訪問介護員の仕事内容を解説!1日の流れ・給料・向いてる人とは?
「訪問介護員って、どのような仕事内容なの?」
「1日の流れや、給料についても知りたい」
これから訪問介護員として働きたい人にとって、仕事内容や待遇は気になる問題ですよね。
訪問介護員は、介護が必要な高齢者の自宅を訪問して、介護サービスを提供する仕事です。
しかし、訪問介護員にはできること・できないこともあります。
そこで今回「みーつけあ」は、訪問介護員の仕事内容についてまとめてみました。
他にも、1日の流れ・給料・資格・悩みなどについても紹介します。
訪問介護員の仕事内容を理解して、働く前の不安要素を減らしましょう。
1.訪問介護員とは?
訪問介護員とは、要介護認定を受けた要介護者(利用者)の自宅を訪問して、日常生活のサポートを行う仕事です。
一般的には、「ホームヘルパー・訪問ヘルパー」などと呼ばれることもあります。
また、訪問介護員の仕事内容は「介護保険法」によって定められています。
そのため、利用者のサポートだからといって「何でもしてあげられる」というわけではありません。
主には、日常生活を送るうえで最低限必要な行動の援助・自立支援が目的とされています。
ホームヘルパー2級は介護職員初任者研修に移行
訪問介護員として働くには、介護資格が必要です。
かつては、介護の基礎知識と技術を学んだことを証明する「訪問介護員養成研修2級課程(ホームヘルパー2級)」や、その上位資格となる「ホームヘルパー1級」などの資格がありました。
しかし、2013年の介護保険法の改正により、ホームヘルパー2級は「介護職員初任者研修」へと移行しています。
これによって、複雑だったキャリアパスが明確化されて、より多くの介護人材を育成する養成施設ルートが確立したのです。
2.訪問介護員の仕事内容は大きく3つ!
では、訪問介護員の仕事内容は、どのようになっているのでしょうか。
介護サービスの提供内容は、あらかじめケアマネジャーと、利用者やその家族間で決められています。
そのなかで訪問介護員が担う仕事内容は、大きく3つに分けられます。
- 身体介護
- 生活援助
- 通院介助
ここからは、それぞれの仕事内容について紹介します。
(1)身体介護
身体介護は、利用者の体に直接触れて行う介護サービスです。
仕事内容としては、以下が挙げられます。
- 食事介助
- 入浴介助
- 排泄介助
- 服薬介助
- 着替え介助
- 体位変換介助
- おむつ交換 など
他にも、実務者研修を修了した訪問介護員であれば、たんの吸引や経管栄養といった医療ケアを行うことが可能です。
(2)生活援助
生活援助は、利用者に直接触れなくても行える身の回りのサポートを行う介護サービスです。
仕事内容としては、以下が挙げられます。
- 調理
- 洗濯
- 掃除
- 買い物代行
- 薬の受け取り など
買い物代行は、あくまで生活に不可欠な日用品が中心となります。お酒・タバコなどの嗜好品はサービス対象外です。
また、生活援助を行えるのは、利用者の身の回りのお世話に限られます。
家族分の食事の準備や、利用者が使用していない部屋の掃除は行なえません。
(3)通院介助
通院介助は、利用者の通院における、乗降車や移動介助を行う仕事です。
訪問介護員が自ら車を運転して、利用者を病院まで連れていきます。
その後の歩行、受診手続きなども、必要に応じて介助する場合があります。
3.訪問介護員の仕事内容|やってはいけないこと
訪問介護員が行う仕事内容は、介護保険法によって定められています。
この法律は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、その行う保険給付等に関して必要な事項を定め、もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする
介護保険サービスは、利用者の自立を手助けするための支援活動が目的です。
利用者から頼まれたからといって、何でもしてあげてよいというわけではないので注意しましょう。
医療行為と家事代行はできない
訪問介護員は、医療行為を行うことができません。
そうとはいっても、「どこまでが医療行為なの?」と、境目がわからないと感じる人もいますよね。
一例として、医療行為にあたる仕事内容は以下が挙げられます。
- 胃ろうチューブの挿入や洗浄※一定の研修を修了した場合のみ可能。
- 散髪(電気シェーバーによる髭剃りは可能)
- 排尿カテーテルの挿入、消毒、洗浄など
- 肌に接着したパウチの取り換え(専門的な管理が必要とされない場合は可能)
- リハビリ、マッサージの補助
- 入院や手術の同意や手続き
- 専門的な判断や技術が必要な傷の処置
また、医療行為に含まれない仕事内容に関しては、厚生労働省が以下のように紹介しています。
- 水銀体温計や電子体温計による体温計測
- 専門的な判断や技術を必要としない怪我の応急処置
- 耳垢の除去(耳垢塞栓は除く)
- 重度の歯周病等がない場合の歯磨き など
参考:医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(通知)-厚生労働省
医療行為の判断は、一般的な医療知識の向上と共に変化し続けています。
あくまで一例として、ご参考ください。
▼訪問介護員がやってはいけないことに関する記事は、こちらもご参考ください。
>>訪問介護のヘルパーがやってはいけないこと・できないことについて解説!
