訪問介護で買い物同行は依頼できる?代行との違いや介護保険利用の方法を解説
「訪問介護の買い物同行はどんなことができるの?」
「どこまで介護保険が適応されるの?」
このようにお考えですね?
買い物同行は、「利用者さん本人が日常必需品を購入するお手伝い」という目的であれば、介護保険が適用可能です。
今回「みーつけあ」では、買い物同行ではどのようなことが依頼できるのか解説します。
また、代行との違いや介護保険内で利用できないケースについても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
買い物代行をよく理解したうえで、サービス利用を検討しましょう。
1.訪問介護の買い物同行とは?
訪問介護の買い物同行とは、介護の自立支援に当たるサービスです。
1人では、買い物に行くことが難しい人に同行します。
サポート内容としては、「荷物を持つ、車椅子を押す」などです。
買い物同行は、身体的援助があれば利用者さんが買い物を自ら行える状況であることが前提となります。
無理に連れ出すのではなく、利用者さんの意思を尊重した方法での支援が鍵です。
買い物同行を依頼する場合は、利用者さんが行動できる範囲もしっかりと話し合って、理解しておきましょう。
ここまでが、買い物同行の概要でした。
訪問介護の買い物同行では、依頼できる範囲が限られている点に注意が必要です。
次の項目では、同行の範囲を解説します。
買い物同行で依頼できる範囲
介護保険を利用した買い物同行ができるのは、「日常生活で必要なもの」を買う場合に限られています。
依頼できる範囲は、日用品や食品など、なければ生活に支障が出る物品です。
お酒や煙草などは嗜好品であり、健康を害する可能性があります。そのため、買い物同行での購入はできません。
また、高級品や契約が必要なもの、サイズの大きな物品も対象外とされる場合が多いです。
ただし、日常生活に必要なものには個人差があり、事業所や市町村の判断は異なる場合があります。
買い物同行サービスの際に購入したいものが、範囲に当てはまるか分からない場合は、介護事業所またはケアマネージャーに確認しましょう。
2.訪問介護の買い物同行と代行は単位が変わる
訪問介護の買い物同行と代行では、支援する内容が関連しています。
しかし、介護保険サービスの単位は、異なるものです。
簡単にまとめると、以下のような違いがあります。
- 買い物同行は身体介護
- 買い物代行は生活援助
単位が変わると、自己負担額も変わります。
依頼時にケアマネージャーから相談がある内容ですが、あらかじめ知っておくことで、依頼もスムーズに進められるでしょう。
それぞれの違いを、詳しく確認してみてください。
買い物同行は身体介護
買い物同行は、身体介護とみなされます。
身体介護は、利用者さんの身体に触れる場面を想定した介助サービスです。
買い物の際には利用者さん本人の意思を尊重しつつ、身体的負担をサポートします。
必要に応じて、身体を支えるような介助が行われるでしょう。
日用品の買い物のほかにも、外出介助として認められるものの中に、「通院や介護施設の見学、官公署への届出など」も含まれます。
身体介護の利用時間別単位数は、次のとおりです。
時間 | 単位 | 料金(1単位10円で1割負担の場合) |
20分未満 | 167 | 167円 |
20分以上30分未満 | 250 | 250円 |
30分以上1時間未満 | 396 | 396円 |
1時間以上1時間30分未満 | 579 | 579円 |
以降30分増すごとに | +84 | +84円 |
参考:介護報酬の算定構造
単位数に地域ごとの単価を掛けた金額が、介護サービス料金として算定されます。
基本的には、1単位10円程度であるため、上記の表を参考に1回あたりの買い物同行にかかる費用を考えてみましょう。
続いて、買い物代行の単位を解説します。
買い物代行は生活援助
買い物代行は、生活援助の単位で計算されます。
生活援助は、利用者さんの体に直接触れることなく、生活をサポートするサービスです。
買い物代行は、外出が困難な利用者さんに変わり、生活に必要な物品を購入するため、身体介護ではなく生活援助として計算されます。
生活援助の利用時間別単位数は、次のとおりです。
時間 | 単位 | 料金 (1単位10円で1割負担の場合) |
20分以上45分未満 | 183 | 183円 |
45分以上 | 225 | 225円 |
参考:介護報酬の算定構造
買い物同行とは単位が異なるため、同じ時間だけ利用する場合でも、介護サービス料金に違いがあります。
依頼内容は似ていますが、介護サービスの分類としては、異なるものであるという点を覚えておきましょう。
【補足】訪問介護の通院介助について
訪問介護では、通院介助まで支援に含まれます。居宅で行われる準備から、通院まで一連の支援としてサービスに含まれているためです。
具体的には、以下のような支援を行います。
- 通院するための準備
- 声かけや説明
- 移動や乗降の支援
- 気分の確認
- 受診等の手続き
ただし、居宅からスタートする一連の支援が対象のため、バス停や病院で待ち合わせした場合はサービスに含まれません。
また、身体的負担が軽減されるといった特別な場合は、発着地として複数の目的地で一連のサービスを提供できます。
そのため、自宅から出発して病院へ受診して、帰りに日用品の買い物に同行して帰宅するケースがあることを覚えておきましょう。
▼単位に関する記事はこちらから。
>>訪問ヘルパーの単位どう扱う?身体介護と生活援助の組み合わせなど徹底解説
3.訪問介護の買い物同行が介護保険内で利用できないケース
訪問介護の買い物同行に、介護保険が適用されるには条件があります。
場合によっては、介護保険を利用できないケースもあるので注意が必要です。
買い物同行が保険適応外になってしまうケースとしては、買う物の内容と、買いに行く場所が関係しています。
買い物同行サービスが利用できるのは、「生活必需品であること」が条件になります。
来客や同居ご家族のための買い物は、範囲外ですので注意しましょう。
また、訪問介護サービスは、日常生活の行動範囲内で行うことが基本です。
隣町のデパートまで買いに行くような、遠方への買い物の付き添いは介護保険サービスの適用外となります。
▼介護保険外サービスに関しては、以下の記事をご参考ください。
>>【介護保険外】訪問ヘルパーの自費サービスとは?料金や内容を徹底解説!
