訪問介護員(ホームヘルパー)2級と初任者研修の違いとは?
「ホームヘルパー2級と初任者研修って何が違うの?」
「介護の仕事をするうえで扱いは変わってしまうの?」
訪問介護員(ホームヘルパー)2級は、資格制度の改定によって廃止されました。現在では、「介護職員初任者研修」に移行しています。
しかし、ホームヘルパー2級の資格をすでに取得している人にとっては、介護職員初任者研修との違いについて知りたい人が多いのではないでしょうか。
そこで今回「みーつけあ」では、訪問介護員(ホームヘルパー)2級と、介護職員初任者研修の違いについて紹介します。
ホームヘルパー2級の扱いを正しく理解して、今後のキャリアアップに活かしましょう。
1.訪問介護員(ホームヘルパー)2級は初任者研修に移行
訪問介護員(ホームヘルパー)2級は、正式名称を「訪問介護員2級養成研修課程修了」といいます。
しかし、2013年4月1日の介護保険法施行規則の改正により、ホームヘルパー2級は「介護職員初任者研修」に移行しました。
そうとはいっても、ホームヘルパー2級の資格の効力がなくなったわけではありません。
すでにホームヘルパー2級の資格を所持しているのであれば、介護職員初任者研修の資格と同等に扱われます。
では、訪問介護員(ホームヘルパー)2級と介護職員初任者研修には、どのような変更点があるのでしょうか。
この記事では、以下の3点について紹介します。
- 「認知症の理解」が追加された
- スクーリング時間の変更
- 修了試験が追加された
それぞれについて見ていきましょう。
変更点1.「認知症の理解」が追加された
介護職員初任者研修では、新たに「認知症の理解」という科目が追加されました。
厚生労働省の資料では、2020年の段階で65歳以上の認知症患者は600万人と推計されています。
さらに、2025年には約700万人になると予測されており、この数値は高齢者の約5人に1人は認知症患者ということです。
こういった背景により、高齢化社会が加速する日本では、認知症に向けた取り組みを重要視するようになりました。
そのため、介護資格においても認知症の理解の需要が増したと言えるのでしょう。
変更点2.スクーリング時間の変更
訪問介護員(ホームヘルパー)2級には、30時間の施設実習がありました。
しかし、介護職員初任者研修では施設実習が廃止されて、代わりにスクーリング時間が90時間に増えています。
より分かりやすく理解するために、研修内容の違いを表で確認してみましょう。
ホームヘルパー2級 | 介護職員初任者研修 | |
講義時間 | 58時間 | 40時間 |
実技時間 | 42時間 | 90時間 |
施設実習 | 30時間 | 廃止 |
合計時間 | 130時間 | 130時間 |
講義に関しては、通学もしくは通信による自宅学習も可能です。実技のみ、通学して受講する必要があります。
変更点3.修了試験が追加された
介護職員初任者研修には、修了試験が追加されました。
そのため、全ての研修を受講した後、修了試験に合格しなければ資格が取得できません。
試験問題はほとんど選択式ですが、一部記述式が含まれている事が多いです。そして、1時間の修了試験で100点満点中70点以上であれば合格となります。
なお、合格率は非公開となっています。口コミでは、「難易度は低い、合格率は9割以上」といった内容が多いです。
なぜなら、仮に落ちたとしても追試が可能なため、途中で諦めない限りは実質ほぼ合格できるからです。
決して難易度は高くないですが、一発合格を目指すのであれば、講義を真面目に受ける必要があるでしょう。
2.訪問介護員(ホームヘルパー)2級が初任者研修に変わった理由
では、なぜ訪問介護員(ホームヘルパー)2級は介護職員初任者研修に変更されたのでしょうか。
結論から言うと、複雑だった介護人材のキャリアパスを、より分かりやすく明確化するためです。
以前までは、訪問介護員養成研修1・2・3級課程と、さまざまな資格がありました。
そのうち、3級は2013年で完全廃止、2級は介護職員初任者研修、1級は実務者研修といった形に簡略化されたのです。
つまり、入門資格となる介護職員初任者を取得した後、さらに上位資格となる実務者研修を取得、さらに実務経験を3年以上積むことで介護福祉士の取得を目指すという流れが、介護職におけるキャリアアップの道筋になります。
最上位資格は「認定介護福祉士」
2015年より、「一般社団法人 認定介護福祉士認証・認定機構」が認証・認定を開始した民間資格の「認定介護福祉士」という資格もあります。
介護の需要は日々高まっており、介護職の指導や教育、医療職等との連携強化など、幅広く活躍できる介護福祉士が求められるようになりました。
2021年6月の段階では、「認定介護福祉士登録名簿」の人数は58人です。介護業界の最前線で活躍したい人は、覚えておくとよいでしょう。
3.訪問介護員(ホームヘルパー)2級に関するQ&A
訪問介護員(ホームヘルパー)2級と介護職員初任者研修の違いについては、大まかに理解できたでしょうか。
ここからは、ホームヘルパー2級に関する疑問についてより詳しく紹介します。
- 介護福祉士の受験はできる?
- 履歴書に書くときはどうすればよいの?
- 初任者研修と比べて仕事の影響はある?
これらは、すでにホームヘルパー2級を取得している人が、悩みを抱えやすい内容ばかりです。
ホームヘルパー2級の資格の扱いをより深く理解して、今後のキャリアアップの参考にしてください。
Q1.介護福祉士の受験はできる?
A.介護福祉士を受験するには、実務者研修を取得して、実務経験を3年積む必要があります。
しかし、ホームヘルパー2級の資格を取得していれば、すでに受講した科目については実務者研修で学ぶ必要がありません。
以下資料をご確認ください。
出典:実務者研修|厚生労働省
実務者研修の受講時間は450時間ですが、ホームヘルパー2級なら320時間の受講時間で取得できるということです。
さらに実務経験を3年積めば、ホームヘルパー2級の資格を活かしつつ、「実務経験ルート」として介護福祉士を目指すことができます。
▼資格の取り方については、以下の記事が参考になります。
>>介護ヘルパーの資格の取り方について|費用や年齢制限は?
Q2.履歴書に書くときはどうすればよいの?
A.履歴書には、正式名称の「訪問介護員2級養成研修課程修了」と記入してください。
ホームヘルパー2級は、介護職員初任者研修と同等の資格ではありますが、同じ資格ではありません。
そのため、履歴書に記載する場合は、必ずホームヘルパー2級の正式名称を記入しましょう。
▼履歴書の書き方については、以下の記事が参考になります。
>>介護ヘルパーの履歴書で資格はどう書く?正式名称・送付方法・面接のコツを解説
Q3.初任者研修と比べて仕事の影響はある?
A.ホームヘルパー2級と介護職員初任者研修は、仕事での影響に変化はありません。
ホームヘルパー2級を取得していれば、介護職員初任者研修と同等資格として扱われます。
そのため、仕事上での影響にも変わりはないので安心してください。
強いていえば、「認知症の理解」という科目がなかったため、知識面でやや不安が残る人がいるかもしれません。
しかし、業務上で不便を感じることはほとんどありません。
どうしても学びたいというのであれば、より上位の実務者研修の取得を目指すことをおすすめします。
まとめ:ヘルパー2級は有効活用できる!
ホームヘルパー2級は初任者研修と同等の資格ではありますが、同じ資格ではありません。
仕事には差し支えないため、履歴書には正式名称で記載しましょう。
また、介護福祉士の資格を取得したいのであれば、実務者研修を修了して、実務経験を3年以上行う必要があります。
資格としての効力は現在有効ですので、活用していきましょう。