介護ヘルパーを利用すれば要介護1でも暮らせる?要介護について解説
「要介護1で訪問介護ヘルパーを利用すれば1人で暮らせるの?」
「要介護1で施設に入所するのは早すぎる?」
家族が要介護1だと知って、漠然と不安を抱えてはいませんか。
要介護1の段階であれば、身の回りのことはほとんどできる状態です。
つまり、「いますぐに付きっきりで介護をしなければいけない」というほどではありません。
今回「みーつけあ」では、要介護1であれば一人暮らしは可能なのか、そして訪問介護ヘルパーを利用した場合の金額はいくらなのかについて紹介します。
要介護1の状態について理解して、最適な介護プランを見つけましょう。
1.訪問介護ヘルパーを利用すれば要介護1でも一人暮らしは可能?
結論から言うと、要介護1と判定されても一人暮らしは可能です。
そもそも、要介護度は要支援1〜2、要介護1〜5の7段階あります。
そして、要介護1は、要介護の中でもっとも軽い判定です。
以下の表をご覧ください。
厚生労働省の調査によれば、日常生活をするうえで「必要なときに手をかす程度」と回答した人が61.2%でした。
また、同調査によると、要介護1のうち一人暮らしをしている割合は約20%です。4人に1人は、一人暮らしができると回答しています。
つまり、訪問介護ヘルパーに定期的に来てもらえれば、一人暮らしは充分可能であるといえるわけです。
要介護認定1と他の介護度の違い
では、要介護認定1と他の介護度の違いを見ていきましょう。
以下の表を参考にしてください。
要介護度 | 症状 |
要支援1 | ・日常生活で介助が必要なときもある |
要支援2 | ・部分的に介助が必要 ・要支援1のときよりも介助が必要になっている |
要介護1 | ・部分的に介護が必要 ・自分のことはできるが、細かい動作は難しい ・認知機能や運動能力の低下が見られる |
---|---|
要介護2 | ・要介護1に比べてできないことも増える ・理解力が低下 |
要介護3 | ・歩行、立ち上がりが困難 ・排泄、食事に介助が必要 |
要介護4 | ・歩行、立ち上がりができない ・日常生活の動作のほとんどで全介助が必要 ・認識力が低下 |
要介護5 | ・日常生活のすべてに介助が必要 ・意思の疎通も困難なほど重度 |
ただし、本人の状態や生活している環境によって症状は異なります。
あくまで目安として参考にしてください。
2.訪問介護ヘルパーを要介護1で利用したらどうなる?
要介護1の人が訪問介護ヘルパーを利用すれば、どのようなサービスを受けられて、どのくらい利用できるのでしょうか。
訪問介護で受けられるサービスには、大まかに3つの種類があります。
サービスによって、限度額やルールが定められているのです。
そこで、以下2点について解説していきます。
- サービス量はどのくらい?
- 1ヶ月の利用回数は何回?
1つずつ見ていきましょう。
サービス量はどのくらい?
要介護1で訪問介護を利用した場合に受けられるサービスは、大きく分けて以下の3点です。
サービス | 内容 |
身体介護 | 主に排泄や食事、入浴など直接身体に触れて介護を行うこと |
生活援助 | 掃除や洗濯などの身の回りのサポートをすること |
通院等乗降援助サービス | 通院時の送迎を行うこと |
この3点の中で、ケアマネジャーが利用者や家族の要望を聞き入れて、最適なケアプランを作成してくれます。
1ヶ月の利用回数は何回?
1ヶ月の利用回数ですが、特に制限はありません。
ただし、利用限度額が決まっており、上限を超えてしまうと利用者側の自己負担になってしまうので注意してください。
また、介護ヘルパーには「2時間ルール」というものがあります。
1日に2回以上ヘルパーに来てもらうのであれば、1回目の訪問から2時間以上は空けなければいけません。
介護度による利用上限額や単位数にも関わってくることなので、覚えておきましょう。
3.訪問介護ヘルパーを要介護1で利用した際にかかる金額
要介護1で訪問介護ヘルパーを利用した場合の金額は、どのくらいでしょうか。
料金は、要介護度の認定によって「区分支給限度額」が決まっています。
区分支給限度額を超えて利用すると、介護保険が適用されないので自費負担です。
また、在宅介護にかかる料金はケアマネジャーが作成するケアプランの内容によっても大きく変わります。
そこで、以下の2点に分けて訪問介護ヘルパーを利用した際の金額ついて解説していきます。
- 区分支給利用限度額が決まっている
- 在宅介護にかかる料金
1つずつ見ていきましょう。
区分支給利用限度額が決まっている
介護保険内で受けられるサービスには金額が決まっており、これを「区分支給限度額」といいます。
まずは、以下の表を確認してください。
要支援度 | 支給限度額(円) |
要支援1 | 50,320 |
要支援2 | 105,310 |
要介護1 | 167,650 |
---|---|
要介護2 | 197,050 |
要介護3 | 270,480 |
要介護4 | 309,380 |
要介護5 | 362,170 |
※1単位=10円で計算した場合
参考:2019年度介護報酬改定について−厚生労働省
要介護1の限度額は167,650円なので、1割負担であれば自己負担額は16,765円ということです。
なお、限度額を超えてしまった部分は、全額自己負担になるので注意しましょう。
