介護ヘルパーは料理スキルが必要?料理を作るポイントや注意点まとめ
「介護ヘルパーになるためには料理ができないとダメ?」
「介護ヘルパーの仕事における料理のポイントや注意点は何?」
これから介護ヘルパーを目指そうと思っている人は、自身の料理スキルについて不安を感じることがありますよね。
介護ヘルパーは料理ができなくても働けます。
しかし、利用者さんの食事を作る場合もあるので、ポイントや注意点について知っておくと便利です。
今回「みーつけあ」では、介護ヘルパーの料理とは何かや、料理を作るポイント、注意点、献立のレパートリーを増やすために便利なサイトなどをまとめました。
介護ヘルパーの料理について理解して、今から対策できることがあれば行っていきましょう。
1.介護ヘルパーは料理ができなくても働ける
介護ヘルパーとして働くためには、料理ができなくても問題ありません。
「料理ができなくても料理を学びたい意思があればよい」からです。
学ぶ意思があれば、介護ヘルパーとして働いていくなかで身に付けていけます。
介護ヘルパーの仕事である「利用者さんの身の回りのお世話」には料理も含まれます。そのため、料理が上手にできるに越したことはありません。
しかし、会社によっては料理に慣れていない社員のために、料理教室を開催している場合もあります。
自分で「勉強する・練習する・誰かに教わる」など工夫しながら、少しずつ身に付けて行きましょう。
「最初から完璧に作らなければ」と気負う必要はないので安心してください。
そもそも介護ヘルパーでの料理とは?
介護ヘルパーの料理とは、「利用者さんの状況や好みに合う、栄養バランスの考えられた食事を、限られた時間内に作ること」です。
介護ヘルパーとして料理を作ったことがなければ、どういった料理なのかイメージがつきませんよね。
ここで、介護ヘルパーの料理についてイメージをしておきましょう。
介護ヘルパーは、以下の4つを踏まえた料理を作ることになります。
- 利用者さんの状況に応じて食材を切る大きさや固さが調整されている
- 利用者さんの好みに合う味付けになっている
- 栄養バランスが摂れている
- 限られた時間内で手際よく作られている
その他にも、以下のような配慮が求められるケースもあるほどです。
- 利用者さんの歯が悪ければ噛みきれるように小さめに切り柔らかくなるまでよく煮込む
- 利用者さんが薄味が好きならば薄味で味付ける
- 嗜好に合わせながら栄養バランスもよく考える
- 料理以外にもすべきことがあるから素早く作る
こうした配慮は、今まで料理を作ってきた人であっても簡単に盛り込むことができません。
美味しい料理が作れても、調理に時間がかかったり栄養バランスが崩れたりしているならばNGです。
介護ヘルパーを目指す人は、「介護ヘルパーに特化した料理」を効率よく習得していきましょう。
2.介護ヘルパーの料理で知っておきたいこと3つ
介護ヘルパーの料理については、知っておきたいことが3つあります。
- 料理は介護スキルの1つでしかない
- 作る料理が利用者さんに合うとは限らない
- 食事の支度に必要な時間配分が大切
介護ヘルパーの料理をしたことがなければ、何を知っておくべきか分かりませんよね。
上記3つの知識を押さえて、介護ヘルパーに求められる料理の意識を変えてみましょう。
知識1.料理は介護スキルの1つでしかない
介護ヘルパーの料理は、1つのスキルに過ぎません。
介護ヘルパーの仕事は、料理以外にもたくさんあるからです。
たとえば、介護ヘルパーの仕事には以下のものがあります。
- 食事、入浴、排泄、着替えなど(身体介護サービスの場合)
- 料理、洗濯、掃除、買い物など(生活援助サービスの場合)
上記から確認できるように、料理は介護ヘルパーの仕事のうちの1つです。
料理ができても、他のことができなければ「1つの苦手項目」と考えられます。
つまり、料理だけができないことで介護ヘルパーとして働けないとはいえないわけです。
「料理は難しいイメージがあるけれど、他のことは誰がやってもだいたい同じなのでは?」
このように思いがちですが、利用者さんに満足してもらうためには、すべてにおいて技術が必要になってきます。
たとえば、食事補助の際は利用者さんが誤飲しないように食べさせてあげる技術、ベッドから起き上がる際は利用者さんが負担にならないようにする技術が必要です。
料理だけではなく、すべての仕事をバランスよくこなせるようになる必要があると知っておきましょう。
知識2.作る料理が利用者さんに合うとは限らない
介護ヘルパーの料理で知っておくべきこと2つ目は、作る料理が利用者さんに合うとは限らないことです。
