訪問介護ヘルパーとは?仕事内容や給与目安をわかりやすく紹介!
「訪問介護ヘルパーってどのような資格が必要なの?」
「仕事内容や給与の目安を知りたい」
このような疑問を感じていませんか。
初めて訪問介護ヘルパーとして働きたいと考えている人にとっては、仕事内容に不安がありますよね。
訪問介護ヘルパーの仕事は、利用者の自宅へ行って身の回りのお世話や、掃除・洗濯などを支援します。
こうした仕事内容を分類した名称が、「身体介護と生活援助」です。
今回「みーつけあ」では、訪問介護ヘルパーとはどういった仕事をするのかを、仕事内容や給与も含めて紹介します。
訪問介護について理解して、やりがいを感じられるようなヘルパーを目指しましょう。
1.訪問介護ヘルパーとは?
訪問介護ヘルパーとは、利用者の自宅へ行って、入浴や排泄、食事の介助や、掃除・洗濯といった身の回りの家事を提供する人のことです。
1人ひとりに必要な介護を行うので、利用者に寄り添った支援を実施できる仕事です。
まずは、訪問介護ヘルパーについて理解を深めるために、以下の2つについて紹介します。
- 訪問介護ヘルパーは不足している?
- 訪問介護ヘルパーは要支援1〜2か要介護1〜5の人が利用する
順番にチェックしましょう。
訪問介護ヘルパーは不足している?
訪問介護ヘルパーの人員不足は、常に深刻な状態です。
平成29年度介護労働実態調査では、訪問介護ヘルパーが不足していると答えた割合が82.4%にも及びます。
最近では、新型コロナウイルスが追い討ちを掛け、訪問介護の人員はさらに減少しています。
職員が減少する理由は、以下の3つです。
- 介護職は直接身体に触れなければいけない
- 利用者の自宅へ訪問するので感染リスクがある
- 1日に何件も訪問するため、感染を拡大させてしまう可能性がある
また、厚生労働省の資料「今後の高齢者人口の見通しについて」によれば、2025年には65歳以上の高齢者が「全体の人口の3割を占める」予想です。
しかし、介護を必要とする人が増え続けるなか、介護職員は減少し続けています。
このままでは、必要なサービスを受けられない高齢者が出てきてしまう可能性があるわけです。
訪問介護ヘルパーは要支援1~2か要介護1~5の人が利用する
訪問介護ヘルパーは、介護認定を受けた人が利用できるサービスの1つです。
介護認定は、要支援1〜2と、要介護1〜5の区分に分かれています。
要介護または要支援とは、生活するうえで「どの程度の支援が必要なのか」を判断するための度合いを表しています。
要支援1がもっとも軽く、要介護5がもっとも重い判定を受けた人と覚えておきましょう。
そして、要支援認定は「介護予防訪問介護」、要介護認定は「要介護支援」を利用できます。
1人ひとりの生活に必要なサポートを利用者本人やご家族、ケアマネジャーなどと相談して、最適なケアプランを決めるといった流れです。
では次に、訪問介護ヘルパーの仕事内容について、理解を深めていきましょう。
2.訪問介護ヘルパーの主な仕事内容は3つ
要支援または要介護認定を受けた人に対して行う、訪問介護ヘルパーの主な仕事は以下の3つです。
- 身体介護
- 生活援助
- その他の生活に必要な補助
厚生労働省が示す現行の訪問介護の定義に基づいて、1つずつ解説します。
仕事内容が理解できれば、利用者の訪問先でどのような仕事を提供するのかを、イメージできるでしょう。
仕事内容1.身体介護
身体介護は、利用者の身体に直接触れて行う介護サービスです。
具体的には、以下のような業務があります。
- 入浴介助
- 食事介助
- 排泄介助
- 更衣介助
- 清拭
- 体位変換
- 服薬介助
利用者に直接触れる介護なので、転倒や誤飲などのリスクが高くなってしまいます。
しかし、利用者と密接に関わるので、信頼関係は築きやすいでしょう。
仕事内容2.生活援助
生活援助は、利用者の身の回りのお世話をする介護サービスです。
具体的には、以下のような業務があります。
- 掃除
- 洗濯
- ベッドメイク
- 薬の受け取り
- 買い物
主に、1人暮らしや、同居家族が何らかの理由で支援できない利用者に対して行う介護業務です。
ただし、利用者さんの同居家族、親族、配偶者に対して同様の支援は行えません。
仕事内容3.そのほかの生活に必要な補助
そして最後は、そのほかの生活に必要な補助を行う仕事を紹介します。
「通院等乗降介助」と呼ばれ、訪問介護職員が運転する車への乗降介助が主な仕事です。必要に応じて、車の乗り降りだけでなく、乗車前や下車後の介助も行います。
その他には、通院先の受診の手続きや、帰宅時は家の中まで付き添って、安全に送迎を行うことも業務内容です。
このように、利用者の状態や希望に応じて、身体介護や生活援助、そのほかの生活に必要な補助を行う仕事をするのが、訪問介護ヘルパーの役割になります。
訪問介護ヘルパーの仕事内容が分かれば、次に気になるのは給与面ではないでしょうか。
