訪問介護はしんどい?辞めたい理由あるある8選と解決策5選
「訪問介護の仕事を始めたけど、正直しんどい」
「他のヘルパーさんはどのように解決しているのだろう?」
いざ訪問介護員として働き始めたものの、仕事が大変でしんどいと感じている人は多いのではないでしょうか。
または、「これから訪問介護を始めたいけど、しんどいって本当?」と、踏み切れていない人もいるはずです。
そこで今回「みーつけあ」では、訪問介護員が仕事を辞めたくなる理由について、解決策を踏まえて紹介します。
訪問介護との向き合い方を悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。
1.訪問介護の仕事とは?
訪問介護員は、通称「ホームヘルパー」とも呼ばれています。
介護が必要な利用者の自宅を訪問して、介護サービスを提供する仕事です。
介護サービスは、大まかに「身体介護、生活援助、通院介助」の3種類に分けられます。
- 身体介護:排泄介助や入浴介助といった、利用者の体に直接触れて行う介護サービス。
- 生活援助:掃除や洗濯など、利用者に直接触れなくても行える日常生活のサポート。
- 通院介助:利用者が通院するための移動や、車への乗降介助、運転などを行う仕事。
生活援助や通院介助は、介護資格がなくても行えます。しかし、身体介護を行うには介護資格が必要です。
▼「資格の取り方を知りたい」という人は、以下の記事をご参考ください。
>>介護ヘルパーの資格の取り方について|費用や年齢制限は?
施設介護と訪問介護の違いは?
訪問介護は、利用者の自宅を訪問して介護サービスを提供します。基本的には、利用者と1対1で仕事をしなければいけません。
そのため同業者との人間関係に悩む機会は少ないですが、自宅環境や利用者によっては臨機応変な対応力が求められる場合もあるでしょう。
一方、施設介護は複数の介護員が手分けをして利用者の介護を行える環境です。自分が対処できないようなトラブルがあっても、上司や先輩に頼ることができます。
ただし、その分チームワークや協調性が不可欠です。1人で黙々と仕事をこなすのではなく、従業員との意思疎通能力も求められるでしょう。
同じ介護の仕事とはいえ、求められる能力には大きな違いがあります。介護職で働きたいのであれば、自分にあった環境を考えることも重要です。
2.訪問介護はしんどい?辞めたい理由あるある8選
では、実際に訪問介護員が「しんどい」と感じたり、仕事を辞めたくなったりする理由としては、どのようなシチュエーションが考えられるのでしょうか。
この記事では、よく耳にするケースとして8つほどピックアップしました。
- 価値観の違い
- 1対1の過酷さ
- 移動の負担
- 給料が不安定
- 体力が続かない
- スケジュール管理が大変
- 人間関係
- 施設介護とのギャップ
どれも訪問介護員が「しんどい」と感じてしまったり、辞めたいと悩んでしまったりする項目です。
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
しんどい理由1.価値観の違い
1つ目の理由は、利用者との意見の食い違いや、価値観の違いに悩まされるケースです。
訪問介護では、利用者の自宅環境やライフスタイルに合わせて介護サービスを提供しなければいけません。
そうとはいっても、衛生面や健康面で問題があるのであれば、相応の対処が必要な場合もあるでしょう。
利用者からすれば、「他人には関係ない」「そこまで面倒をみてもらうつもりはない」と、理解が得られないことも少なくありません。
訪問介護の現場では、このようなやりとりが続いて「精神的にしんどい」と感じてしまう人が多いようです。
しんどい理由2.1対1の過酷さ
2つ目の理由は、利用者と1対1での仕事をこなさなければいけない過酷さです。
訪問介護の現場では、万が一のトラブルや予期せぬ事故が起きてしまった場合、常に自分で判断して行動をしなければいけません。
