じつは訪問介護に行きたくない利用者がいる?理由や対処法を紹介
「訪問介護に行きたくない利用者さんがいる」
「行きたくない利用者さんへの対処法や、ほかの人の意見も知りたい」
このような疑問を感じていませんか。
訪問介護の仕事は利用者さんと1対1で関わるため、第3者の目が届きにくく、トラブルが発生しやすいです。
訪問介護で行きたくない利用者さんがいれば、1人で抱え込まずに相談しましょう。そのためには、行きたくない理由や対策を知っておくべきです。
そこで今回「みーつけあ」では、訪問介護に行きたくない利用者さんがいる理由や対処法、そのほかの訪問介護あるあるや悩みについて紹介します。
行きたくない利用者さんの特徴を把握しておけば、事前にトラブルを回避できるはずです。ぜひ、最後までご覧ください。
1.訪問介護に行きたくない利用者さんがいる理由
訪問介護に行きたくない利用者さんには、どのような特徴が挙げられるのでしょうか。
今回ピックアップした理由は、主に以下の5つです。
- 理由1.利用者さんがわがまま
- 理由2.介護を拒否されてしまう
- 理由3.やってはいけないことを頼まれる
- 理由4.セクハラを受ける
- 理由5.家族から嫌味を言われる
これらの理由で精神的に病んでしまい、訪問介護に行くのが嫌になってしまうヘルパーがたくさんいます。
それぞれ詳しく解説するので、1つずつチェックしましょう。
理由1.利用者さんがわがまま
まず1つ目の理由は、利用者さんがわがままなことです。
利用者さんのなかには、訪問介護員を家政婦のように扱う人がいます。しかし、実際は介護保険法に基づいた支援しかできない決まりです。
たとえば、理由を伝えても、わがままな利用者さんは「このくらいして欲しい」「お金を払ってるんだから」と要求してくる人がいます。
しかし、明確にできないことを伝えて断らなければいけません。
そうすることで、サービスの質を一定に保ち、適切な支援を必要な人に届けられるからです。
ただし、なかには本当に困っている利用者もいるので、まずは事業所に相談しましょう。
理由2.介護を拒否されてしまう
次に行きたくない理由は、介護を拒否されてしまうことが原因です。
介護拒否には、主に以下の理由があります。
- 介護されることに抵抗がある
- 介護を受ける気分ではない
- 指示されるのが嫌
- 自分の体が悪いと思っていない
- ガンコな性格
- 体調不良
このような場合は無理に介護をせず、心を開いてもらえるように話しかけてじっくり対応をしましょう。
理由3.やってはいけないことを頼まれる
やってはいけないことばかり頼んでくる利用者さんの家には、たとえ断り続けていたとしても行きたくなくなります。
訪問介護でやってはいけない代表的なことは、以下の3つです。
- 生活に支障のない家事や掃除
- 医療行為になってしまうサービス
- 利用者さん以外に対するサービス
訪問介護ヘルパーは、生活に必要最低限のサービスしか提供できません。そのため、生活に必要のないことや、利用者さんの家族に対する支援はサービス時間内であっても不可能です。
また、医療行為は医師や医師の指導があった看護師にしかできません。
「頼まれても決して対応しない」で、事業所へ報告しましょう。
▼医療行為に関しては、以下の記事をご参考ください。
>>介護ヘルパーの医療行為は禁止?実態やできること・できないことについて
理由4.セクハラを受ける
利用者さんからのセクハラに悩む訪問介護職員も多いです。
具体的には、以下のようなセクハラを受ける人がいます。
- 体を触られる
- 胸やお尻をじっと見てくる
- 性的な冗談を言われる
