訪問介護ステーションとは?仕事内容から開設方法まで解説
介護の世界で働くと耳にする「訪問介護ステーション」は、訪問介護事業所と同じ意味を持ちます。
また、他の呼び名としてヘルパーステーションと呼ばれることもあります。では、主にどのような業務をしているのでしょうか。
今回「みーつけあ」では、訪問介護ステーションとはどのような事業所なのかを、実際の仕事内容にも触れながら紹介します。
自らの就職希望先に合った事業所か判断するために、ぜひ参考にしてください。
1.訪問介護ステーションとは
訪問介護ステーションは、訪問介護事業を行う事業所のことです。
他にも「ヘルパーステーション」と呼ばれることもあります。
一般的な訪問介護事業所と、実態や業務内容まで同じですので、呼び名が異なる部分だけ覚えておくとよいでしょう。
では、訪問介護ステーションとはどのような仕事内容があるのでしょうか。代表的な業務を、以下の4つに分けて紹介します。
- 介護業務
- ジム業務
- 多職種との連携
- 家族対応
それぞれの仕事内容について、確認しましょう。
仕事内容1.介護業務
介護業務は、利用者さんが健やかに過ごせるように、日常生活に必要な「できないこと」をサポートします。
主な内容を、以下の表にまとめたので確認しましょう。
身体介護 | 移動・入浴・排泄をサポート |
---|---|
食事介護 | ・食事の摂取をサポート ・普通食・一口大・刻み食・ペースト等での調理 |
入浴介助 | 入浴に必要な衣類の着脱や洗身、見守り |
生活援助 | 掃除・洗濯・調理・ゴミ出し・買い物など |
通院等の乗降介助 | 通院に関わる送迎・手続き・移動・車の乗り降りの介助 |
こうした訪問介護ステーションで提供できる介護業務は、それぞれ1回あたりの訪問時間が決められています。
そのため、どの仕事にどのくらい時間をかけるか、計画的な時間配分が必要です。
焦って事故のないように、慣れるまでは先輩に教えてもらいながら進めましょう。
仕事内容2.事務業務
訪問介護ステーションでは、事務業務も大切な業務です。
直接介護に近い事務や、事務職が多くおこなう請求業務等があります。
介護記録や引継ぎ用の記録は、介護現場に近い記録です。介護をした様子や、利用者さんの様子を記録します。
また、サービス提供責任者を兼務している場合は、担当によって月ごとの様子をまとめたり、訪問介護計画を作成したりします。
他にも、事務職がおこなう事務業務として挙げられるのが、日々の実績記録や月ごとの請求業務です。
さらに、備品や予算の管理、職員の給与計算等も代表例となります。
請求業務は、間違えると報酬の支払いが遅れることがあるため、神経を使う仕事です。
訪問介護ステーションによっては、こうした業務を現場で働く介護職員がおこなうことがあります。
仕事内容3.多職種との連携
介護サービスは、主に以下の職種とチームを組むようにサービスを提供するスタイルが一般的です。
- 介護職員
- ケアマネジャー
- ケースワーカー
- 生活相談員
- サービス提供責任者
- 主治医
一人の利用者さんを支えるだけでも、関係機関は数多くあります。
また、体の状態や食事環境に応じて、理学療法士や言語聴覚士が加わることもあります。
こうした職種と連携して、1つのサービスを提供するイメージです。
些細な変化でも連携を取り、コミュニケーションを心がけましょう。
仕事内容4.家族対応
訪問介護の仕事は、ご家族との信頼関係が大切です。
場合によっては、キーパーソンも高齢である可能性があるため、説明は嚙み砕いて丁寧におこなう必要もあります。
ご家族の連絡が共有されていないと、クレームに繋がってしまう事もあるでしょう。
こうした家族対応もサービスの1つですから、クレーム対策だけではなく、よいサービス提供のために信頼関係を築くことが大切です。
2.訪問介護ステーションを開設するには
介護保険事業を行う為には、法人格をもたなければなりません。
一般的な開設の流れは、以下のとおりです。
- 法人格を取得する
- 事務所を設立する
- 人員を確保する
- 備品を揃える
- 指定申請書類の提出
- 審査後に運営開始
法人格の種類は、「株式会社・合同会社・NPO法人・一般社団法人等」です。
法人格の種類によって理事の数や社員の数が違うため、事前に調べておく必要があります。
そして法人格を持ったら、事務所の場所選び・人員確保・行政窓口への申請をおこないます。
また、自己資金の額によっては、備品を揃えるために融資の相談も必要です。
登記や物件取得費用、人件費など細かい部分で資金を必要とするため、しっかりと下調べして動き出しましょう。
3.訪問介護ステーションで取得したい資格とは
