訪問介護で受けられる通院介助の範囲は?費用や交通手段も確認しよう!
「通院介助による介護保険の適応範囲はどこまで?」
「費用や通院手段のルールが知りたい」
このように、お悩みではないでしょうか。
介護保険内で受けられる通院介助の適用範囲には、明確なルールがあります。
ルールを知ることで、ケアプランの作成依頼をスムーズに進められるでしょう。
今回「みーつけあ」では、通院介助の基礎知識や介護保険の適応範囲を解説します。
通院介助は、生活援助や身体介護よりも依頼する頻度は少ないかもしれません。
しかし、通院介助を依頼する際に、どのような制度が利用できるかを把握するためにも、ぜひ参考にしてください。
1.訪問介護における通院介助とは?
訪問介護には、通院が必要な利用者さんを補助する「通院介助」があります。
そして、似ている言葉で「外出介助」というものもありますね。
以下の2つの視点で、通院介助の理解を深めていきましょう。
- 通院介助とは?
- 通院介助と外出介助はどう違う?
外出介助との違いまで押さえることで、より深く通院介助の知識が身に付きます。
通院介助の利用を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
通院介助とは?
通院介助とは、利用者さんが病院を定期もしくは臨時で受診する際に、訪問介護ヘルパーが移動に付き添う介助です。
通院介助は、介護保険制度の範囲内で行われます。
利用者さんの身体状況によっては、1人で通院するのが難しかったり、ご家族が協力できなかったりする場合もあるはずです。
在宅療養中の利用者さんなら、定期的に医師の診断を受けて、薬の調整が必要なときもあるでしょう。
命に関わる通院もあるため、訪問介護ヘルパーに通院介助を依頼できることには、大きな意味があるといえます。
通院介助と外出介助はどう違う?
通院介助と外出介助には、言葉の示す範囲の違いがあります。
基本的には、「外出介助の一部が通院介助」というイメージを持っておくとよいでしょう。
外出介助とは、利用者さんが生活を送るために、外出が必要なときに適応されるサービスです。
たとえば、以下のようなものが外出介助に当てはまります。
- 病院の受診
- 食事や日用必需品の調達
- 入所予定の施設見学
- 官公庁関連の手続き(郵送物は不可)
- 選挙など国民の義務や権利の行使
このように、外出介助の一環として通院介助が行われるということです。
一方で、外出介助に当てはまらない、以下のようなものがあります。
- 趣味や娯楽が理由の外出
- 日用必需品以外の買い物
- 冠婚葬祭
- 地域住民や友人との付き合いといったプライベート行為
上記のすべてに共通するのは、利用者さんが生活するうえで必須ではないことです。
生活の維持ができなかったり、生命を脅かしたりすること以外には、外出介助が適用されません。
外出介助を依頼する際に迷ったら、「利用者さんが生活を維持するうえで必須か」をイメージすると、区別しやすいでしょう。
▼関連記事はこちらから。
>>訪問介護ヘルパーに頼めることって?できること・できないことを紹介
2.訪問介護で通院介助を利用する条件
訪問介護の通院介助を利用するためには、利用者さんが条件を満たしているか確認が必要です。
介護保険内での適用を考えるなら重要な項目となっているので、確認してみましょう。
通院介助の利用条件は、以下の2つを満たす必要があります。
- 要介護1〜5いずれかの認定を受けている
- ケアマネジャーにより通院が必要と判断されている
要介護1~5の認定は、介護保険を適用するために必要な項目です。
また、ケアマネジャーが作成するケアプランで、「通院が必要」と判断されていなければいけません。
要支援1・2や自立している利用者さんは、通院介助の依頼ができません。
なぜなら、要支援や自立している人は、自分で病院まで行けると判断されるからです。
もし、要支援1・2や自立していても通院介助を利用したい人は、利用者さんの自己負担で介護サービスの利用を検討する必要があります。
3.訪問介護の通院介助が介護保険内で利用できるか確認!