- 自分の性体験の話をしてくる
- 突然抱きつかれる
「こうした行為は利用者さんだから許される」という事柄ではありません。
そして、あなたに限らず、他の訪問介護ヘルパーの従業員も同様の被害を受けている可能性があります。
もし、セクハラ被害を受けているなら、勇気を出して事務所に報告して適切な対処をしてもらいましょう。
理由5.家族から嫌味を言われる
利用者さんではなく、家族から嫌味を言われて心が折れてしまうケースもあります。
主に、家族がわがままを言ってくるパターンです。
無理難題を頼まれて拒否した場合に「なんでそんなこともできないの?」「それくらいしてくれてもいいじゃない」と嫌味を言われます。
しかし、嫌味を言われたくないからと、わがままを受け入れてはいけません。毅然とした態度で、堂々と断りましょう。
悪質なケースでは、サービスを停止するなど適切な対処が必要です。事業所へ報告を入れておくと、万が一のケースでも身を守れます。
▼関連記事はこちらから。
>>介護ヘルパーが大変だといわれる4つの理由|気になる仕事内容と悩み
2.正当な理由なら訪問介護の提供を拒否できる
じつは、正当な理由であれば、訪問介護の提供を拒否できます。
基本的には、サービスの提供の拒否は認められていませんが、以下の理由であれば拒否できると定められています。
1.当該事業所の現員からは利用申込に応じきれない場合
2.利用申込者の居住地が当該事業所の通常の事業の実施地域外である場合、その他利用申込者に対し自ら適切な介護サービスを提供することが困難な場合
つまり、人員不足により、利用者さんの受け入れができない場合や、訪問介護の地域範囲外、適切な介護サービスを提供できない場合は、正当な理由とみなされるので提供の拒否が可能です。
ただし、感染リスクを理由に提供拒否はできません。
過去に新型コロナウイルスの感染が拡大している地域に住んでいる家族や知り合いと接触した高齢者に対して、介護サービスの利用を控えさせる働きがありました。
しかし、厚生労働省はこれを認めないという通知を出しています。このことから、訪問介護ヘルパーは感染対策を万全に行ったうえで、提供を継続しなければなりませんので注意してください。
まとめると、行きたくない利用者さんがいても、正当な理由に該当しないのであれば、介護サービスを継続しなければいけないということです。
では、サービスを提供し続けていくためには、どのように対処すべきでしょうか。次項で詳しく方法を紹介します。
3.訪問介護で行きたくない利用者さんへの対処法
もし、訪問介護で行きたくない利用者さんがいれば、以下の3つの対処法を試してみましょう。
- 対処法1.話し方を工夫する
- 対処法2.事務所やご家族に相談する
- 対処法3.ほかの訪問介護ヘルパーと交代する
行きたくないと思っていても対処法を実践すれば、改善される可能性もあります。
すぐに実践できる方法ばかりなので、しっかりとチェックして実践しましょう。
対処法1.話し方を工夫する
まず1つ目の対処法として、話し方を工夫して対応する方法があります。
相手は介護サービスを受ける高齢者ですが、人生の先輩でもあります。
話しかけるときは、必ず敬語を使って相手を尊重した話し方で、プライドを傷つけないように心がけます。
また、失敗したことを指摘しないのも、プライドを傷つけない方法です。
たとえば、排泄物がズボンについているとします。
「漏れちゃってるから着替えましょうね」と言われると、恥ずかしく感じる利用者さんもいるので「あれ?お水こぼしたんですか?着替えましょうか」と言葉かけを工夫しましょう。すると、素直に応じてくれるかもしれません。
