訪問介護の個人目標の立て方・具体例を紹介!【新人〜ベテランまで】
「個人目標を立てると、どのようなメリットがあるの?」
「具体例があるなら参考にしたい」
いざ、訪問介護員として個人目標を立てようと思っても、具体例がなければ「明確には決められない」と、悩んでしまいますよね。
そこで今回「みーつけあ」では、訪問介護員の個人目標の立て方や、具体例を紹介します。
この記事では、これから訪問介護員として働く人に限らず、すでに数年働いている人向けの具体例についても取り上げてみました。
個人目標の立て方を理解して、今後のキャリアプランの明確化に役立てましょう。
1.訪問介護員は個人目標を立てるべき?
そもそも、「訪問介護員は個人目標を立てるべきなの?」と、目的を理解できていない人もいるでしょう。
個人目標設定の実施は、事業所によっても有無が異なります。
そのため、「事業所の決まりで仕方なく個人目標を立てた」という人もいるのではないでしょうか。
個人目標は、施設や事業所側が一人ひとりの能力や、仕事への向き合い方を判断・評価したり、業績次第では昇進・昇格を決める要素としても取り組まれています。
しかし、本来の目的としては、以下のようなメリットがあるのです。
- モチベーションを維持できる
- キャリアプランを明確化できる
- スキルアップにつながる
今まで「仕方なく決めていた」という人も、これらのメリットを今一度踏まえて、個人目標と向き合ってみてはいかがでしょうか。
それぞれのメリットについて、詳しくみていきましょう。
メリット1.モチベーションを維持できる
個人目標を立てることで、仕事へのモチベーションを維持することができます。
訪問介護員の仕事は、毎回決められた業務を淡々とこなす日々が続きやすいです。
そのため、仕事内容に飽きてしまったり、やる気を維持できなくなったりしてしまう人も多いでしょう。
しかし、明確な目標があれば、同じ作業でも「次はもっと上手くやれるはず」と、自身の目的を達成するための前向きな気持ちを維持できます。
「何となく仕事を続けている」というような人こそ、個人目標を見直してみるべきです。
メリット2.キャリアプランを明確化できる
個人目標を立てるうえで、最も効果的なメリットとしてキャリアプランが明確化できるという点が挙げられます。
ある程度は漠然としていても構わないので、訪問介護員として「〇年後には〇〇の業務を完璧にこなせるようになりたい」といった目標を立てることで、一歩ずつ確実に成長を感じることができるでしょう。
自身が克服するべき問題や、将来どのように仕事と向き合っていきたいのかを把握する手段としておすすめです。
メリット3.スキルアップにつながる
個人目標があれば、自分のやるべきことがはっきりするため、行動力の向上によってスキルアップが見込めます。
目標がないまま仕事を続けていても、向上心がなければスキルを伸ばすことはできません。
「なぜ、自分はいつまでも成長しないのだろう?」と悩んでいるのであれば、その原因を特定して、改善をしていくための目標を立てるとよいでしょう。
2.【訪問介護員】個人目標の立て方・ポイント
訪問介護員として、個人目標を主体的になって立てることができれば、仕事のモチベーションを維持しながら、着実と結果に繋げていけます。
では、個人目標を立てるうえで、どのような方法やポイントがあるのでしょうか。
ここからは、以下のような個人目標の立て方・ポイントを紹介します。
- 立て方1.課題を見つける
- 立て方2.行動を具体化する
- 立て方3.期限を決める
- 立て方4.最終目標を設定する
- ポイント1.達成できない目標は立てない
- ポイント2.常にイメージを湧かせる
それぞれの個人目標の立て方やポイントを把握して、目標が曖昧にならないようしましょう。
立て方1.課題を見つける
まずは、現在の自分の課題を見つけましょう。
些細なことでも構いません。仕事の中で「苦手だな」と感じること、「失敗が多い」と感じる項目を、紙に書いてリストアップしてみてください。
すると、自分が苦手とする傾向や行動がはっきり見えてくるはずです。
コミュニケーション関連であれば、「認知症の理解」に関してより学んでみたり、料理が苦手なのであれば、クックパッドやクラシルなどのレシピサイトを参考にしたり、さまざまな改善策があります。
立て方2.行動を具体化する
課題が把握できたら、行動内容をより具体的にしましょう。
「コミュニケーション能力を高める」や「料理を勉強する」といった漠然とした内容では、具体化したとは言えません。
行動内容 | 具体的な行動 |
コミュニケーション能力を高めたい | 1回の訪問で、5分前後は会話をしてみる。 |