4.訪問介護員の仕事内容|1日の流れとは?
ここでは、実際に訪問介護員として働いた場合の、1日の流れについて一例を紹介します。
まずは、以下の表をご確認ください。
このように、訪問介護員は出勤してから利用者さんの自宅まで移動して、それぞれ1時間の介護サービスを提供します。
正社員やパート・アルバイトの場合、このような働き方が主流です。しかし、訪問介護員には「登録ヘルパー」という働き方もあります。
登録ヘルパーの1日の流れ
登録ヘルパーは、自宅から直接利用者の自宅へ向かい、介護サービスを提供する仕事です。
自分の働きたい時間にだけ働けるため、時間の融通が効きます。
定時での出退勤が難しい主婦や、副業として働きたい人に向いているでしょう。
1日の流れとしては、以下のようなスケジュールとなります。
・子育てに忙しい主婦の例
・サラリーマンの例
このように、隙間時間を有効活用して働けることが、登録ヘルパーの魅力です。
ただし、希望する時間帯に利用者とマッチングできないと仕事が入りません。
利用者の急な入所・入院・死亡によって仕事がキャンセルされることもあります。
そのため、収入が安定しないといったデメリットがある点にも注意しましょう。
▼登録ヘルパーの働き方に関する記事は、こちらをご参考ください。
>>通勤時間に縛られない登録ヘルパーの働き方|メリットやデメリットについて
5.訪問介護員の仕事内容における給料
ここからは、訪問介護員の給料についても見ていきましょう。
みーつけあが独自に調べた結果、「正社員、パート・アルバイト、登録ヘルパー、派遣社員」の4つを比較したデータが下記になります。
正社員 | 平均年収:307万円 |
パート・アルバイト | 平均時給:1,067円 |
登録ヘルパー | 平均時給:1,397円 |
派遣社員 | 平均時給:1,403円 |
※2021年9月現在のデータとなります。
正社員の給与は、月給にすると約26万円、初任給は19万円が相場です。
これは、日本全体の平均給与と比較するとやや低くなっています。
パート・アルバイトは、一般的な平均時給といえるでしょう。
それらに比べると、登録ヘルパー、派遣社員は時給が高いです。
しかし給料が安定しない分、平均給与としては不満の声が多くなっています。
▼登録ヘルパーの給与に関する記事はこちらから。
>>登録ヘルパーの給料相場はいくら?他業種とも比較してみました
▼訪問介護員の年収に関しては、以下の記事が参考になります。
>>訪問介護ヘルパーは年収が低い!?給料の相場や給料アップの方法を紹介
6.訪問介護員の仕事内容|メリット・デメリットとは?