嫌がっているのを瞬時に察知して、起点を効かせるのも訪問介護ヘルパーの役割と言えるでしょう。
対処法2.事務所やご家族に相談する
話し方を工夫しても改善されないのであれば、事務所やご家族に相談しましょう。
訪問介護は利用者さんの自宅へ行ってサービス提供をするので、第3者の目がありません。そのため、問題があっても分かりにくいのが事実です。
1人で悩んでしまうのであれば、迷わず事務所やご家族に相談しましょう。
人に話すことで気持ちが楽になりますし、1人で考えていても思いつかなかったような対処法が見つかるかもしれません。
対処法3.ほかの訪問介護ヘルパーと交代する
最終手段になりますが、ほかの訪問介護ヘルパーと交代してもらいましょう。
場合によっては、勤務先の事業所が別の事業所へ再委託するケースもあります。
利用者さんとあなたの相性が合わなかっただけか、どの訪問介護ヘルパーが来ても、何らかのトラブルを起こす利用者さんだった可能性があります。
どうしても行くのが辛いのであれば、事業所に相談して早めに対処してもらいましょう。
4.利用者さん宅へ行きたくない!訪問介護ヘルパーあるあるを紹介
では次に、訪問介護ヘルパーあるあるを紹介します。訪問介護ヘルパーの経験がある人なら共感できるはずです。
以下の3つをチェックしましょう。
- 家政婦のように扱われる
- 人間関係に疲れてしまう
- 給料が低くて稼げない
まだ経験がない人は、今後自分に起こるかもしれないと想定しながら読んでみてください。
対処法まで覚えられて、今後の仕事に役立ちます。
あるある1.家政婦のように扱われる
まず、介護ヘルパーは、家政婦のように扱われがちです。
利用者さんのなかには、「時間内であれば何でもしてくれる」と思い込んでしまい、業務外の依頼をする人がいます。その依頼を断れば、文句を言われてしまいます。
しかし、訪問介護は介護保険法に基づいた支援しかできません。
もし家政婦のように何でも頼まれるようであれば、制度を説明して理解してもらいましょう。
なかには、本当に困っている人もいるので、そういった場合には介護保険外サービスの提案をしてあげてください。
▼介護保険外サービスに関しては、以下の記事が参考になります。
>>【介護保険外】訪問ヘルパーの自費サービスとは?料金や内容を徹底解説!
あるある2.人間関係に疲れてしまう
人と関わる仕事なので、人間関係に疲れてしまう人も少なくありません。
利用者さんだけでなく、介護職員同士でも嫌がらせや陰湿なイタズラをする人もいます。
相手をしないのが1番ですが、嫌がらせを受けている場合は、事業所に相談しましょう。
相談しても解決できそうになければ、転職も視野に入れてもよいかもしれません。
あるある3.給料が低くて稼げない
訪問介護には、働きたい時間に短時間で働ける「登録ヘルパー」という雇用形態があります。
登録ヘルパーの時給は介護職の平均より高めに設定されているにも関わらず、「給料が低くて稼げない」と感じている人もいます。
理由は、訪問介護の移動時間が時給に含まれないからです。
多くの件数を訪問できないのであれば、掛け持ちや上位資格を取って給料アップを目指しましょう。
ただし、掛け持ちを禁止している事業所もあるので、事前に確認してください。
▼登録ヘルパーの掛け持ちに関しては、以下の記事が参考になります。
>>登録ヘルパーは掛け持ちしても良い?掛け持ちをする3つのメリットとは
▼訪問介護あるあるはこちらから。
>>訪問ヘルパーの悩みあるある3選!解決策についても紹介
5.訪問介護は合わない!稼げない理由とは?
