介護ヘルパーの利用条件を解説!来てもらうには何からするべき?
「訪問介護ヘルパーって利用条件があるの?」
「利用するための手続きやサービス内容を知りたい」
訪問介護ヘルパーを利用したいと思っていても、何から始めればよいのか分からないですよね。
訪問介護ヘルパーを利用するには、利用条件を満たさなくてはいけません。
そのためには、申請方法や、サービス内容を理解しておくべきでしょう。
今回「みーつけあ」では、訪問介護ヘルパーの利用条件について、申請方法やサービス内容、利用料金も含めて紹介します。
利用条件を理解して、事前に必要な準備を整えましょう。
1.訪問介護ヘルパーには利用条件がある
訪問介護ヘルパーに来てもらうには、利用条件があります。
しかし、難しい条件ではありませんので、安心してください。
以下の2点について、解説していきます。
- 利用条件は要介護・要支援認定を受けていること
- 要介護と要支援の違い
訪問介護ヘルパーを利用する際の必須事項なので、チェックしていきましょう。
利用条件は要介護・要支援認定を受けていること
訪問介護を利用するためには、「要介護状態等区分」による認定を受けなければいけません。
要介護状態等区分は、大きく分けて以下の2つがあります。
- 要支援
- 要介護
さらに、要支援1〜2、要介護1〜5と介護度が7段階に分かれており、受けられるサービスや利用限度額が違います。
具体的には、どのような違いがあるのでしょうか。
以下で詳しく解説しますので、見ていきましょう。
要介護と要支援の違い
要介護と要支援の違いについて、解説していきます。
以下の表を、ご覧ください。
状態 | |
要支援 | ・日常的な介護は必要ではないが、部分的に支援が必要 ・今後、介護が必要になる可能性が高い ・リハビリや食生活などで今できることを維持、改善をする |
要介護 | ・日常生活に介護が欠かせない ・認知能力が低下 |
出典:公益財団法人長寿科学振興財団「健康長寿ネット」−介護保険の介護度とは
要支援の判定を受けた場合は、今の状態をキープできるように、「予防介護」を中心とした支援を行います。
一方で、要介護の場合は、今できることを尊重しながらも、生活するうえで必要な介助をしながら支援するのです。
では、どのようなサービスを受けられるかについて、以下で解説するので見ていきましょう。
サービス内容が分かれば、利用したときのイメージもしやすくなります。
2.訪問介護ヘルパーで利用できるサービス内容
では次に、訪問介護ヘルパーで利用できるサービス内容について紹介していきます。
訪問介護ヘルパーは、日常生活で「困った。どうしたらよいだろう」と感じたときにサポートしてくれる存在です。
たとえば、トイレの付き添いや入浴の補助、通院の付き添いなどを依頼できます。
よりわかりやすくするために、以下の3つに分けて受けられるサービスを紹介します。
- 身体介護
- 生活援助
- 通院時乗車・乗降の介助
順番に解説するので、チェックしていきましょう。
身体介護
利用の身体に直接触れて介護を行うことを、「身体介護」といいます。
具体的なサービスは、主に以下のとおりです。
- 排泄介助
- 食事介助
- 特段の専門的配慮をもって行う調理(流動食など)
- 入浴介助(全身浴または部分浴、洗面など)
- 清拭(入浴できない人に身体を拭いてあげること)
- 更衣介助
- 体位変換
- 移乗・移動介助
- 通院・外出介助
- 起床・就寝介助
- 服薬介助
- 自立生活支援のための見守り的応援
厚生労働省の「喀痰吸引等の制度について」によると、上記以外に「たんの吸引」や「経管栄養」も、社会福祉士または実務者研修の資格を持つ介護職員であれば、できるようになりました。
ただし、訪問介護ヘルパーは、インスリンの注射といった医療行為が禁止されています。
参考:医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について−厚生労働省
「医療行為を依頼したい」と考えているのであれば、医師や医師の指示を受けた看護師に相談してしましょう。
生活援助
「生活援助」とは、身体介護以外の日常生活の援助を行うサービスです。
利用者さんや家族が、さまざまな理由により家事が困難な場合に受けられます。
サービス内容は、主に以下のとおりです。
- 掃除
- 洗濯
- ベットメイク
- 衣服の整理・被服の補修
- 一般的な調理・配下膳
- 買い物・薬の受け取り
ただし、利用者さんの家族に対するサービスや、生活するうえで差し支えない庭の草むしりやペットの世話といった家事や掃除はできません。
通院時乗車・乗降の介助
「通院時乗車・乗降の介助」とは、訪問介護事業所の介護資格を持っている職員の運転で送迎を行うサービスです。
「介護タクシー」と呼ばれることもあります。
利用者さんが乗り降りをする際の介助や、外出先での手続きや移動などの介助も介護タクシーの役目です。