せっかく料理を作っても、「合わないから」と食べてもらえない可能性があります。
なぜなら、利用者さんによって好みや食事環境が異なるからです。
対象例を、いくつか挙げてみましょう。
- 体調
- 飲み込める固さ・大きさ
- 食べたい量
- 好きな食材
- 好きな味付け
たとえば、味が美味しくても嫌いな食材が使われていれば一切食べてもらえないことがあります。
ピリ辛の美味しい料理を作った際には「辛い物は一切受け付けないから」と拒否されることもあるでしょう。
いくら料理が上手であっても、個人に合った料理を作れないと介護ヘルパーとしてはNGです。
そのため、利用者さんに合った料理を臨機応変に作る技術が必要となります。
知識3.食事の支度に必要な時間配分が大切
介護ヘルパーの料理は、時間配分を意識して要領よく作ることが大切となります。
介護ヘルパーは、限られた時間内ですべての仕事をこなさなければいけないからです。
- 掃除
- 洗濯
- 買い物
たとえば、料理以外にも上記の仕事をしなければいけません。
時間をかけてゆっくり料理を作っている余裕は、意外とないことが分かります。
ときには利用者さんから話しかけられてしまい、会話が1つのケアに加わることもあるでしょう。
しかし、おしゃべりをしていて手が止まってしまうと、時間内に仕事が終わりません。
つねに時間を意識しながら、時間内に終わるように配分しなくてはならないわけです。
手際よく料理を作るための練習は自宅でもできます。時間配分を意識しながら、料理を作ってみてはいかがでしょうか。
3.介護ヘルパーが料理を作るときのポイント
介護ヘルパーが料理を作るときのポイントは3つあります。
- 和食から作ってみる
- 好みの料理や味付けを聞いてみる
- 介護食士を取得してみる
介護ヘルパーとして料理を作るならば、利用者さんに「美味しかった」と満足してもらいたいですよね。
紹介するポイントはすべて、利用者さんの満足度を上げるために重要な要素です。
介護ヘルパーを目指している人は、今からできそうなことを実行してみましょう。
ポイント1.和食から作ってみる
介護ヘルパーとして料理を作るときは、和食から作ってみることがポイントとなります。
利用者さんがお年寄りの場合、和食を好む人が圧倒的に多いからです。
- みそ汁
- おひたし
- 煮物
たとえば上記3つは、お年寄りに好まれやすい和風料理となります。
料理が苦手な人は、まずは上記3つの味付けの仕方を覚えましょう。
それぞれの味付けを覚えておくと、冷蔵庫にある材料を使って簡単に和風料理が作れます。
もちろん「和食より洋食が好き」「和食だけでなく洋食も食べたい」といった利用者さんもいます。
まずは好む人が多い和食からカバーしていき、最終的には洋食にも対応できるように料理の幅を広げていきましょう。
ポイント2.好みの料理や味付けを聞いてみる
介護ヘルパーとして料理を作るときは、利用者さんの好みの料理や味付けを聞いたうえで作ることもポイントです。
たとえば、利用者さんに好みの料理や味付けを聞くべき理由は以下のとおりです。
- 利用者さんの好みに合わない料理だと食べてもらえないことがあるから
- 利用者さんに合った料理を作った方が喜ばれるから
利用者さんによって、好みの料理や味付けはさまざまです。口に合わなければ、せっかく作った料理を食べてもらえない恐れもあります。
介護ヘルパーは限られた時間内で仕事をするので、作り直しとなると時間が足りなくなりかねません。
また、利用者さんによっては、嫌いな料理でも何も言わず我慢して食べることがあります。
せっかく作っても、我慢して食べられていると思うと嫌ですよね。
嫌々食べられることを防ぐためには、事前に好みを聞いておくことが重要となります。
時間ロスをしないで利用者さんに喜んでもらうためにも、好みの料理や味付けを聞いてから作るようにしましょう。
ポイント3.介護食士を取得してみる
介護ヘルパーで料理を作れるようになるためには、介護食士の取得を目指して勉強することも1つの選択肢です。
介護食士の勉強は、介護ヘルパーとして料理をする実力を上げてくれます。
そもそも介護食士とは、介護における調理技術の向上を目指した公益社団法人の認定資格制度です。
介護食士には1~3級まであり、全体を通して学べることは以下のとおりです。
- おいしく食べやすい介護食
- 生活習慣予防食
- 献立作成
- 栄養学
- 食品衛生学
- 食品と薬の関係
- 高齢者の身体的機能や心理
上記の知識は、介護ヘルパーとして料理を作るうえで役に立ちます。
「介護ヘルパーとして料理を作る技術を磨きたいけれども、具体的に何から始めていいのか分からない」