料理が上手くなりたい | 帰宅後の夕飯で、レシピサイトどおりに作ってみる。 |
時間どおりに業務をこなしたい | 毎回時間を計って、前回よりも10秒ずつタイムを縮める。 |
このように、一つひとつの目標に対して行動を具体化することで、着実と目的を達成していくことができます。
立て方3.期限を決める
次に、具体化した行動には期限を設けましょう。
「〇〇までに〇〇ができるようになる」と決めてしまうことで、目標を先延ばしにしたり、「また今度」といった理由で目標が達成できなくなることを防げます。
たとえば、実務者研修を修了するといった目標を立てていたのであれば、「〇月までに修了する」と決めてください。
すると「そのためには〇回の講座スケジュールが必要」と、逆算しながらスケジュールを組むことができるため、予定どおりに行動を実行していけるでしょう。
立て方4.最終目標を設定する
自分の細かい目標とは別に、最終目標を設定することも重要です。
なぜなら、介護職における自分なりのゴールによって、取得するべき資格も異なってくるからです。
訪問介護員としてスキルを磨き、業務を続けたいだけなのであれば、介護職員初任者研修や実務者研修の資格があれば問題ありません。
しかし、最終的にケアマネジャーを目指したいと考えているのであれば、国家資格である「介護福祉士」の資格取得も視野に入れる必要があります。
目先の目標だけではなく最終目標も設定することで、さらに道筋がはっきりするでしょう。
▼介護資格に関しては、以下の記事が参考になります。
>>介護ヘルパーの資格の取り方について|費用や年齢制限は?
ポイント1.達成できない目標は立てない
個人目標を立てるうえで気をつけなければいけないのが、「達成できない目標は立てない」ということです。
たとえば、これから訪問介護員として初めて仕事を始める人が、「来年には介護福祉士として活躍したい」と目標を決めたところで、業務実績や資格が足りないため実現できません。
また、スキルに関してもいきなり完璧を目指してしまうのは、ハードルだけが上がって挫折に繋がってしまいます。
あくまで、「昨日の自分より一歩でも前進」という気持ちを大事にしましょう。
ポイント2.常にイメージを湧かせる
目標はあるけど、頭の中のイメージと現実のギャップに戸惑ってしまう人もいるでしょう。
そのような場合には、目標に近い人物像をイメージしましょう。
職場の先輩や上司でも構いません。「あんなふうになりたい」というイメージを常に湧かせて、その人の行動や言動にも注目してみてください。
実際に真似をしてみることで、理想と現実のギャップを埋めるキッカケに繋げることができます。
3.【訪問介護員】新人の個人目標・具体例
訪問介護員としての個人目標の立て方、ポイントについては大まかに理解できたでしょうか。
ここからは、経験実績に基づいた個人目標の具体例について紹介します。
個人目標は、実績や経験年数に応じてさまざまです。いきなりハードルの高すぎる目標を立ててしまっては、挫折やモチベーションの低下に繋がりかねません。
この記事では、個人目標の具体例を以下のように分類してみました。
- 新人の個人目標:1年目〜3年目
- 中堅の個人目標:4年目〜9年目
- ベテランの個人目標:10年以上
それぞれを自身の経験年数と比較しながら、参考にしてください。
まずは、新人1年目〜3年目について紹介します。
1年目・具体例
1年目の個人目標の設定は、介護知識や技術、状況判断の理解がメインとなります。
項目 | 目標例 |
---|---|
介護知識・技術面について | ・訪問介護における基礎技術を学ぶ。 ・介護現場の記録を取り、報告・連絡・相談を怠らない。 ・利用者一人ひとりと向き合い、体調や内面を把握する ・業務内容やルールを覚える。 |
コミュニケーションについて | ・適切な挨拶・言葉で事業所の人間や利用者と会話ができるか。 ・積極的にコミュニケーション・意思の疎通を図れるか。 ・相手の立場になって話を聞くことができるか。 |
具体的な行動・方法 | ・業務の度にマニュアルの確認と見直しを徹底する。 ・介護保険制度に関する知識について学ぶ時間を週に2回設ける。 ・基礎知識・技術を復習する時間を週1回設ける。 ・介護利用者とのコミュニケーションに関する書籍を月に1〜2冊読む。 |
取得したい資格 | ・介護職員初任者研修の資格を取得する。 ・福祉用具専門相談員の資格を取得する。 |
目標の職種 | ・新任の初級スタッフ(事業所から与えられた業務を全うできる) |
2年目・具体例