「訪問介護員の仕事内容が辛いという人が多いけど、メリットやデメリットは何だろう?」
たとえ給料がよかったり、仕事内容が魅力的だったりしても、実際によく聞くメリットやデメリットが分からないと不安ですよね。
訪問介護の仕事は、利用者さんから直接感謝の言葉を伝えてもらえるため、とてもやりがいがあります。
一方、面倒くさい利用者さんによって、ストレスで悩む人が多いことも事実です。
ここからは、訪問介護員のメリット・デメリットについて紹介します。
訪問介護員のメリット・やりがい
訪問介護員として働くメリットは、主に以下のとおりです。
- 職場で人間関係のトラブル・悩みが少ない
- 利用者と接することで幅広い知識やスキルを学べる
- 感謝の言葉を直接受け取れる
- 時間の融通がきく
訪問介護は、施設とは違い、1対1でじっくり付き合える。一人一人、個性や考え方等が違うのを、しっかり受け止められる。訪問を楽しみに待ってくださっている。色んな話を聞かせてくださるので、沢山の学びがある。一件30分~1時間で終わるので、その都度、息抜き(リフレッシュ)出来る。
訪問介護員は、基本的に利用者の自宅にて1対1で介護サービスを行います。
そのため、施設介護とは異なり、他の従業員に気を遣う必要がありません。
また、さまざまな高齢者の自宅を訪問することで、自分の知らなかった価値観に触れたり、知識やスキルを学べます。
利用者から直接感謝の気持ちを伝えてもらえるので、社会貢献をしている実感が持てる点も魅力といえるでしょう。
登録ヘルパーであれば、正社員やパート・アルバイトに比べて時間の融通が効きます。
ライフスタイルに合わせた働き方をしたいのであれば、登録ヘルパーがおすすめです。
訪問介護員のデメリット
訪問介護員として働くデメリットは、主に以下のとおりです。
- 利用者と相性が合わないとストレスになる
- 臨機応変な対応力が求められる
- 移動が大変
癖のある方、暴言、汚部屋、うるさい家族など、ストレスがたまる
実際の口コミでも触れられているように、利用者と相性が悪かったり、暴言を吐かれたりすることがストレスに繋がることがあります。
また、施設介護のように環境が整っているとは限らず、各利用者さんの生活環境に合わせた臨機応変な対応が求められるでしょう。
他にも、以下のような口コミが目立っています。
一件ずつ、移動するのがすごく大変。時間、労力、精神力、バイクとガソリンを使い、片道約10~15分。移動交通費は100円ほど。出ない所もある。入所・入院で定期訪問数が減り、時間が余るので勿体ない。一日に入れる件数が少ないので、拘束時間の割には給料は少ない。責任の重さと給料が全然合わない。現場の声が、上に届かずイライラする事が多い。
訪問介護員は、1日に数件の利用者宅を訪問します。
地域によっては、坂道が多かったり、天候が崩れやすかったりといった原因で、移動が大変というデメリットがあるでしょう。
7.訪問介護員が向いてる人はどのような人?
メリット・デメリットや、やりがいについて理解はできたでしょうか。
訪問介護員として働くには、相手を思いやれる心のゆとりが不可欠です。
主に、以下に該当する人は、訪問介護員に向いているといえるでしょう。
- 高齢者のお世話をすることが好き
- 他人を思いやる心のゆとりがある
- 気が長く、聞き上手な人
- 体力に自信がある人
- 責任感がある人
「これだけやってあげているのに」と見返りを求めてばかりでは、決して長くは続けられない仕事です。
常に相手の立場になって、物事を考えられるような人や、誰かの役に立てる仕事がしたいと考えている人は、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。
8.訪問介護員に必要な資格とは?
介護ヘルパー(訪問介護員)として働くには、介護資格が必要です。
資格の取得には、数万円から数十万円の費用がかかります。しかし近年では、資格支援制度が充実している事業所が増えてきました。
そのため無資格でも、働きながら資格の取得を目指すことも可能です。
本記事では、代表的な介護資格を3つ紹介します。
- 介護職員初任者研修
- 実務者研修
- 介護福祉士
それぞれの資格について、詳しく見ていきましょう。
資格1.介護職員初任者研修
訪問介護員として働くために、必須となる資格が「介護職員初任者研修」です。
介護の現場で働くうえで、基本となる技術と知識を習得する事ができます。
資格を取得するには、約130時間の講義と演習を受講しなければいけません。また、最終的には修了試験に合格する必要があります。
研修内容は、以下のとおりです。
職務の理解 | 6時間 |
介護における尊厳の保持・自立支援 | 9時間 |
介護の基本 | 6時間 |
介護・福祉サービスの理解と医療との連携 | 9時間 |
介護におけるコミュニケーション技術 | 6時間 |
老化の理解 | 6時間 |
認知症の理解 | 6時間 |
障害の理解 | 3時間 |
こころとからだのしくみと生活支援技術 | 75時間 |
振り返り | 4時間 |
合計 | 130時間 |
引用:介護職員初任者研修・生活援助従事者研修関係 – 厚生労働省
短ければ1ヶ月半、通常なら3ヶ月〜4ヶ月ほどの期間で、修了することができます。
・合格率は非公開となっている
介護職員初任者研修の正確な合格確率は、公的に明かされていません。
ネット上の口コミで確認できる限り、「ほぼ合格できる、9割以上は合格している」といった情報が多いです。
難易度は低いようですが、講座は真面目に受けて、試験までの準備を怠らない気持ちを大切にしましょう。
資格2.実務者研修
出典:介護福祉士養成施設等における「医療的ケアの教育及び実務者研修関係」|厚生労働省
より深い知識を学んだり、キャリアアップを目指せる資格が「実務者研修」です。
実務者研修を修了することで、身体介護の「たんの吸引、経管栄養」といった介護サービスを提供することができます。
「介護福祉士の養成施設における2年以上の養成課程と同等の水準」と表記されていることから、専門性の高い資格といえますね。
実務者研修は、20科目で450時間の研修内容です。
もし、初任者研修を修了しているのであれば、同等の内容となっている130時間分は免除されます。
より幅広く介護の現場で活躍したい人は、視野に入れておきたい資格と言えるでしょう。
3. 介護福祉士
出典:[介護福祉士国家試験]受験資格(資格取得ルート図)|公益財団法人 社会福祉振興・試験センター
介護資格のなかで、唯一の国家資格となっているのが「介護福祉士」です。
社会的認知度や信頼性が高く、転職や就職には非常に有効な実績となります。
介護福祉士国家試験に受験するためには、「実務者研修」の修了及び、実務経験3年以上が必要です。
厚生労働省の資料「第33回介護福祉士国家試験合格発表」によると、合格率は2021年3月の発表時点で71.0%となっています。
介護のスペシャリストとして、リーダー的立場で仕事をしていきたいと考えている人は、介護福祉士を目指しましょう。
▼資格の取り方についてさらに詳しく知りたい人には、以下の記事が参考になります。
>>介護ヘルパーの資格の取り方について|費用や年齢制限は?