事業所への報告・連絡・相談はもちろん、その場でできる限りの最善の選択を全て自分で考える必要があります。
1対1ということもあり、「仕事内容を同業者から指図されない気軽さ」はあるかもしれません。
しかし、相応に責任が伴うことも事実です。
プレッシャーに耐えられないという人にとっては「続けていけるか不安」と、しんどい気持ちを抱えてしまうかもしれません。
しんどい理由3.移動の負担
3つ目の理由は、利用者の自宅を訪問する際の移動の負担です。
口コミでは、以下のような意見が多く見られます。
台風、大雪でも自転車で移動(会社方針)。
場所によっては自転車で片道20分。
事故が怖くて1年で辞めました。
一件ずつ、移動するのがすごく大変。
時間、労力、精神力、バイクとガソリンを使い、片道約10~15分。
移動交通費は100円ほど。出ない所もある。
訪問介護員は、悪天候であっても利用者の自宅まで自力で向かわなければいけません。
地形によっては、坂道や山道による体力的な負担も大きくなるでしょう。
訪問時間が決められているため、時間どおりに行動しなければいけないという精神的な負担も相まって「しんどい」と感じる人が多いです。
しんどい理由4.給料が不安定
4つ目の理由は、給料の不安定さです。
こちらに関しても、多数の口コミを確認しています。
入院、入所、死去などで、仕事の内容、時間、量、場所などが不安定。
潤沢に仕事があると言われ登録したが、キャンセル等で思うように収入が得られない。
時給は高いが移動時間を考えると割安感が否めない。
正社員やパートであれば、定時での出退勤によって多少の安定はあるかもしれません。
しかし、好きな時間に働ける登録型の訪問介護「登録ヘルパー」の場合、仕事が思うように入らず、給料の不安定さに悩まされる人が多いです。
給料が安定しないことも、しんどいと感じてしまう要因となっているようです。
▼登録ヘルパーの働き方に関しては、以下の記事が参考になります。
>>通勤時間に縛られない登録ヘルパーの働き方|メリットやデメリットについて
しんどい理由5.体力が続かない
5つ目の理由は、体力に関する悩みです。
訪問介護は、移動による体力消耗だけではなく、身体介護による身体疲労も重なります。
身体介護では、利用者をお風呂に入れたり、ベッドから移動したり体を支えたりしなければいけません。
いざ仕事を始めたら、「想像以上に肉体労働だった」と感じてしまう人もいます。
しんどい理由6.スケジュール管理が大変
6つ目の理由は、スケジュール管理に関する悩みです。
移動の負担とも重なる要素ですが、訪問介護は決められた時間どおりに業務をこなす必要があります。
実際に、常勤の訪問介護員の1日の流れを見てみましょう。
9:00 | 出勤 |
9:30〜 | 1件目の訪問介護(身体介護) |
11:00〜 | 2件目の訪問介護(生活援助) |
12:00〜 | 昼食 |
13:00〜 | 3件目の訪問介護(生活援助) |
14:00〜 | 4件目の訪問介護(生活援助、身体介護) |
15:30〜 | 5件目の訪問介護(身体介護) |
17:00 | 退勤 |
このように、利用者の自宅に訪問するスケジュールが細かく決まっています。
そのため、時間どおりに訪問できるように移動時間も計算しなければいけません。
タイトなスケジュール管理が苦手な人にとっては、しんどいと感じることがあるでしょう。
しんどい理由7.人間関係
7つ目の理由は、人間関係です。
訪問介護に限った話ではありませんが、「『エン転職』ユーザーアンケート」によると、退職のきっかけとして以下の4つが上位を占めています。
- 1位:やりがい・達成感がない
- 2位:給料が低い
- 3位:将来性がない
- 4位:人間関係が悪い
訪問介護では、利用者と1対1でのやり取りが中心になるため、相性の良し悪しで仕事の負担は大きく変わります。
また、従業員同士が関わる機会が少ないとはいえ、事業所との情報共有は不可欠です。
