訪問介護による生活援助の時間制限や回数制限について徹底解説!
「訪問介護の生活援助の時間はどのくらいあるの?」
「利用回数や依頼できるサービスを知りたい」
このような疑問を感じていませんか。
訪問介護の生活援助を依頼したいと思っていても、どのくらいの時間を依頼できるのか分かりづらいですよね。
訪問介護には、利用時間と単位数によって自己負担額が決まります。さらに、生活援助は1ヶ月に利用できる回数も決まっているので、考えながら依頼しなければいけません。
そこで今回「みーつけあ」では、訪問介護の生活援助を依頼できる時間制限について、利用回数や依頼できるサービスを紹介します。
生活援助について理解を深めたうえで、利用者に適切な支援を考えましょう。
1.訪問介護の生活援助を依頼できる時間制限は?
訪問介護の生活援助を依頼できる時間制限について、以下の2つを紹介します。
- 生活援助のほかに2つの支援内容がある
- 訪問介護を依頼できる時間と単位
生活援助以外の残り2つのサービスをきちんと理解したうえで、訪問介護サービスを利用しましょう。
それぞれについて詳しく解説するので、参考にしてください。
(1)生活援助のほかに2つの支援内容がある
訪問介護が行えるサービスには、生活援助のほかに「身体介護」と「通院時乗降介助」の2つがあります。
それぞれのサービス内容は、以下のとおりです。
- 生活援助…利用者の日常生活に関わる身の回りのお世話をすること
- 身体介護…利用者の身体に直接触れて介助を行うこと
- 通院時乗降介助…通院等のための乗車または降車の介助を行うこと
つまり訪問介護とは、訪問介護ヘルパーが利用者の自宅へ行き、入浴や食事、排泄などの介助や調理、掃除、洗濯などの家事をお手伝いするということです。
では、訪問介護の時間制限はどのように決まるのでしょうか。次項で詳しくみていきましょう。
(2)訪問介護を依頼できる時間と単位
訪問介護を依頼できる時間は、サービス提供にどのくらい時間がかかるかで決まります。
そして、サービスにかかる時間によって、単位数が決まります。
以下の表をご覧ください。
サービス内容 | 利用時間 | 単位数 |
---|---|---|
生活援助 | 所要時間20分以上45分未満 所要時間45分以上 | 182単位 224単位 |
身体介護 | 所要時間20分未満 所要時間20分以上30分未満 所要時間30分以上1時間未満 所要時間1時間以上 | 166単位 249単位 395単位 577単位 |
通院等乗降介助 | 1回 | 98単位 |
引用:指定居宅サービスに要する費用の額の 算定に関する基準等
単位数によって、利用者の自己負担額が決まります。
1単位あたりの値段は、各地域によって異なるので、お住まいの地域で確認してください。
たとえば、1単位=10円であれば、40分の生活援助(182単位)を受けた場合の利用金額と自己負担額(1割)は以下のとおりです。
【自己負担額 計算例】
利用金額:182(単位)×10円=1,820円
自己負担額:1,820円×1割=182円
つまり、1回あたりの自己負担額が182円で、40分の生活援助が受けられるということです。
ただし、生活援助には回数制限があります。次章で詳しく解説するので、チェックしていきましょう。
2.訪問介護の生活援助には回数制限がある
まず初めに、生活援助の1ヶ月の回数制限は、以下のとおりです。
要介護度 | 回数(月) |
---|---|
要介護1 | 27回 |
要介護2 | 34回 |
要介護3 | 43回 |
要介護4 | 38回 |
要介護5 | 31回 |
このように要介護度によって、支援回数は異なります。
要介護度とは、利用者が介護サービスをどのくらい必要としているかを判断するものです。
要介護1がもっとも低く、要介護5がもっとも高いことを表します。
たとえば、排泄介助1つとっても、トイレまでの移動介助を行うだけの要介護1なのか、おむつ交換が必要な要介護5なのかで、提供するサービスが異なります。
つまり、要介護度によって、生活支援を必要とする回数が変わってくるので、回数制限を設けているということです。
もし、要介護度が知りたいのであれば、各市町村で要介護認定を受けられますので、申請してみてください。
▼訪問介護サービスを受けるまでの流れについては、以下の記事をご参考ください。
>>介護ヘルパーを依頼するまでの流れとは?各サービスの料金や種類についても紹介
3.訪問介護の生活援助には2時間ルールがある
訪問介護の生活援助には、「2時間ルール」といって、1回目と2回目の訪問までの間隔を、2時間以上空けなくてはいけない決まりがあります。
もし、2時間以内に訪問すると、単位数を1回にまとめられてしまいます。そうなれば、自己負担額に影響するので気をつけましょう。
たとえば、25分の身体介護(250)を2回依頼した場合、本来であれば25分ずつのサービスなので、単位数は500です。
しかし、2時間以内にサービス提供があった場合、時間が合算されて50分のサービス内容になり、30分以上1時間未満(単位数396)の利用時間と算定されてしまいます。
つまり、本来であれば1時間未満で396単位利用できるところを、50分で消費してしまうので、自己負担額が高くなってしまうということです。
しかし、2時間ルールには例外もあります。以下で詳しく解説するので、見ていきましょう。
4.訪問介護の2時間ルールで気をつけたい例外に注意!