9.訪問介護員の仕事内容|よくある悩みQ&A
最後に、訪問介護員の仕事内容に関する悩みや質問について紹介します。
本記事で紹介する内容は、以下のとおりです。
- 訪問介護員の仕事を辞めたいです
- 夜勤の仕事はありますか?
- 妊娠した場合は産休育休をもらえますか?
一人ひとりのライフスタイルによって、訪問介護員の仕事内容に関する悩みはさまざまです。
小さな疑問を少しでも解消して、「こんなはずではなかった」という後悔を減らしましょう。
Q1.訪問介護員の仕事を辞めたいです
A. まずは事業所に相談をして、プランニングを考えてから行動しましょう。
訪問介護員の仕事が辛くなって辞めたいと考える人はとても多いです。
しかし、辞めたい理由は人それぞれ異なります。
職場環境に問題があるのであれば、「苦手な利用者の担当から外して欲しい」「シフトの調整をして欲しい」と、積極的に相談しましょう。
すでに辞める決意が固い人であれば、必ず今後のプランニングを立ててください。
- 仕事がうまくいかなかった理由はどこにあったのか?
- どのような仕事環境を望んでいるのか?
- 住まい環境は問題がないか? など
仕事を辞めなければいけなかった原因が分からないまま次の仕事に就いても、必ず同じ原因で仕事を辞めることになります。
根本的な原因を解決したうえで、次の仕事を探しましょう。
▼登録ヘルパーを辞めたい理由に関する人気記事はこちらから。
>>登録ヘルパーを辞めたい理由まとめ|辞める前に考えるべきこと
Q2.夜勤の仕事はありますか?
A. 夜間対応型訪問介護という仕事があります。
介護を必要とする人の増加に伴い、夜間対応の訪問介護の需要が増加しました。
夜間対応型訪問介護以外にも、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」や「ショートステイ(短期入所生活介護)」といった形の介護サービスも夜間対応です。
夜勤で訪問介護の仕事に携わりたいと考えている人は、以下の記事にて利用者向けのサービス内容を確認できます。
ぜひ参考にしてみてください。
>>介護ヘルパーは夜間でも頼める!夜に使える6つの介護サービスを紹介
Q3.妊娠した場合は産休育休をもらえますか?
A. 出産予定日の6週間前から、産前休暇の取得が可能です。
産前産後の休暇は、労働基準法によって定められています。
訪問介護員だからといって、休暇がもらえないということはありませんので安心してください。
また産後休暇は、申請の必要もなく「産後8週間は就業させてはいけない」という強制的な休暇があります。
ただし、育休に限っては以下の条件を満たさないと、休暇の取得ができません。
- 休業予定の事業所に引き続き1年以上雇用されている
- 子どもが1歳の誕生日を迎えた後も、引き続き雇用が見込まれる
さらに詳しい情報に関しては、厚生労働省の資料「産休&育休 – 厚生労働省」をご参考ください。
まとめ:週1日・短時間で働きたい主婦や副業にもおすすめ!
訪問介護は、介護資格のない人や、経験がない人でも挑戦できる仕事です。
また、事業所によっては「資格取得支援制度」を設けている場合があり、働きながら資格を取得できます。
これから介護の道に進みたい人、週1日・短時間で働きたい主婦や副業にもおすすめです。
本記事で紹介した内容を参考に、ぜひ訪問介護の仕事に挑戦してみてください。