仕事の情報共有が苦手な人にとっても、人間関係のトラブルは悩みの中心となっています。
しんどい理由8.施設介護とのギャップ
8つ目の理由は、施設介護とのギャップによるものです。
施設介護に10年以上務めていたAさんは、定時出勤や夜勤勤務が辛くなり、訪問介護に転職しました。
最初は自信に溢れていたAさんですが、施設のように整っていない現場環境や、臨機応変な対応が求められる状況にスキルを全く活かせなかったようです。
同じ介護の仕事でも、環境が変われば全く異なるスキルが求められます。
見落としがちな要因ですが、仕事内容ではなく環境によってしんどいと感じている人も多いのです。
▼よりさまざまな要因を知りたい人は、以下の記事も参考になります。
>>訪問ヘルパーの悩みあるある3選!解決策についても紹介
>>登録ヘルパーを辞めたい理由まとめ|辞める前に考えるべきこと
3.訪問介護がしんどいときの解決策5選
訪問介護がしんどいと感じる理由には、さまざまな要因があることを理解できたでしょうか。
ここからは、しんどいと感じたときの解決策について紹介します。
この記事で紹介する解決策は、以下の5つです。
- 改めて仕事と向き合う
- キャリアアップを目指す
- 事業所と相談する
- 転職する
- 掛け持ちをする
ただ辞めたいと、勢いだけで退職をしてしまっては、次の就職先でも必ず同じ失敗を繰り返します。
しんどいと感じたときこそ、改めて現状の打開策を考えることが重要です。
1つずつ、詳しく解説します。
解決策1.改めて仕事と向き合う
1つ目の解決策は、改めて仕事と向き合うということです。
仕事を続けていれば、誰もが必ず壁にぶつかったり、「辛いし向いていない」と悩んだりします。
しかし、そのようなときにこそ改めて「なぜ、自分は訪問介護を始めたのか?」を振り返ってみましょう。
- 自分にとっての訪問介護の魅力とは?
- 働いていてやりがいを感じる瞬間はいつ?
- 自分で改善できることは本当に1つもないのだろうか?
しんどいときは、どうしても目の前の感情にだけ気持ちが寄り添ってしまいがちです。
一度、冷静になれる時間を確保してから、「介護の仕事を続ける自分なりの理由」と向き合ってみてはいかがでしょうか。
解決策2.キャリアアップを目指す
2つ目の解決策は、キャリアアップを目指すことです。
仕事がしんどいと感じる理由として、同じ業務の繰り返しによるマンネリ化も挙げられます。
変わらない状況に気持ちが後ろ向きなときこそ、自分の可能性を広げてみることに意識を向けるとよいでしょう。
訪問介護の仕事は、入門資格ともいえる「介護職員初任者研修」の資格さえあれば務まります。
しかし、より上位の「介護職員実務者研修」を修了することで、医療的ケアを行ったり、サービス責任者を目指したりと、選択肢を増やすことが可能です。
さらに、国家資格である「介護福祉士」を取得すれば、さらに幅広い介護現場で活躍することもできるでしょう。
現状にやりがいや目的を失っているのであれば、キャリアアップを目指して個人目標を更新しましょう。
▼給料アップを検討している人は、以下の記事もご参考ください。
>>訪問介護ヘルパーは年収が低い!?給料の相場や給料アップの方法を紹介
解決策3.事業所と相談する
3つ目の解決策は、事業所と相談することです。
人間関係や利用者との相性による悩みは、1人で悩んでいてもなかなか解決できません。
現場で感じた悩みや問題は、1人で抱えずにサービス責任者や信頼できる先輩に話しましょう。
状況次第では、担当を変えてもらったり、シフトの調整をしてもらったりできるかもしれません。
解決策4.転職する
どうしても事業所の方針や環境が合わないと感じるのであれば、転職を検討しましょう。
ただし、転職をするのであれば必ずプランニングを立てることが重要です。
- なぜ今の仕事を辞めたいのか?(うまくいかなかった原因を追求する)
- どのような仕事(環境)を望んでいるのか?
