訪問介護ヘルパーとは?依頼できる業務内容や利用時の手続き方法・料金まで
「訪問介護ヘルパーには、どのような仕事を依頼できるのだろう?」
「訪問介護ヘルパーに来てもらうには、どのような手続きが必要なの?」
このように、お困りではありませんか。
訪問介護ヘルパーとは、自宅で自立した生活を送るために必要なサポートを行う介護スタッフのことです。
食事介助や排泄介助などの身体介護から、調理や食事といった生活援助をお願いできます。
今回「みーつけあ」では、訪問介護ヘルパーの基本的な知識から、利用に必要な手続きまでを分かりやすく解説します。
利用したときの料金についても説明しているので、参考にしてください。
訪問介護ヘルパーのサービスを理解して、介護の手助けをしてもらいましょう。
1.訪問介護ヘルパーとは?
訪問介護ヘルパーとは、介護を必要としている高齢者や障がい者の自宅に訪問して、自立した生活ができるようにサポートを行うスタッフのことです。
施設や在宅などさまざまな場所で活躍している介護士がいますが、在宅介護を仕事としている人を訪問介護ヘルパーと呼びます。
以下のいずれかの資格を持っていなければ、訪問介護ヘルパーとして働くことはできません。
- 介護福祉士
- 実務者研修
- 介護職員初任者研修
なぜなら、資格を持った人でなければ身体を触る介護サービスの提供ができないからです。
訪問介護ヘルパーを利用できる対象者は、要支援1・2、要介護1〜5に認定された人のみです。
認定後、ケアマネジャーと相談をしながら受けるサービス内容や頻度の計画を立てて、利用を開始します。
2.訪問介護ヘルパーが担う役割
訪問介護ヘルパーの役割は、在宅介護をする利用者本人や家族をサポートすることです。
利用者が自立した生活を送るために必要なお手伝いをしてくれます。
利用者にとって頼りになる存在であることはもちろん、家族以外と話すことで気分転換や息抜きをする時間にもなります。
また、利用者を支える家族の負担を軽減することも訪問介護ヘルパーの役割です。
終わりの見えない介護に疲弊する家族の心のケアや相談に乗ったりしてくれます。
介護をするうえでの、悩みや弱音を受け止めてくれる大きな存在となるでしょう。
ただ単に介護サービスを自宅で行ってくれるだけでなく、利用者やその家族にとって頼れる大事な存在です。
3.訪問介護ヘルパーが家で提供してくれるサービス
定期的に来てくれる訪問介護ヘルパーには、何でも依頼したくなりますよね。しかし、受けられるサービス内容は決まっています。
訪問介護ヘルパーの訪問時間は、1回あたり20分から最大90分までです。
そのなかで受けられるサービスは、主に以下の2つに分けられます。
- 身体介護
- 生活援助
具体的に提供されるサービス内容を知って、どのような手助けが受けられるのか確認していきましょう。
サービス1.身体介護
身体介護とは、利用者の体に触れて行う介助のことです。
具体的には、以下のようなサービスを指します。
- 食事介助
- 排泄介助
- 入浴介助
- 着替えの介助
- 服薬の管理
- 治療食や流動食の調理
- 体位変換・就寝介助
- 身だしなみを整えること
すべてを依頼する必要はありません。
時間が限られているため、訪問介護ヘルパーにしかお願いできないことを中心に依頼をしましょう。
サービス2.生活援助
生活援助とは、利用者が自立した生活を送るために必要なサポートです。
具体的には、以下のようなサービスを行います。
- 掃除
- 洗濯
- ゴミ出し
- 食事の調理や用意
- 買い物の代行
家族ができる場合は、生活援助は行われません。
同居家族がいなかったり、サポートが必要だと判断されたりした場合のみに受けられるサービスです。
4.訪問介護ヘルパーを来てもらうには?手続きの流れをチェック
訪問介護ヘルパーに来てもらうためには、市町村役所やケアマネジャーとの手続きが必要です。