2年目からは、より適切な判断能力、事業所との連携能力を高めていくことがメインの個人目標となります。
項目 | 目標例 |
---|---|
介護知識・技術面について | ・利用者の体調・内面の変化によって、適切なが行動を考えられる。 ・利用者の安全を第一に考えられる。 ・先輩や上司の指示に対して冷静な対応ができる。 ・緊急時にも冷静に判断ができる。 ・他のスタッフの動きにも気を向けられて、連携や対応が取れる。 |
コミュニケーションについて | ・利用者の気持ちを理解して、要望に応じることができるか。 ・利用者の家族の気持ちを汲み取れているか。 ・自分の考えを伝えることができているか。 ・事業所の人間と連携の取れたコミュニケーションを心がけているか。 |
具体的な行動・方法 | ・認知症に関する講習会への参加。 ・外部研修への参加。 ・高齢者への理解を深めるための書籍を月に1〜2冊読む。 ・細かいミスを減らし、トライ&エラーを怠らない。 |
取得したい資格 | ・実務者研修の資格を取得する。 ・福祉用具専門相談員の資格を取得する。 ・社会福祉主事任用の資格を取得する。 |
目標の職種 | ・中級スタッフ(事業所の指示を全うしつつ、主体的に行動ができる) |
3年目・具体例
3年目からは、自らが業務内容を理解して、必要に応じて臨機応変な対応ができるようになることを目標とします。
項目 | 目標例 |
---|---|
介護知識・技術面について | ・業務内容はほぼ理解して、新人への指示もできる。 ・利用者の行動パターンを把握しており、より柔軟な対応ができる。 ・介護に対する強い責任感があり、トラブルへの迅速な対応と防止策に務められる。 |
コミュニケーションについて | ・利用者と自然なコミュニケーションを図り、他のスタッフと情報共有ができるか。 ・事業所の中心人物として行動できているか。 ・報告・連絡・相談が的確であるか。 ・事業所の人間の意見を汲み取り、雰囲気をまとめることができるか。 |
具体的な行動・方法 | ・向上心を常に忘れず、より介護知識や技術に磨きをかける。 ・苦手分野にも積極的に取り組み、弱点を克服する。 ・民間主催の研修に参加して、人脈を広げる。 ・運営・マネジメントに関する書籍を月に1〜2冊読む。 |
取得したい資格 | ・実務者研修の資格を取得する。 ・認知症介護実践研修(実践者研修)の資格を取得する。 ・社会福祉主事任用の資格を取得する。 |
目標の職種 | ・上級スタッフ ・副主任、現場リーダーなど |
4.【訪問介護員】中堅の個人目標・具体例
続いては、中堅の個人目標の具体例について紹介します。
訪問介護員に限った話ではなく、介護職員としての目標設定としてまとめてみました。
中堅ともなると、指導役以外に現場責任者や副主任といったキャリアを目標とすることも視野に入ります。
介護職員経験が4年以上ある人は、ぜひご参考ください。
4年目・具体例
4年目からは、施設や事業所のスタッフの課題も視野に入れて、自ら積極的に指導をする立場となることが目標設定となります。
項目 | 目標例 |
---|---|
介護知識・技術面について | ・介護現場におけるさまざまな潜在ニーズに気を向け、気付いたことは実行に移す。 ・会議の際には、自分の意見を積極的に伝える。 ・業務内容の見直しや改善策を検討して、発案する。 ・利用者の行動パターンを把握して、各スタッフにも情報共有ができる。 |
コミュニケーションについて | ・利用者の立場に立って円滑なコミュニケーションができるか。 ・新人スタッフにも的確なコミュニケーション方法をアドバイスできるか。 ・積極的に事業所の人間や利用者とコミュニケーションを取り、情報を共有できているか。 |
具体的な行動・方法 | ・自分の経験を、新人スタッフと共有して育成する。 ・チームケア・マネジメントに関する研修に参加する。 ・医療的ケア関連の研修に参加する。 |
取得したい資格 | ・介護福祉士の資格を取得する。 ・社会福祉主事の資格を取得する。 |
目標の職種 | ・現場監督(主任・リーダー) ・指導役 |
5〜7年目・具体例
5年目からは、介護業務に限らず、相談業務やサービス責任者としての役職にも積極的に挑戦する目標設定が視野に入ります。
項目 | 目標例 |
---|---|
介護知識・技術面について | ・施設や事業所全体の課題を見つけ、スタッフと共有する。 ・あらかじめ緊急事態を予測して行動できる。 ・介護サービス計画書の作成ができる。 ・スタッフ間の情報共有が行き届いている。 |