2時間ルールには、以下の3つの例外があります。
- 看取り期の場合
- 他の職種が続けて訪問した場合
- 指定訪問介護事業所による20分未満の身体介護の場合
これらに当てはまれば、2時間以内の訪問でも1つずつの単位として算定されます。
順番に解説するので、チェックしていきましょう。
例外1.看取り期の場合
まず1つ目の例外は、看取り期の場合です。
看取り期になると、自分で体を動かすのが困難になるので、体位変換や水分補給など、頻回な介護を要します。
つまり、短時間に介護が必要になる可能性もあるので、柔軟に対応できるように、看取り期は2時間ルールが適用されません。
例外2.他の職種が続けて訪問した場合
次に、他の職種が続けて訪問した場合です。
訪問サービスには、介護以外にもリハビリを行う理学療法士や作業療法士、看護師などの訪問があります。
別の職種のサービスを短時間で2回以上利用しても、2時間ルールは適用されません。
たとえば、訪問介護サービスを受けたあとに、作業療法士のリハビリを行うといった場合です。
例外3.指定訪問介護事業所による20分未満の身体介護
最後に、指定事業訪問事業所が行う、身体介護は20分未満のサービスであれば、2時間ルールは適応されません。
指定訪問事業所とは、介護保険内サービスを提供することや、在宅または施設のサービスを実施する事業所のことです。
ただし、生活援助の時間が20分未満であっても、適用されませんので注意してください。
5.訪問介護の生活援助で依頼できる内容とは?
訪問介護の生活援助で、依頼できる内容について見ていきましょう。
生活援助とは、生活に必要な家事を自分で行えない利用者さんに対して、調理や洗濯などの日常生活の援助を行うサービスのことを指します。
対象の利用者は、以下のとおりです。
- 1人暮らし
- 同居家族がやむを得ない事情で家事が困難な場合
やむを得ない理由とは、同居している人が、同じように要介護認定を受けていたり、日中は仕事で不在の場合などです。
では、生活援助で依頼できる内容を具体的に紹介します。
- 掃除:居室内やトイレ、卓上等の清掃
- ゴミ出し:準備・後 片づけ
- 洗濯:洗濯〜収納、アイロンがけ
- ベッドメイク:シーツ交換、布団カバーの交換など
- 衣類の整理・被服の補修:衣替えやボタン付けなど
- 調理、配下膳:配膳、後片づけ、一般的な調理
- 買い物代行
- 薬の受け取り
このように、最低限生活に必要なサービスを提供する仕事が生活援助です。
では最後に、生活援助について知っておきたいよくある質問を紹介するので見ていきましょう。
▼さらに詳しいサービス内容は、以下の記事が参考になります。
>>介護ヘルパーの「訪問介護サービス」とは?【サービス内容や料金を解説】
訪問介護の生活援助の時間が知りたい人によくある質問
訪問介護の生活援助の時間が知りたい人が抱く、よくある質問は以下の5つです。
- 生活援助で依頼できない組み合わせはある?
- 訪問介護で生活援助だけの支援の依頼は可能?
- 要支援の生活援助時間にトイレ掃除は問題ない?
- 訪問介護で座薬を入れるのは生活援助になる?
- 訪問介護の身体介護1生活介護1の時間は何分?
順番に回答していくので、チェックしていきましょう。
Q1.生活援助で依頼できない組み合わせはある?
A.依頼できない組み合わせはあります。
生活援助は規約上、以下の3つを依頼できません。
- 生活に支障がない家事や掃除:大掃除、庭の草むしりなど
- 医療行為:インスリンの注射、重度の歯周病の口腔ケアなど
- 利用者以外に対する依頼:子どもの世話、同居家族の部屋の掃除など
これらの3つは、サービス提供時間内であっても行えませんので、注意しましょう。
▼訪問介護員ができないサービスに関しては、以下の記事をご参考ください。
>>訪問介護ヘルパーに頼めることって?できること・できないことを紹介
Q2.訪問介護で生活援助だけの支援の依頼は可能?
A.生活援助だけの支援は可能です。
しかし、利用者の状況により身体介護が必要だと感じた場合は、サービスの開始を提案する場合があります。
Q3.要支援の生活援助時間にトイレ掃除は問題ない?
A.生活援助の規定として細かい指針はありませんが、生活最低限の支援とは少し離れているので、依頼したいのであれば事業所に確認しましょう。
訪問介護ヘルパーは、サービス統一化のために、利用者宅への支援の手順書があります。
1つのサービスに対して何分かかるかを計算して作られているので、余分に掃除をする時間まで設けていません。
追加で依頼したいことがあれば、1度相談して手順書に加えてもらうようにしましょう。
Q4.訪問介護で座薬を入れるのは生活援助になる?
A.座薬の挿入は、身体介護です。
利用者の体に直接触れる介護サービスは、すべて身体介護になるので注意しましょう。
Q5.訪問介護の身体介護1生活介護1の時間は何分?
A.身体1と生活1のサービス時間は、40分以上75分未満です。
身体介護1(20分以上30分未満)+生活援助1(20分以上45分未満)と算定されるからです。
何分の支援になるのかは事業所によって異なりますが、余裕を持って60分程度の時間を設定している場合が多いのではないでしょうか。
まとめ:訪問介護の生活援助の時間はサービス内容で決まる!
訪問介護の生活援助の時間は、どのようなサービスを受けるかによって決まります。
サービス内容は、利用者本人とご家族、ケアマネジャーと相談して決めるので、納得のいくプランを作成してもらいましょう。
また、生活援助には、できることとできないことがあります。
庭の草むしりや窓拭きといった、日常生活で差し支えのないものや、医療行為になること、利用者の家族へ向けての支援はできません。
お互いに気持ちよく関わるためにも、きちんとルールを守りましょう。