ここからは、訪問介護ステーションで働くうえで必要な資格や、ステップアップのために有効な資格を、以下にわけて紹介します。
- 介護職員初任者研修
- 介護福祉士
- サービス提供責任者
訪問介護員は専門性が高い業種のため、基本的に無資格ではおこなえません。
そして、資格は取得難易度が低いものから高いものまで幅広いことも特徴です。
まずは、自身が目指すべき資格や職種についても、理解を深めておきましょう。。
資格1.介護職員初任者研修
介護職員として働く場合、最初に取得したい資格が介護職員初任者研修です。
初任者研修では、介護に関する専門的な知識や基礎技術を学べます。
定められた130時間の講習を修了し、筆記試験に合格することで取得できます。
筆記試験は、講習をしっかりと聞いていれば問題なく合格できる難易度です。
不合格でも再試験を受けられるため、途中で諦めない限りは取得できるでしょう。
ただし、資格を取得するために通う講習は、種類が多く金額もさまざまです。
たとえば、「働きながら取得を目指す人向け」や「最短で取得したい人向け」といったように、受講日程も幅広く設定されています。
ライフスタイルに合わせて、自分の予定に合った日程の講習を探しましょう。
訪問介護員として働く場合は、最初に取得を目指してみてください。
資格2.介護福祉士
介護福祉士は、国家資格であり介護業界の上位資格です。
基本的に、筆記試験と実技試験での試験となりますが、実技試験は免除される場合があります。
詳しくは、以下4つのルートをご参考ください。
介護福祉士は、国家資格であるがゆえに取得難易度も高めです。
しかし、取得後は専門職として活躍が期待できますので、積極的に取得を目指しましょう。
資格3.サービス提供責任者
訪問介護ステーションは、サービス提供責任者(サ責)を配置しなければなりません。
サービス提供責任者になるためには、以下に該当する資格のいずれかが必要です。
- 介護福祉士
- 実務者研修修了者
- 旧課程のホームヘルパー1級課程修了者
訪問介護ステーションを開設する場合、サービス提供責任者の存在は必須です。
そのため、経営者が兼任するか、該当する人材を探す必要があります。
【補足】訪問介護ステーションの管理者とは
管理者自体に資格要件はありませんが、常勤専従であることが条件となります。
また、管理者はサービス提供責任者と兼務できるのも特徴です。
人員に余裕がない訪問介護ステーションも多いため、サービス提供責任者と管理者の兼務事業所は多くあります。
4.ニーズが高まり訪問介護は成長事業である
訪問介護は定期的にニーズが高まり、成長事業であると考えられます。
市場としては、事業所の数が安定しており、利用者さんは増加し続けて「ニーズが伸び続けている」ためです。
まず、訪問介護事業所数は約35,000件の推移を保っています。
西暦 | 訪問介護事業所数 |
2017年 | 35,311 |
2018年 | 35,311 |
2019年 | 34,825 |
2020年 | 34,825 |
2021年 | 35,075 |
参考:平成30年介護サービス施設・事業所調査の概況
令和元年介護サービス施設・事業所調査の概況
令和2年介護サービス施設・事業所調査の概況
そして、2,000年4月から2016年4月末までの状態で、要介護(要支援)の認定者が218万人から622万人まで増加しています。
出典:介護分野の最近の動向
こうした背景を考えると、増え続ける利用者さんに対して、事業所数は伸び悩んでいることがわかります。
2022年1月現在、感染症拡大で苦戦を強いられているサービス業ですが、訪問介護の必要性は高まりつづけていて成長事業といえます。
そのため、訪問介護がなくなる可能性は低く、今後も多くの介護職員を必要とする可能性は高いといえるでしょう。
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まとめ:働きながら資格を取ってステップアップ
訪問介護ステーションは、訪問介護事業所の別称です。大きな違いはありませんので、働く場合は名称が違うだけと覚えておきましょう。
今後、訪問介護ステーションは高齢化が加速する日本社会において、需要が高まり続ける業種です。
働きながらキャリアアップを目指せば、長期的な活躍が期待できるでしょう。
もちろん、判断ミスで利用者さんに怪我をさせてしまったり、家族からクレームを受けたりと、大変なこともあります。
しかし、利用者から直接感謝の言葉を受け取ることができ、必要としてもらえる「やりがい」が、訪問介護の魅力です。
資格を取得して、さらなるステップアップを目指しながら働いてみてください。