つまり、ただ送迎するだけでなく、家の中から車に乗るまで、車から家の中の指定の場所(ベッドやイスなど)までを行うサービスです。
3.訪問介護ヘルパーの利用条件と合わせて知りたい費用
訪問介護ヘルパーを利用した場合の費用を、以下の2点について解説していきます。
介護保険が適用される範囲で依頼すると、自己負担額は1割〜3割となります。
割合は所得によって変わりますので、必ず確認しておきましょう。
また、要介護度によって利用できる限度額が決められており、限度額を超えた場合は「自費」となるので注意が必要です。
- 介護保険内の料金は自己負担額1割〜3割
- 利用限度額を超えると料金は自費
料金については、誰もが気になる部分です。
分かりやすく解説するので、ぜひチェックしてください。
介護保険内の料金は自己負担額1割〜3割
介護保険内サービスを利用した場合の自己負担額は、1〜3割です。
この割合は所得によって決まり、一定以上の所得を超えている人のみ、3割まで負担します。
たとえば、年金収入以外の収入(不動産や雑所得など)があり、合計所得金額が基準額を超えている人であれば、2割〜3割になります。
しかし、年金収入のみで生活しているのであれば、自己負担額は1割になる可能性が高いです。
利用限度額を超えると料金は自費
自己負担額は1割〜3割なのですが、「利用限度額を超えると料金は自費」となってしまうので注意してください。
1ヶ月あたりの利用限度額は、要介護度によって金額が変わります。
まずは、以下の表をご覧ください。
介護度 | 利用限度額 |
---|---|
要支援1 | 50,320円 |
要支援2 | 105,310円 |
要介護1 | 167,650円 |
要介護2 | 197,050円 |
要介護3 | 270,480円 |
要介護4 | 309,380円 |
要介護5 | 362,170円 |
たとえば、要介護1であれば利用限度額は167,650円なので、自己負担額が1割の人は1ヶ月16,765円までということです。
「訪問介護を利用しながら、自費の計算ができるか心配」と思う人もいるかと思います。
しかし、利用開始前に必ず担当のケアマネジャーが、利用料金やケアプランを考えてスケジュール管理をしてくれます。
したがって、自費を払ってしまう心配はありません。
きちんと話し合いをする場も設けており、利用者さんやご家族が納得のいくプランニングをしてくれるので、安心して利用しましょう。
4.訪問介護ヘルパーを利用するには?流れで確認
実際に、訪問介護ヘルパーを利用するにはどうすればよいのでしょうか?
まず、介護サービスを受けるには、要介護認定を申請する必要があります。
利用開始までの流れは、以下のとおりです。
- 要介護認定の申請を出す
- 調査員による自宅訪問
- 介護認定の通知
- 介護サービス計画書の作成
- 利用開始
厚生労働省による「サービス利用のまでの流れ」を参考に、順番に解説していきます。詳しく見ていきましょう。
(1)要介護認定の申請を出す
まずは、要介護認定の申請書を提出しましょう。
提出先は、お住まいの市区町村の窓口です。
原則本人が申請しなければいけませんが、家族や地域包括支援センターの職員の代行でも提出できます。
申請の際に必要なものは、以下の4点です。
- 申請書
- 第2号被保険者の場合は健康保険証
- 介護保険の被保険者証
- マイナンバーの個人番号が分かるもの
提出ができれば、次の連絡があるまで待ちましょう。
(2)調査員による自宅訪問
申請後は調査員による自宅訪問があり、利用者さんの心身の状態を確認するために行われます。
調査員は普段の様子を確認するために来ているので、日常生活で困っていることや気になることは、メモをしておくといった事前準備をしておきましょう。
症状があいまいであれば、実際よりも軽い判定が出る可能性もあります。正確に伝えられるようにしてください。
自宅訪問と同時に、主治医による意見書を提出してもらいます。主治医がいなければ、市区町村の指定医の診察が必要です。
そして、以下の図のような手順で、コンピューターによる一次判定、介護認定調査会による2次判定が行われます。
(3)介護認定の通知
介護認定の判定結果にもとづき、通知がきます。
通知は、原則30日以内です。
認定の結果には、有効期限があります。
- 新規・変更…6ヶ月
- 更新…12ヶ月
有効期限が切れてしまうと、介護保険内でのサービスは利用できなくなります。
変更や更新をする場合は、早めに申請を出すようにしましょう。
(4)介護サービス計画書(ケアプラン)の作成
介護認定の通知が来たからといって、すぐに利用できるわけではありません。
介護サービス計画書を作成してもらいましょう。
計画書の作成は、介護度によって窓口が変わります。