利用条件を満たしていることが確認できたら、次は「介護保険がどこまで適用されるか」も確認しておきましょう。
通院介助の介護保険適用には、細かなルールが定められています。
介護保険で利用できる範囲であれば、本来の金額の1~3割負担となり、費用が抑えられることはご存知かもしれませんね。
しかし、介護保険外であれば、自費が必要になるケースもあります。
以下2つの例を確認して、通院介助が保険適用範囲内で受けられるかを考える参考にしてください。
- 介護保険内で行われる通院介助の例
- 全額自費で依頼が必要になる例
それぞれの例を詳しく解説します。
介護保険内で行われる通院介助の例
介護保険の適用範囲の例は、以下のとおりです。
- 通院に関する身支度
- 自宅から病院までの移動中
- 移動手段の乗り降りの介助
- 通院に関する手続き
原則として、移動手段は徒歩、タクシー、公共交通機関のいずれかになります。
移動にかかるお金は利用者さん負担です。手配や手続きも、利用者さんもしくは家族がしなければいけません。
全額自費で依頼が必要になる例
介護保険が適応されない通院介助についても解説します。
たとえば、以下の場合は介護保険が適応されないため、注意しましょう。
- 受診中の待ち時間や診察している時間
- 通院目的以外の付き添い
病院の待ち時間や診察中は、介護保険適応外となります。
付き添っている訪問介護ヘルパーは、身体介護をできないので注意が必要です。
ただし、ケアマネジャーが通院中(院内)でも介護が必要だと判断して、病院が対応不可能のときに限り、介護保険が適応されます。
介護保険と自費を併用すると、通院中の院内での行動も安心してサポートしてもらえるはずです。
4.訪問介護の通院介助にかかる費用
通院介助にかかる費用は、大まかな目安として198円程度です。
費用は介護保険内で利用する場合、介護報酬の単位から1~3割負担で計算されます。
厚生労働省の情報によると、通院介助に必要な単位は、病院に向かうまでの片道で、99単位です。
そのため、行きと帰りの2回分の費用が発生するため、99円×2回分の198円が通院介助にかかる費用となります。
ただし、病院での待ち時間や診察中は、介護保険の対象外です。
通院介助とは別に身体介護が必要になったときは、自費対応となるので注意しましょう。
たとえば、順番待ちの際にトイレに行きたくなったとします。
要介護4であり、トイレ行動は介助なしではできない場合、身体介護分は追加料金が必要になります。
介護保険の適用範囲が細かいため、利用前に必要そうな介助を考えてからケアマネジャーに確認してみると、トラブルを未然に防けるでしょう。
▼訪問介護の費用に関しては、以下の記事も参考になります。
>>介護ヘルパーのサービス利用にかかる費用は?施設介護と徹底比較
5.訪問介護の通院介助に利用できる交通手段
ここまで、通院介助を依頼する場合の費用に関して解説してきました。
「通院はしたいけど、何をどうすればよいかわからない」というケースがありますね。
なかでも、通院のために移動する方法は、依頼前に知っておかなければ想定外の費用が発生する場合もあります。
そのため、通院介助に利用できる交通手段も確認しておきましょう。
通院介助の移動手段としては、以下の3つの方法が利用できます。
- 介護タクシー
- 公共交通機関
- 徒歩
介護タクシーとは、介護資格を持った運転手が目的地まで送迎してくれるサービスです。
介護タクシーと公共交通機関の料金は、訪問介護ヘルパー分まで利用者さん負担となります。
訪問介護の通院介助で知っておきたいQ&A
最後に、訪問介護の通院介助でよくある疑問を、Q&A形式で確認しましょう。
通院介助は、サービスや介護保険の適応範囲がわかりにくいと感じる人も多いのではないでしょうか。
以下の疑問を取り上げて解説するので、より理解を深めて、通院介助を依頼できるようにしてください。
- 通院介助で2つの病院を同日に回ることはできる?
- 受診中の介護は誰が行いますか?
- 通院介助等には通院以外に何が含まれますか?
では、順番に解説します。
Q1.通院介助で2つの病院を同日に回ることはできる?
A.令和3年度介護報酬改定によって、可能になります。
これまでの通院介助は、自宅と病院の行き来のみ利用可能とされていました。
そのため、別の病院に行きたいなら、以下のような対応が必要でした。
- 別の日に再度通院介助を設定する
- 1つ目の受診終了後に帰宅して再度2つ目の病院を受診する
「令和3年度介護報酬改定」では、従来よりも柔軟対応ができるようになったため、通院介助のルートとして、1回で2つ以上の通院も可能です。
Q2.受診中の介護は誰が行いますか?
A.受診中は、病院の看護師が利用者さんを補助します。
なぜなら、病院では、介護ではなく医療保険の範囲で考えられるためです。
しかし、通院手続きや薬の受け取りなど利用者さんの代わりになる行為として、介護スタッフが行う可能性もあります。
Q3.通院介助等には通院以外に何が含まれますか?
A.お住いの市区町村によって、異なります。
外出介助の範囲としては、以下のようなものが定められている場合が多いです。
- 日常生活に必要な物品の購入
- 介護事業所の見学
- 官公署への届出
- 選挙の投票
詳しい内容は、市区町村の窓口やケアマネジャーに確認しましょう。
まとめ:便利な通院介助は正しく理解して依頼しよう!
今回「みーつけあ」では、通院介助の基礎知識や介護保険の適応範囲について解説しました。
要点をまとめると、以下のとおりです。
- 通院介助とは利用者さんが病院を受診するためのサービス
- 通院中は常に介護保険が適応されているわけではない
- 同日に複数の病院の受診が可能となった
利用者さんの健康維持には、日々の通院が欠かせない場合もあるでしょう。
通院介助を利用できれば、健康的でいきいきとした生活の維持につながります。
この記事を参考に、ぜひ通院介助に関する正しい知識を習得して依頼を検討してください。