- 希望する給与はいくらなのか?
- どのくらい働きたいのか?
- 住まい環境は今のままでよいのか?
勢いだけで退職をすると、転職先でも同じ失敗を繰り返してしまう可能性があります。
再び介護職に携わるのであれば、退職の原因となった方針や給料条件が、次の職場ではクリアできているかを、面接の段階で念入りに確認しましょう。
▼職場探しに関しては、以下の記事が参考になります。
>>訪問ヘルパーの職場探しで失敗しない選び方5選!他の介護サービスとも比較してみた
介護職5.掛け持ちをする
単に給料が不安定で悩んでいるのであれば、事業所の掛け持ちがおすすめです。
登録ヘルパーの場合、1つの事業所で仕事のキャンセルが続くと収入が激減してしまいます。
多数の事業所を掛け持ちして仕事の穴埋めをすれば、給料面の不満を解決させることができるでしょう。
ただし、掛け持ちをする際には必ず事業所に相談してください。
なぜなら、事業所によっては掛け持ちを禁止している場合があるからです。
面接の際にも、掛け持ちを前提に仕事を探しているということを伝えておけば、後々のトラブルを防ぎことができます。
▼掛け持ちに関しては、以下の記事もご参考ください。
>>登録ヘルパーは掛け持ちしても良い?掛け持ちをする3つのメリットとは
4.訪問介護が向いてる人の特徴とは?
本記事では、さまざまなしんどい理由や解決策を紹介しました。
しかし、なかには「結局、訪問介護員が向いてる人はどのような人なの?」と疑問に思った人もいるでしょう。
向き不向きに関しては、あくまで傾向の話にはなります。
上記を踏まえて、一般的には以下のような特徴に当てはまる人が、訪問介護員に向いていると言われています。
- 臨機応変に考えられる人
- 責任感が強い人
- 判断能力が高い人
- 一人ひとりと向き合える人
- 細かい変化に気づける人
- 健康で体力がある人
- 失敗を恐れない人
- 人が好きな人
担当の利用者によって異なる自宅環境でも、臨機応変に柔軟な対応ができて、一人ひとりの利用者の介護に責任を持てる人が、訪問介護に向いてる人です。
また、業務中に不慮の事故や失敗は必ず起こります。
そのような状況でも、冷静に「次は失敗を活かして上手くやろう」と前向きになれる人は、向上心を持って仕事に務めることができるでしょう。
訪問介護員に向いていない人の特徴
訪問介護員に向いていない人の特徴についても、以下の傾向を把握しておきましょう。
- イライラしやすい人
- 仕事が適当な人
- 責任感がない人
- 効率重視な人
- 他人と触れ合うことが嫌いな人
とくに、イライラしやすい人は認知症の利用者からの暴言にカッとなりがちです。
また、効率重視な人は仕事ペースを重視するあまり、思いやりが欠けてしまう場合があります。
仕事と割り切る気持ちも大事ですが、心から「高齢者の役に立ちたい」と思えなければ、長続きしない仕事といえるでしょう。
まとめ:自分の身は自分で守りながら仕事と向き合おう
訪問介護は、利用者の自宅で1対1となり、身の回りの世話をしなければいけません。
そのため、さまざまな環境でも臨機応変に対応したり、一人ひとりの利用者と真摯に向き合う忍耐強さが不可欠でしょう。
そうとはいっても、無理をして自分自身が心身ともに疲れ切ってしまっては、仕事を続けるのもしんどいはずです。
どうしても辛いのであれば、思い切って休みを取ってください。それでもしんどいのであれば、自ら環境を変えていくことも視野に入れて行動しましょう。
自分の身は自分で守りながら、訪問介護の仕事と向き合ってみてはいかがでしょうか。