訪問介護がなかなか稼げないので、この仕事は合わないと感じている人もいるのではないでしょうか。
そこで、稼げない理由についても4つほど紹介します。
- 希望した時間に仕事がない
- 利用者さん都合のキャンセルがある
- 移動時間は時給に換算されない
- 支援内容で時給が異なる
稼げない理由が明確になると、給料アップが目指せるかもしれません。
1つずつ解説するので、参考にしてください。
理由1.希望した時間に仕事がない
まず1つ目の理由は、希望した時間帯に仕事がないことです。
訪問介護(登録ヘルパー)は、好きなときに好きなだけ働けそうなイメージがあるかもしれません。
たとえば、午前中の3時間を稼働時間として確保していても、依頼があったのが1時間だけであれば、1時間分の時給しか発生せず、残りは空き時間になってしまいます。
働きたい時間と利用者さんが希望する時間が一致するとは限らないので、稼げないと感じてしまうのでしょう。
理由2.利用者さん都合のキャンセルがある
利用者さんの体調不良や入院などの理由で、仕事がキャンセルになる可能性もあります。
介護職を選んでいる時点でキャンセルは想定内だと思いますが、空き時間が増えてしまうことから収入面に不安を抱く人も少なくありません。
訪問介護(登録ヘルパー)は、稼働時間を確保していても、働ける時間帯に都合よく埋まることは少ないのです。
つまり、希望した時間に仕事の依頼がなかったり、キャンセルによって突然空き時間が出てしまうことで、給料が安定しにくい状態ができてしまいます。
理由3.移動時間は時給に換算されない
訪問介護(登録ヘルパー)の移動時間は時給は発生せず、サービスを提供した時間だけが時給に換算されます。
そのため、移動回数が多いほど稼ぎにくいのです。
移動時間も時給が発生する事業所もありますが、結局、移動時間が長くなりすぎると、時間の無駄になってしまうでしょう。
したがって、なるべく移動距離を短くして、なおかつ移動費を出してくれる事業所を選ぶようにすれば、移動時間も無駄にならずに働けるでしょう。
▼移動時間に関する記事はこちらから。
>>登録ヘルパーの移動時間問題!労働と認められる条件を徹底解説
理由4.支援内容で時給が異なる
そして最後に、支援内容で時給が異なることも、稼げない理由です。
訪問介護の支援内容は、大きく分けて以下の2種類があります。
- 身体介護…身体に直接触れて援助する
- 生活援助…身の回りのお世話をする
身体介護は介護側の負担が大きいので、生活援助に比べて介護報酬が高く、それに応じて時給も高くなります。
時給は事業所によって異なりますが、身体介護と生活援助での時給の違いは以下のとおりです。
- 身体介護…2,000円
- 生活援助…1,600円
つまり、生活援助の支援を求めている利用者さんばかりを担当していると、身体介護を担当している人に比べて給料が低くなってしまいます。
▼給料アップ方法については、以下の記事をご参考ください。
>>訪問介護ヘルパーは年収が低い!?給料の相場や給料アップの方法を紹介
6.訪問介護に行きたくない利用者さんがいる人のよくある質問
訪問介護に行きたくない利用者さんがいる人が抱く、よくある質問を2つ回答します。
- 行きたくない利用者さんがいるのは訪問介護に向いていない?
- ミスをして嫌われた場合どうすればよい?
利用者さんのことで悩んでいるのであれば、この回答を読んで、いますぐ解決しましょう。
順番に解説するので、1つずつチェックしてみてください。
Q1.行きたくない利用者さんがいるのは訪問介護に向いていない?
A.向いていないことはありません。むしろ、人と人が関わる仕事なので、苦手な人が出てくるのは当然です。
しかし、あからさまに嫌な態度をするのではなく、介護のプロとして割り切って接するようにしましょう。
行きたくない利用者さんだとしても、笑顔と真摯な対応を忘れないでください。
▼関連記事はこちらから。
>>訪問介護に向いている人の特徴について解説!
Q2.ミスをして嫌われた場合どうすればよい?
A.ちょっとしたミスは、誰にでもあることなので気にしないようにしましょう。
ミスをいつまでも引きずったまま介護をすると、自信が持てなかったり、笑顔が曇ったりと、利用者さんが不安に感じてしまいます。
ですから、いまの自分にできることを取り組んで、失敗したことを忘れさせるくらい信頼してもらえるように努めてください。
まとめ:行きたくない利用者さんの信用を勝ち取ろう
行きたくない利用者さんがいる理由は、主に以下の5つがありました。
- 利用者さんがわがまま
- 介護拒否されてしまう
- やってはいけないことを頼まれる
- セクハラを受ける
- 家族から嫌味を言われる
このような悩みが出た場合は、話し方を工夫したり、事務所や家族に相談したり、他の人に変わってもらうなどの対策をしましょう。
行きたくない利用者さんがいたとしても、介護のプロとして真摯な対応を心がけてください。
行きたくないと思っていても、利用者さんの信頼さえ勝ち取れば、楽しく介護ができるはずです。