といった人もいますよね。
介護食士を取得するために勉強すれば、必要な知識を効率よく身に付けていくことが可能です。
時間に余裕がある人は、介護食士の取得を目指してみてください。
4.介護ヘルパーで料理・調理をするときの注意点
介護ヘルパーとして料理を作るときは、注意しておくべきこともあります。
ここでは、介護ヘルパーが料理するときの3つの注意点を確認していきましょう。
- 家族の分を料理してはならない
- 事前に作った料理を持ち込むのはNG
- 食事の作り置きは相談してから
事前に注意点を知っておくことで、介護ヘルパーになった後に戸惑わずに済みます。
注意点1.家族の分を料理してはならない
介護ヘルパーは、利用者さん本人以外の料理を提供してはいけません。
介護ヘルパーの援助を受けられるのは、要介護認定を受けている本人のみと決まっているからです。
介護ヘルパーの仕事は、「利用者さん本人にまつわる日常生活に関すること」と決められています。
家族の分を料理することは、利用者さん本人にまつわることではありません。
介護ヘルパーの仕事の範囲を超えた場合、自己負担が1~3割だったところが全額負担となってしまいます。
その他にも、利用者さんの同居家族から以下のことを頼まれても断わらなければいけません。
- ついでに私の洗濯もしてくれませんか?
- 私も食べたいので料理を多めに作ってもらえませんか?
- 私の部屋も掃除してもらえませんか?
上記を行うと、介護保険制度に違反することになるので注意が必要です。
同居家族も介護が必要な場合は、別途要介護認定の申請をしてもらいましょう。
注意点2.事前に作った料理を持ち込むのはNG
介護ヘルパーは、事前に作った料理を持ち込んではいけません。
なぜなら、利用者さんの家に私物を持ち込むことは許されないからです。
私物を持ち込むと、他のヘルパーとサービスの差がついてしまいかねません。介護ヘルパーは、利用者さんの家にある物だけを利用すると決められています。
たとえば、味付けが苦手だからといって自宅から市販の調味料を持ちこむことはできません。
調味料の持ち込みができないので、完成した料理の持ち込みは当然NGです。
「利用者さんの家で限られた時間内に料理を作るのは大変そうだから、あらかじめ持って行けばよいのでは」
このように考える人もいますよね。
しかし、料理の持ち込みはできないので注意しましょう。
注意点3.食事の作り置きは相談してから
介護ヘルパーとして料理を作る際は、食事の作り置きは相談してからにしましょう。
作り置きすること自体は禁止されていませんが、いつ作った食事か分からなくなることで、食中毒を引き起こす恐れがあるからです。
介護ヘルパーが毎日通っていたり、利用者さんに同居人がいたりする場合は、作り置きした料理の管理がきちんと行えます。
一方で、介護ヘルパーが週に数回しか通えず、同居人もいない場合は、古くなった料理を誤って食べてしまう可能性がないとは言えません。
介護ヘルパーの食事の作り置きは、利用者さんや利用者さんの家族によく相談したうえで作る必要があると知っておきましょう。
5.料理・調理をするなら献立のレパートリーを増やそう
介護ヘルパーとして料理をするならば、献立のレパートリーが多ければ多いほど楽になります。
なぜなら「何を作ろうか」と、毎回悩む必要がなくなるからです。
同じ料理ばかり作っていると、利用者さんから「いつも同じ料理だから食べたくない」と言われることもあります。
作った料理を食べてもらえなかったら困るので、献立のレパートリーを増やして飽きられないようにしましょう。
献立のレパートリーを増やすためには、献立作りに役立つサイトをいくつか知っておくと便利です。
以下に献立のサイトをまとめました。
上記のようなサイトを参考にして、作れる料理のレパートリーを増やしていきましょう。
また、介護食に特化した献立がまとめられている書籍もあります。
「本のほうが見やすい・やる気が出る」といった場合は、献立本もあわせて調べてみてください。
▼訪問介護の料理に関しては、こちらも参考になります。
>>訪問ヘルパーに必要な料理スキルとは?食事を作る際の注意点を紹介
まとめ:料理を覚える気持ちが大切
介護ヘルパーは料理ができなくても、料理を覚える気持ちがあれば問題ありません。
「勉強する・教わる」などで、少しずつ上達していく前向きな姿勢が大切です。
今回紹介した介護ヘルパーの料理のポイントや注意点を参考にして、対策できることがあれば実践していきましょう。
その際は、献立のレパートリーを増やすことも意識してみてください。