要介護認定を受けて、ケアプランを作成してもらった人しか訪問介護ヘルパーのサービスを受けることはできません。
手続きの流れは、以下の4つのステップに分けられます。
- 要介護認定を市町村役所へ申請する
- 要介護認定を受ける
- ケアマネジャーとケアプランを作成する
- 訪問介護ヘルパーの事業所を選ぶ
手順を確認して、訪問介護ヘルパーに来てもらえるよう手配を進めましょう。
流れ1.要介護認定を市町村役所へ申請する
まず、お住まいの市町村役所に介護保険要介護・要支援認定申請書を提出しましょう。
記入内容は以下の通りです。
- 申請者の氏名や住所、電話番号
- 被保険者(利用者本人)の氏名や住所、生年月日
- 主治医の意見書
- 訪問先の住所
- 調査希望日
以上のような内容で申請すると、ケアマネジャーが認定調査員として自宅へ訪問します。
実際に利用者の状態を見たり、家族がどれほど介護に携われるかをヒアリングしたりして調査が行われます。
流れ2.要介護認定を受ける
調査を元に、要介護認定を受けます。
介護の必要度合いに応じて以下の7つに区分されているため、確認しましょう。
要介護区分 | 利用者の状態の目安 |
要支援1 | 日常生活は一人で行えるが、手段的日常生活動作のいずれか1つ、介助が必要な人 |
要支援2 | 要支援1に加えて、歩行状態が不安定な人や今後日常生活動作の介護が必要となる可能性のある人 |
要介護1 | 手段的日常生活動作のいずれか1つ、毎日介助が必要となる人 あるいは、歩行状態が不安定であったり下肢筋力低下によって、日常生活動作の一部に介助が必要な人 |
要介護2 | 日常生活動作や手段的日常生活動作の一部に、毎日介助が必要となる人 あるいは日常生活動作はできても、認知症の発症によって日常生活に問題がある可能性のある人 |
要介護3 | 自立歩行が困難で、杖や車椅子を利用しなければならない人 日常生活動作や手段的日常生活動作において、毎日何かの部分で前面的な介助が必要な人 |
要介護4 | 移動に車椅子が欠かせず、常に介護なしでは日常生活を送れない人。ただし会話が行える状態の人。 |
要介護5 | 寝たきりの状態で意思の伝達が困難であり、自力で食事できない人。 あるいは日常生活すべてにおいて、常時介護はがないと生活が困難な人 |
※日常生活動作とは食事・排泄・入浴・掃除のこと
※手段的日常生活動作とは買い物・金銭管理・内服薬管理・電話利用のこと
区分によって受けられるサービス内容や時間、支給限度額が変わります。
流れ3.ケアマネジャーとケアプランを作成する
認定の通知が来たら、ケアマネジャーと利用者、利用者の家族が面談をしてケアプランの内容を話し合います。
ケアプランとは、どのように介護サービスを利用するかを決めていく計画書のことです。
利用者や家族の状況によって必要なサービスや頻度は大きく変わるため、一人一人に合わせて作成されます。
ケアマネージャーが作ったケアプランをもとにサービスの契約を交わすことになるため、疑問点がないように分からないことは積極的に質問するようにしましょう。
流れ4.訪問介護ヘルパーの事業所を選ぶ
訪問介護を受けられることが決まったら、契約する訪問介護ヘルパーの事業所を選びましょう。
訪問介護ヘルパーの事業所は、訪問介護ステーションと呼ばれます。
訪問介護ステーションは自分で探す必要はなく、ケアマネジャーから契約できる訪問介護ステーションを紹介してもらうことが可能です。
訪問介護ステーションによって1回の利用時間の制限や対応時間、年末年始などの長期休暇対応に差があります。特徴を比較して決めましょう。
▼訪問介護サービス開始の流れについては、以下の記事も参考になります。
>>訪問ヘルパーのサービス開始までの流れについて|費用やサービス内容も紹介します!