要介護1が在宅介護にかかる料金
では、実際に要介護1の人が在宅介護をした場合の料金について紹介します。
まずは、以下の図をご覧ください。
青枠で囲った部分が、要介護1の支出となります。
要介護1で在宅介護に必要な費用の平均は、1ヶ月に33,000円です。
このなかでも、介護サービス料金は7,000円、それ以外にかかる料金は26,000円となっています。
介護サービス以外に含まれる費用の内訳は、「介護用品や食費、医療費、税金」などです。
なお、在宅介護の料金は全体の平均となります。生活環境や受けるサービスにより個人差が出てくるので、あくまで目安として参考にしてください。
4.要介護1でデイサービスのような施設を利用した場合
訪問介護ヘルパーを利用すれば、要介護1の人で月平均33,000円ほどの費用がかかることが分かりました。
では、デイサービスのような施設を利用した場合は、どのくらいの費用が必要なのでしょうか。
以下の2点について解説します。
- 要介護1が入所できる施設一覧
- 施設を利用した場合の費用
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
要介護1が入所できる施設一覧
要介護1の人が入所できる施設には、どのような種類があるのでしょうか。
主な入所施設は、以下のとおりです。
- 介護付き有料老人ホーム
- 住宅型有料老人ホーム
- サービス付き高齢者向け住宅
- グループホーム
- 介護老人保健施設
- 介護療養型医療施設
- 介護医療院
特別養護老人ホームは要介護3以上から利用できます。ただし、特別な事情があれば、要介護1〜2の人でも入所可能です。
たとえば、以下のような事情が入所可能な条件に当てはまります。
- 認知症により行動の予測・意思疎通が難しく在宅生活が困難な状態である
- 知的障がい・精神障がいにより行動の予測・意思疎通が難しく在宅生活が困難な状態である
- 単身世帯または同居家族が高齢や病弱であることで支援を受けられず、また地域での介護サービスや生活支援が十分に認められないことで在宅生活が困難な状態である
参考:厚生労働省|特別養護老人ホームの「特例入所」に係る国の指針(骨子案)について
該当しているかどうかの判断は意外に難しいため、担当のケアマネジャーに相談してください。
「一人暮らしをさせるのは不安だ」という人は、施設に入るのも一つの手段として考えておくと安心できるでしょう。
施設を利用した場合の費用
施設に入所した場合、費用はどのくらい必要なのか気になるところです。
しかし、入所施設によって費用が違うので、料金は一概に言えません。
そこで、以下の表をご覧ください。
入所すればどのような費用が必要になるのかについて紹介します。
費用項目 | 内容 |
入所一時金 | ・0〜数千万円(施設によって異なる) ・公的施設であれば不要 |
介護サービス費 | ・介護度により異なる ・介護度が高ければ費用も高くなる |
生活費 | ・部屋代(個室や大部屋によって値段が変わる) ・食費 ・電話代や美容代、日用品など |
詳しい金額が気になる人は、お住まいの施設のホームページを確認するか、直接電話で問い合わせをしてみてください。
5.要介護認定で一番多いのは要介護1
最後に、一番多いと言われている要介護1について紹介していきます。
要介護1に認定されている方は、平成30年(2018年)の時点で「約132万人」いることがわかっています。
要支援1、要支援2、要介護1という順に、認定の介護度が上がっていくときに判断基準となるのが「認知症があるか」です。
わかりやすいように、以下2つに分けて要介護認定と人数について解説します。
- 要介護1は約132万人いる
- 要介護1と要支援2の違いは認知症の疑いがあるかどうか
それぞれ見ていきましょう。
要介護1は約132万人いる
厚生労働省が発表した「平成30年度介護保険事業状況報告(全国計)」によると、要介護1の判定を受けた人は、約132万人で一番多いというデータが出ています。
全国で要介護認定を受けた人数は658万人で、約4割の人が要介護1の判定を受けたということになります。
つまり、「4人に1人は要介護1」だということです。
要介護1と要支援2の違いは認知症の疑いがあるかどうか
要介護1と要支援2の判定の違いには、認知症の有無が大きく関わっています。
以下の表をご覧ください。
状態 | |
要支援2 | ・日常生活の行動を1人でできることが多く、部分的に支援が必要な程度 ・理解力や認識力に問題がない |
要介護1 | ・日常生活においてほとんどのことはできるが、介護が必要な場合もある ・運動機能や理解力、認識力の低下が見られる |
しかし、要介護だからといって、すぐに何もできなくなるわけではありません。
本人が今できることを尊重して、難しくなってきたところや支援が必要なことは、サポートしながら生活をしていきましょう。
まとめ:要介護1でも訪問介護を利用すれば充分に暮らせる
要介護1と判定されても、訪問介護ヘルパーを利用すれば充分に暮らせます。
しかし、一人暮らしをさせるのが不安であったり、家族の負担が大きいのであれば、介護施設を利用するのも1つの手です。
介護保険制度を利用すると、今まで満足にできなかったこともできるようになります。
家計や家族の負担なども含めて、1番適切な方法を見つけてください。