次章で詳しく解説するので、ぜひご覧ください。
3.訪問介護ヘルパーの給与目安
では次に、訪問介護ヘルパーの給与目安について、以下の3つを解説します。
- 給与目安1.常勤なら「306,760円」
- 給与目安2.非常勤なら「174,150円」
- 給与目安3.時給なら「1,900〜2,000円」
今回は、厚生労働省が算出した「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」を参考にしました。ぜひ、給与の目安にしてください。
給与目安1.常勤なら「306,760円」
常勤の訪問介護ヘルパーの1ヶ月の給料平均は、306,760円です。
ただし、勤続年数が約8年での平均月収ですので、1年目の給料ならもう少し低くなります。
また、給料のほかにも、資格手当や移動手当が出る事業所もあります。給料が高いところを探すのであれば、手当の有無もチェックしておきましょう。
給与目安2.非常勤なら「174,150円」
非常勤の1ヶ月の給料の平均は、174,150円です。
非常勤の職員は、常勤の職員に比べて勤務時間が短いので、給料は下がってしまいます。
しかし、非常勤でも常勤同様に手当が付与される事業所があるので、少しでも給料を底上げしたいのであれば、手当がある職場を探しましょう。
給与目安3.時給なら「1900〜2000円」
アルバイトやパートの訪問介護ヘルパーの時給は、1,900〜2,000円です。
ただし、勤続年数が7年の場合の時給なので、1年目は下がる可能性もあります。
各事業所で時給に変動はありますので、少しでも時給が高いところを探しましょう。
4.訪問介護ヘルパーがやってはいけないこと
いくら利用者さんの頼みだとしても、訪問介護ヘルパーがやってはいけないことがあります。
以下では、やってはいけないことの例をまとめていますので、参考にしてください。
サービス内容 | やってはいけないことリスト |
---|---|
身体介護 | ・ヘアカット ・医療行為 ・マッサージ ・カミソリを使った除毛 ・リハビリの補助 |
生活援助 | ・利用者のものでない掃除や洗濯、調理など ・年末の大掃除、おせち料理といった行事のお手伝い ・庭の草むしり ・私生活に差し支えのない酒・タバコなど ・ペットの世話 ・来客にお茶やお菓子を出す |
もし、これらのサービスを利用者さんに頼まれても提供はできません。
それでも頼まれるようでしたら、訪問介護ヘルパーは介護保険法に基づいた支援のみしかできないことを伝えたうえで、自費サービスの利用をおすすめしましょう。
▼自費サービスやヘルパーにできないことに関する記事はこちらから。
>>介護ヘルパーは自費で依頼できる?介護保険との違いを徹底解説!
>>訪問介護ヘルパーに頼めることって?できること・できないことを紹介
5.訪問介護ヘルパーのやりがいは?
訪問介護ヘルパーのやりがいは、利用者と深い信頼関係が築けて、心から感謝してもらえることです。
ただ言われたとおりに支援をするのではなく、利用者が暮らしやすい環境づくりを心がけて、よりよい生活が送れるようにサポートをします。
すると、初めは警戒心が強かった利用者も心を開いて、家族にも言えないような悩みを相談してくれるようになります。
利用者から言われる優しい一言や、「ありがとう」「また来てね」という言葉を聞くと、訪問介護ヘルパーでよかったと思うはずです。
訪問介護ヘルパーは負担も大きく、責任が重くのしかかる仕事ですが、利用者と良好な関係を築けるという点では、やりがいに繋がるでしょう。
▼訪問介護のやりがいに関しては、以下の記事も参考になります。
>>介護ヘルパーのやりがい5選【楽しいところと大変なところがわかる】
6.訪問介護ヘルパーの悩みあるある
やりがいを感じられる仕事である一方で、以下のような3つの悩みを抱える訪問介護ヘルパーが多いです。
- 家政婦と間違えられる
- 思ったより給与が伸びない
- 人間関係で疲れる
訪問介護ヘルパーが経験しやすい悩みを厳選してピックアップしました。
他人事だと思わずに、事前に対処法を考えておきましょう。
適切な対処法を覚えるだけでも、焦らずに対応できるようになるはずです。
悩み1.家政婦と間違えられる
訪問介護は身の回りのお世話をする仕事なので、家政婦との区別が分からない利用者もいます。
しかし、訪問介護ヘルパーは介護保険法に基づいた支援しかできません。
介護保険外のサービスを求められた場合は、制度を丁寧に説明して、できない旨をハッキリ伝えてください。
説明しても理解してもらえないのであれば、保険外サービスの利用を提案しましょう。
悩み2.思ったより給与が伸びない
訪問介護ヘルパーには、「正社員、パート・アルバイト、登録ヘルパー」といった雇用形態があります。
そのなかでも登録ヘルパーは、好きなときに好きなだけ働けるイメージが強いので、思ったより給与が伸びないと悩む人もいます。