4.訪問介護の買い物同行と代行はどちらを依頼すべき?
ここまでの内容を確認すると、「自分の状況では、買い物同行と代行のどちらが向いているのだろう?」と思われるかもしれません。
買い物同行と代行どちらを依頼するかは、利用者さんの体の状況や目的に応じて、ケアマネージャーと相談して決めるとよいでしょう。
買い物同行と代行では、目的が異なります。
買い物代行は、外出が難しい利用者さんに変わり、生活必需品を購入することが目的です。
それに対して、買い物同行は、物品の購入だけではなく自立支援の意味が含まれています。
利用者さん本人が外出して、自ら買い物を行うことで、生活の張り合いや心身の活性化が期待できるでしょう。
介助の必要があっても、自分でできることは積極的に行っていくことで予防介護につながります。
利用者さんの希望を加味しながら、どちらが向いているか確認してみてくださいね。
▼買い物代行に関しては、以下の記事が参考になります。
>>訪問介護ヘルパーによる買い物代行サービスのできること・できないこと
>>訪問ヘルパーが買い物代行で買えないものとは?代行サービスとの違いについて紹介
訪問介護の買い物同行で知っておきたいQ&A
訪問介護の買い物同行では、記事内で紹介したこと以外にも気になる疑問があるはずです。
最後に、買い物同行で多くの人が気になるポイントをまとめて、Q&A形式で回答します。
具体的な状況を想定して、よくある疑問を3つ紹介するので、気になるところから確認してください。
- 同居ご家族がいても買い物同行は依頼できる?
- 訪問介護の買い物同行で車の運転を頼める?
- 買い物同行でタクシーを利用した場合はどうなるの?
それでは、1つずつ詳しく解説します。
Q1.同居家族がいても買い物同行は依頼できる?
A.利用者さん本人に必要な物の購入であれば、同居しているご家族がいても買い物同行は依頼できます。
しかし、同居ご家族がいる場合、「誰のための買い物か」の線引きが難しい場合もあるでしょう。
たとえば、食材を購入する場合、利用者さん本人とご家族が食べる食材の分別が困難なことがあります。
もし、ご家族も一緒に食べる物であれば、買い物同行サービスは受けられません。
また、買ってきた食材をご家族が調理することも適さないと考えられます。
買い物の内容によっては、適用外になる可能性があると覚えておきましょう。
▼訪問介護に依頼できる内容については、以下の記事が参考になります。
>>訪問介護ヘルパーに頼めることって?できること・できないことを紹介
Q2.訪問介護の買い物同行で車の運転を頼める?
A.一般的な状況では、訪問介護の買い物同行で車の運転を頼むことはできません。
介護サービスの一環として、車の運転を依頼する場合、福祉用の資格や届出が必要となるからです。
訪問介護で車を運転するためには、2種免許もしくは、福祉有償運送運転者講習を修了しなければなりません。
また、運輸局から道路輸送法上の許可を受けた車両のみが利用できるという条件もあります。
買い物同行は、身体介助の一環ですが、身体介助は「常時介護ができる状態で付き添う」ことを条件としています。
運転中は身体介助の範囲外になることから、車の運転は頼めないと考えてよいでしょう。
Q3.買い物同行でタクシーを利用した場合はどうなるの?
A.買い物同行で利用する交通機関の費用は、利用者さんが負担します。
多くの場合は、介護者の費用も利用者さん負担です。
しかし、支払いに関する条件は、介護保険制度で決まっていることではありません。
介護事業所との間で行き違いが生じないように、事前に確認しておくことが大切です。
また、介護タクシーの費用も、保険適用外です。
介護タクシーは特殊な機材を装備しているため一般的なタクシーよりも費用が高くなります。
機材を使用した乗り降りが不要な場合には、普通のタクシーを使ったほうがよいでしょう。
自立度によって、「タクシーで移動中の時間が介護サービスに算定されるか」が異なります。
まとめ:自立支援の一環として買い物同行サービスを利用しよう
今回「みーつけあ」では、買い物同行サービスに適用される範囲や買い物代行との違いや介護保険内での利用方法を解説しました。
買い物同行は、主に自立支援の一環で、日常生活の必需品を利用者さん自身が購入することを目的とします。
必要な物品が購入できるだけでなく、自ら出かけて買い物をすることで、予防介護にもつながるでしょう。
ただし、介護保険適用外にならないように、買い物の内容や行く場所には注意してください。
この記事が、買い物同行サービスへの理解を深めるきっかけになれば幸いです。