5.訪問介護ヘルパーの利用にかかる料金・費用
訪問介護ヘルパーの利用にかかる料金は、サービスと時間によって単位が決められています。
1単位あたりは、10円程度です。しかし、お住まいの市町村によって変動があるため注意しなければなりません。
サービスと時間によって定められている単位は、以下の表で確認しましょう。
サービス内容 | 時間 | 単位 |
身体介護 | 20分未満 | 167単位 |
20分以上30分未満 | 250単位 | |
30分以上1時間未満 | 396単位 | |
1時間以上 | 579単位に30分増すごとに+84単位 | |
生活援助 | 20分以上45分未満 | 183単位 |
45分以上 | 225単位 | |
通院等乗降介助 | 1回あたり | 99単位 |
訪問入浴介護 | 1回あたり | 1,260単位 |
利用者の負担は原則1割ですが、高所得者であれば2割負担・3割負担となることもあるため確認しなければなりません。
自己負担率は、以下の通りです。
前年の所得 | 負担割合 |
年金収入等340万円以上 | 3割 |
年金収入等280万円以上 | 2割 |
年金収入等280万円未満 | 1割 |
参考:介護保険における現役世代並みの所得のある者の利用者負担割合の見直し│厚生労働省
さらに、要介護状態区分によって限度基準額が異なります。
要介護状態区分 | 区分支給限度基準額 |
要支援1 | 5,032単位 |
要支援2 | 10,531単位 |
要介護1 | 16,765単位 |
要介護2 | 19,705単位 |
要介護3 | 27,048単位 |
要介護4 | 30,938単位 |
要介護5 | 36,217単位 |
毎月利用したサービスの単位が計算されて、限度基準額を超えた分は全額自己負担です。
6.訪問介護ヘルパーがやってはいけないこと
訪問介護ヘルパーは、ケアプランに書かれたこと以外のサービスをやってはいけないと決まっています。
定期的に来てくれる訪問介護ヘルパーと仲良くなって、ついあれもこれも頼みたくなる気持ちは分かります。しかし、介護保険法によって決まっているため気をつけましょう。
たとえば、訪問介護ヘルパーがやってはいけないサービスとして、以下のようなサービスが挙げられます。
- 利用者に関係のない掃除や洗濯、調理など
- 庭の手入れ
- 日常生活に不要な買い物の代行
- ペットの世話
- 来客対応
訪問介護ヘルパーが行う仕事は、利用者自身の日常生活を支援するサポートのみです。
家族分の依頼や日常生活以上のことは引き受けられません。
また、以下のサービスも訪問介護ヘルパーがやってはいけないことです。
- 散髪
- マッサージ
- 医療行為
これらは、それぞれ介護の範囲を超えた仕事です。
散髪なら理容師に、マッサージは整体師に、医療行為は看護師や医師に、それぞれの免許を持った人に訪問してもらいましょう。
▼訪問介護でやってはいけないことに関する記事はこちらから。
>>訪問介護のヘルパーがやってはいけないこと・できないことについて解説!
>>介護ヘルパーの医療行為は禁止?実態やできること・できないことについて
▼介護保険外サービスに関しては、以下の記事をご参考ください。
>>【介護保険外】訪問ヘルパーの自費サービスとは?料金や内容を徹底解説!
7.訪問介護ヘルパーと似たサービス
要介護状態区分によって、訪問介護ヘルパーには利用限度があります。
しかし、毎日家族が介護しつづけると、疲れてしまうことも事実です。
そこで、生活支援であれば、他のサービスを利用することも検討しましょう。
訪問介護ヘルパーと似たサービスは、2つあります。
- 家事代行
- 配食
順番に確認し、必要なタイミングで利用できるよう、覚えておきましょう。
サービス1.家事代行
家事代行は、家族の代わりに家事を行ってくれるサービスです。
以下のようなことを、依頼できます。
- 料理
- 洗濯
- 掃除
- 買い物
- 庭の手入れ
- ペットの世話
日常の家事の負担を軽減したり、年末年始の大掃除をやってもらったりして、家事の負担を軽減しましょう。
サービス2.配食
配色とは、食材や食事を自宅まで届けてくれるサービスです。
冷凍で数日分のお弁当を届けてくれることもあるため、やむを得ない事情で家族が家を空けてしまうときにも利用しやすいでしょう。
また、在宅介護で目が離せない状態であれば、コンビニやスーパーで食材を依頼することもできます。
自分に合ったサービスを見つけて、介護疲れが出ないように工夫しましょう。
まとめ:在宅介護で便利な訪問介護ヘルパーを活用しよう
訪問介護ヘルパーとは、自宅で自立した生活を送るために必要なサポートを行う介護スタッフのことです。
食事や排泄などの身体介護から、調理や食事といった生活援助をお願いできます。
訪問介護ヘルパーに来てもらうには、まずお住まいの市町村役所で要介護認定の申請が必要です。
ケアマネジャーに、利用者が必要な介護サービスを伝えれば、ケアプランを作ってもらえます。
ときには、家事代行や配色のサービスも併用しながら、家族みんなで介護を乗り切りましょう。