確かに「空いた時間に稼げる」や「1日2〜3時間から可能」といった求人広告を目にするので、すきま時間に稼げる効率のよい仕事だと感じてしまうはずです。
しかし、登録ヘルパーは介護サービスを提供している時間しか時給が発生せず、移動時間や空き時間は含まれません。
そのため、空き時間や移動距離が長いと、拘束時間が長いのに稼げないという結果になってしまいます。
▼登録ヘルパーの働き方に関しては、以下の記事をご参考ください。
>>通勤時間に縛られない登録ヘルパーの働き方|メリットやデメリットについて
悩み3.人間関係で疲れる
訪問介護ヘルパーは、基本的に利用者と1対1の仕事現場なので、人間関係の悩みは少ないように思うかもしれません。
しかし、訪問介護ヘルパーだからこそ、利用者や職員同士の人間関係に疲れてしまうのが現状です。
まず、利用者の場合は、いやがらせや暴行をされたり、暴言を吐かれたりするケースがあります。
残念ですが、第3者の目が届かないことをよいことに、好き放題されてしまうという悲しい経験をしている人がいるのは事実です。
また、職員同士では、利用者さん1人に対して他社のヘルパーが複数いるため、情報を共有する連絡ノートを使います。
しかし、そこに批判や悪口が書かれているケースもあります。
このように、毎回このような嫌がらせを受けていると、精神的なダメージが大きくなってしまいます。
結果として、訪問介護だからこそ抱える人間関係に、疲れてしまうわけです。
▼訪問介護の悩みに関する記事は、こちらも参考になります。
>>訪問ヘルパーの悩みあるある3選!解決策についても紹介
>>介護ヘルパーが大変だといわれる4つの理由|気になる仕事内容と悩み
7.訪問介護ヘルパーを目指すなら資格を取得しよう
訪問介護ヘルパー特有の悩みを解決するためにも、訪問介護ヘルパーを目指すなら資格を取得しましょう。
取得をするべき理由は、以下の3つです。
- 専門の技術が身に付く
- 給与に資格手当が付く
- 転職に有利になる
資格を取得すれば、家政婦に間違えられたり、給与が低いと悩んだり、人間関係に疲れるなどの悩みは解消できるはずです。
1つずつ理由を見ていきましょう。
理由1.専門の技術が身に付く
資格を取得すれば、介護専門の知識や技術が身に付きます。
困りごとに対して専門的観点からアドバイスをしたり、利用者の生活をよりよくサポートしたりするための改善案を考えられるでしょう。
仕事の幅が広がることで、利用者も家政婦とは違うと気づいてくれるはずです。
理由2.給与に資格手当が付く
資格を取得すれば資格手当が付くので、給与がアップします。
資格取得別の給与額の平均は、以下のとおりです。
取得している資格 | 給与額 |
---|---|
介護福祉士 | 329,250円 |
実務者研修 | 303,230円 |
介護職員初任者研修 | 301,210円 |
保有資格なし | 275,920円 |
引用:令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要
※給与額は、基本給+手当+一時金(賞与等)を含めた金額です。
このように、資格があれば給与アップが見込めます。
稼ぎたいと思うのであれば、積極的に資格取得を目指しましょう。
▼資格による給料の違いは、こちらの記事もご参考ください。
>>介護ヘルパーの資格による給料の違いや資格手当について徹底比較
理由3.転職に有利になる
そして理由の3つ目は、転職に有利になることです。
いまの職場で働き続けるのが辛いのであれば、転職を考えると思います。このようなときに資格があれば、次の仕事も見つかりやすいでしょう。
介護施設は常に人手不足なので、優秀な人材は喉から手が出るほど欲しいのが現状です。
資格を取得していれば、知識やスキルが保証されているので、希望する仕事に就ける可能性が高くなります。
▼資格の取り方については、以下の記事をご参考ください。
>>介護ヘルパーの資格の取り方について|費用や年齢制限は?
まとめ:訪問介護はやりがいと将来性のある仕事!
訪問介護ヘルパーは、利用者の身体に直接触れて介助を行う「身体介護」と、身の回りのお世話をする「生活援助」、通院等の送迎を行う「通院等乗降介助」の3つが主な仕事内容です。
また、常勤であれば月に30万円以上稼げる可能性があるので、給料面での心配は少なくて済むでしょう。
ただし、訪問介護は利用者とヘルパーの1対1での仕事なので、介護リスクが高く、責任が重くのしかかる仕事です。
訪問介護ヘルパーならではの悩みが出てくるかと思いますが、1人で抱え込まずに誰かに聞いてもらいましょう。
そして、仕事を充実させるためにも、介護資格の取得はおすすめです。専門技術が身に付き、資格手当をもらえるうえ、転職もしやすいというメリットがあります。
まずは、訪問介護ヘルパーとして経験や知識を積んでみてくださいね。