- 要介護1〜5…介護支援専門員(ケアマネシャー)のいる居宅介護支援事業所
- 要支援1〜2…地域包括支援センター
計画書を作る際には、利用者本人の希望はもちろん、家族や心身の状態を含めて考えられたプランを作成してくれます。
(5)利用開始
介護サービス計画書に基づいて、サービスが開始されます。
もし、申請するかどうかで悩まれているのであれば、一度お住まいの地域にある地域包括支援センターに相談してみてください。
▼関連記事はこちらから。
>>介護ヘルパーを依頼するまでの流れとは?各サービスの料金や種類についても紹介
5.訪問介護ヘルパーを利用するときの選び方
次は、訪問介護ヘルパーを利用するときの選び方について紹介していきます。
自宅に来てサービスを行ってくれるので、「なるべく信頼できる介護ヘルパーに来てもらいたい」と思うのは、当然のことですよね。
そこで、訪問ヘルパーの事業所を選ぶ際に役立つ、3つのポイントを紹介します。
- 利用者さんの意見を優先する
- 地域にある複数の事業所を比較する
- 選べないときはケアマネジャーに相談する
1つずつ、チェックしていきましょう。
利用者さんの意見を優先する
実際にサービスを受ける、利用者さん本人の意見を優先しましょう。
介護ヘルパーと一対一のサービスであるため、利用者さん本人との相性が重要です。
どんなに評判がよいヘルパーだとしても、相性が悪ければ嫌だと感じるでしょう。
もし、利用者さん本人から「相性が悪くて辛い」と訴えがあれば、ケアマネジャーに相談して担当者を変更してもらうといった対策が必要です。
地域にある複数の事業所を比較する
次に紹介する選び方は、対象地域にある複数の事業所を比較する方法です。
自宅の近くにある事業所を調べて、資料請求や問い合わせをして情報を集めましょう。
本人や家族が望んでいるサービスを擦り合わせて明確にすれば、利用したい施設を決めやすくなります。
また、実際に利用している人が身近にいたら、意見や評判といった口コミなども参考に比較してみてください。
選べないときはケアマネジャーに相談する
自分たちで選ぶのが難しいのであれば、ケアマネジャーに相談してみましょう。
近隣の事業所を紹介してくれたり、選ぶときのアドバイスもしてくれます。
紹介してくれた事業所がどれもイマイチであれば、断ることも可能です。
情報収集のつもりで相談してみてください。
介護ヘルパーの利用条件でよくある質問Q&A
最後に、訪問介護ヘルパーの利用条件について、Q&A形式で解説していきます。
質問内容は、以下の3点です。
- 同居家族がいても利用できる?
- 事業所によって値段が違うのはなぜ?
- 利用条件に当てはまらない場合はどうしたらよい?
よくある質問を把握しておくことで、利用前の心配をさらに減らせるはずです。
順番に解説していくので、回答を見ていきましょう。
Q1.同居家族がいても利用できる?
A.同居家族に介護できない理由があれば、利用できます。
たとえば、以下のような理由です。
- 同居家族に病気や障害がある
- フルタイムで働いていて日中家にいない
- 介護疲れで共倒れの可能性がある など
ただし、依頼できるサービスは、同居家族ができない部分を補うサービスに限られてしまいます。
つまり、洗濯や掃除、買い物などは、家族がいるからできると判断されてしまえば、サービス適応外となってしまう可能性が高いです。
ケアマネジャーと話し合って、どのサービスを受けるのかを決めてください。
Q2.事業所によって値段が違うのはなぜ?
A.手厚いサービスや体制をとっている事業所に対して、加算される料金が違うからです。
「特定事業所加算」といって、サービスの質がよい事業所に対して3〜20%の加算があります。
つまり、1ヶ月の訪問介護サービスの費用の計算は、以下のとおりです。
「サービスの種類×利用時間+加算料金」
加算割合が大きければ利用料金も高くなりますが、質のよいサービスが受けられるということです。
Q3.利用条件に当てはまらない場合はどうしたらよい?
A.地域支援事業を活用できる可能性があります。
厚生労働省の「地域支援事業交付金について」によると、地域支援事業は要介護認定を受けられなかった人も利用できるサービスです。
主に介護予防支援を行なっており、ボランティアやサークル活動によって、地域で自立した生活が送れるように支援をしている事業です。
高齢者同士の交流が持てるので、生きる楽しみを見つけ出せる場所にもなります。
まとめ:まずは要介護認定の申請をしよう!
訪問介護ヘルパーの利用条件は、「要介護もしくは要支援の判定を受けていること」です。
現在、自宅での生活が介助なしでは難しい、もしくは不安があるのであれば、要介護認定を申請してみましょう。
もし、申請すべきなのか迷われているのであれば、お住まいの地域包括支援センターに相談してみるのも一つの手段です。
利用者さんと家族にとって、最適な選択をしてください。