コミュニケーションについて | ・施設や事業所の指針や業務について、上司と相談しながら実行できているか。 ・会議では司会を務めて、意見や発言をまとめられるか。 ・上司からの指示や助言を真摯に受け止めて、主体的に対処ができているか。 |
具体的な行動・方法 | ・介護技術の講師を務める。 ・組織の中心人物としての能力強化に関する研修に参加する。 ・スタッフの苦手分野や人間関係にも気を配り、相談やアドバイスをする。 |
取得したい資格 | ・社会福祉士の資格を取得する。 ・認知症介護実践研修の資格を取得する。 |
目標の職種 | ・サービス責任者 ・生活相談員 など |
8〜9年目・具体例
8年目からは、自らが施設運営者となって現場業務の責任をもつ目標設定が視野に入ります。
項目 | 目標例 |
---|---|
介護知識・技術面について | ・業務目標を設定する。 ・事業所のスタッフの個人目標にも向き合い、アドバイスや支援をする。 ・施設や事業所の魅力をアピールできる。 ・自分の役割と課題を明確にして常に行動できる。 |
コミュニケーション | ・利用者や家族、介護スタッフの意見をすべて踏まえたうえで、的確なコミュニケーションが図れるか。 ・現場監督として適切な指示を出せているか。 |
具体的な行動・方法 | ・介護以外の知識も身につけ、さまざまな観点から利用者や家族の相談に乗る。 ・営業に関する研修に参加する。 ・介護以外のマネジメント分野の研修に参加する。 ・地域の関係者団体と交流を深める。 |
取得したい資格 | ・認定介護福祉士の資格を取得する。 ・介護支援専門員の資格を取得する。 ・防火管理者の資格を取得する。 |
目標の職種 | ・副施設長 ・福ホーム長 など |
5.【訪問介護員】ベテランの個人目標・具体例
10年以上の実績経験がある人は、ベテランとしての個人目標を立てましょう。
具体例は、以下のとおりです。
項目 | 目標例 |
---|---|
介護知識・技術面について | ・施設や事業所の経営状況を把握する。 ・事業計画・予算案などを運営管理する。 ・自己管理を徹底する。 ・従業員の能力水準の向上を検討する。 |
コミュニケーション | ・好き嫌いの評価ではなく、すべての意見に対して肯定的な思考で円滑なコミュニケーションが図れるか。 ・事業所の問題を従業員に責任転換させていないか。 ・総責任者として常に誠意のある姿勢であるか。 |
具体的な行動・方法 | ・冷静な判断と対応を心がける。 ・防災・災害関連の研修に参加する。 ・地域団体との交流をより深める。 |
取得したい資格 | ・認定介護福祉士の資格を取得する。 ・防火管理者の資格を取得する。 ・主任介護支援専門員の資格を取得する。 |
目標の職種 | ・施設長 ・ホーム長 など |
6.キャリアパス制度について
最後に、キャリアパス制度についても紹介します。
介護職は、重労働であるにも関わらず他の職種に比べて賃金の水準が低いため、「割りに合わない」といった理由で離職する人が多い職種です。
そこで、賃金水準が低い介護職の処遇を改善するために設けられたのが、「キャリアパス制度」になります。
つまり、キャリアアップに応じて実績に見合った給料をもらえるようになる制度ということです。
この処遇改善策のことを、「介護職員等特定処遇改善加算」といいます。
ただし、処遇改善加算を算定するためには、3つの要件があるのです。
介護職員等特定処遇改善加算のキャリアパス要件
出典:「介護職員処遇改善加算」のご案内|厚生労働省
※加算Ⅳと加算Ⅴは廃止されるため、この記事では割愛します。
介護職員等特定処遇改善加算の算定には、以下3つのキャリパス要件があります。
Ⅰ…職位・職責・職務内容に応じた任用要件と賃金体系の整備をすること
Ⅱ…資質向上のための計画を策定して、研修の実施または研修の機会を設けること
Ⅲ…経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を
判定する仕組みを設けること。
このように、介護能力や資格の有無、経験実績によって処遇加算を設けることにより、介護職員が働きやすい環境を作る取り組みが続いています。
キャリアアップは、自分の個人目標のためだけではなく、給料アップにも直接関わってくるでしょう。
目標例を参考にモチベーションを維持しよう!
訪問介護の仕事は、毎日が似たような業務の繰り返しです。
目標を立てずに仕事を続けていると、早々にマンネリ化してしまう恐れもあるでしょう。
しかし個人目標を立てれば、「自分がどのようにキャリアアップを目指していくべきか」を明確化することができます。
計画的に給料アップ・スキルアップを目指して、仕事へのモチベーションを維持しましょう。