サービスは介護保険適用か要確認】
介護ヘルパーによる訪問介護サービスを利用する場合は、どのようなサービス内容が介護保険に適用されるのか確認しましょう。
自宅でマンツーマンの介助をしてくれるので、さまざまなサービスをお願いしたくなる気持ちも分かります。
しかし、介護ヘルパーが提供できるサービスは介護保険法によって定められているのです。
契約にないサービスを提供してもらうことのないように、ケアマネジャーや事業所に確認することが重要です。