訪問介護はなくなる?原因や取り組みをわかりやすく解説!
「訪問介護がなくなる」と耳にして、不安になりお調べですね。
2021年4月に無資格の介護職へ、認知症基礎研修を義務化する動きを受けて、介護業界は目まぐるしい発展と見直しが続いています(令和3年度介護報酬改定に関する審議報告)。
結論からいうと、「訪問介護がなくなる」という公的な情報は開示されていませんでした。しかし、なくなる要因となりそうな課題はいくつかあるようです。
そこで今回「みーつけあ」では、訪問介護がなくなるかもしれないというテーマで、原因や今後の介護業界の展望について紹介します。
ぜひ本記事を参考にして、今後の働き方を考える一助としてください。
1.訪問介護はなくなる?現状から知ろう
「訪問介護はなくなる」という話を耳にした人に知ってもらいたいのは、すぐに事業所がすべてなくなる結果とならないことです。
高齢化社会が進むことで、それに応じて需要も高まるため、訪問介護はまだまだ重要な役割を持つ業種と考えられます。
たとえば、内閣府がおこなった「平成30年版高齢社会白書」の調査において、「家族に依存せずに生活ができる介護サービスがあれば自宅で介護を受けたい」と答えた人の割合は、37.4%でした。
こうした人々の願いをかなえてくれる仕事の1つが、訪問介護です。
そして、2020年(令和2年)では「65歳以上の高齢者が占める割合が28.8%」と非常に高い水準で高齢化が進んでいます。
参考:令和3年版高齢社会白書(全体版)
高齢者の割合は今後も上昇すると考えられており、介護を必要とする人が増えることから、訪問介護の需要も高まっていくと考えられます。
2.訪問介護の業界で知っておきたい背景
訪問介護は、なくなることが危惧されている一方で、事業所が抱える問題も顕在化しています。
訪問介護が抱える背景として、事前に知っておきたいのが以下の2つです。
- 人手不足
- 訪問介護員の高齢化
慢性的に引き起こされている人手不足に加えて、現場で働く訪問介護員の年齢も高まっています。
それぞれわかりやすく説明するので、ぜひ参考にしてください。
その1.人手不足
「令和2年度『介護労働実態調査』結果の概要について」によると、介護事業所での事業所全体における職員の不足感は60.8%であり、訪問介護員の不足感は80.1%に上ります。
2020年度(令和2年)において、訪問介護員の数が足りていないことは明らかです。
背景には、高齢化し続ける現代の日本で、需要が供給を大きく上回っていることが考えられます。
人手が足りずに、このまま訪問介護サービスを安定的に提供できない場合、「サービスを受けたいのに受けられなくなる」といった可能性が高くなります。
その2.訪問介護員の高齢化
次に、訪問介護員の高齢化が顕著になっていることも、安定したサービスの提供に不安が残るポイントです。
「令和2年度『介護労働実態調査』結果の概要について」によると、訪問介護員が65歳以上である割合は25.6%となっています。
訪問介護員の4人に1人が「65歳以上」と考えると、定年の引き伸ばしがあったとしても、いつまで仕事ができるのか分かりません。
訪問介護員の高齢化は、先ほど触れた人手不足に拍車をかけることも予想できます。
3.訪問介護がなくなる大きな原因は人手不足?
訪問介護業界の状態と、高齢化が進む現代日本の状態を考えると、「訪問介護がなくなる」のは、仕事そのものがなくなるといった話ではなさそうです。
訪問介護の従事者が足りなくなり、「訪問介護を受けられなくなる」という可能性はあるでしょう。
では、本当に大きな原因は人手不足なのか、以下に分けて解説します。
- 要介護者が増えている
- 訪問介護員が増えていない
- なぜ訪問介護員は増えていないのか
それぞれ確認しましょう。
要因1.要介護者が増えている
1つ目の要因として、要介護者が増えている背景が挙げられます。
要介護者が増えると、必要とされる訪問介護員も増えるわけですから、訪問介護員が増えなければ人手不足に陥ってしまうはずです。
2019年度(平成31年)の厚生労働省の資料「介護分野の現状等について」によると、平成12年から平成28年にかけて、要介護者と要支援者は400万人以上増加しています。
さらに、65歳以上の高齢者数は2042年にはピークを迎え3,935万人に達する予想がなされています。
このような状況を踏まえて、訪問介護員の数についてみていきましょう。
要因2.訪問介護員が増えていない
要介護者が増えているという現状に対して、訪問介護員の数は増えていません。
現在でも、深刻な人手不足に陥っていると考えられます。
2019年度(平成31年)の厚生労働省の資料、「介護分野の現状等について」によると、平成12年から平成28年にかけて、訪問介護員は33万人ほどしか増加していません。
同期間で、要介護者と要支援者は400万人以上増加していますので、訪問介護員が追いついていないことがわかります。
こうした背景があり、事業所の訪問介護員の不足感が80.1%となっているのでしょう。
要因3.なぜ訪問介護員は増えていないのか
ではなぜ、訪問介護員は増えないのでしょうか。その理由の1つとして、賃金の低さが挙げられます。
2019年(平成31年)3月の段階では、訪問介護員の69.7%が非正規雇用であることがわかっています。
参考:介護分野の現状等について|平成31年3月18日|厚生労働省
そして、非正規効用の平均月収は「175,338円」と介護職のなかで、もっとも低い給与水準です。
参考:令和2年度介護労働実態調査|介護労働者の就業実態と就業意識調査|結果報告書
辛い・しんどいなどの意見が飛び交う訪問介護の業界では、低い給与水準が「人手不足に拍車をかけている」と考えられます。
▼訪問介護の人手不足については、以下の記事も参考になります。
>>介護ヘルパー不足の現状は?【人手不足の理由や対策を徹底解説】
4.訪問介護の業界でおこなわれる取り組み
では、このような現状に対して、訪問介護業界ではどのような取り組みがおこなわれているのでしょうか。
具体的な取り組みを、以下に分けて解説します。
- 役割を明確にする
- 給与の改善
- 多様な人材の確保
訪問介護員の役割は徐々に明確化されており、問題となっている給与の改善は年々進んでいます。
それぞれ見ていきましょう。
その1.役割を明確にする
1つ目は、役割を明確にするという取り組みです。厚生労働省によると、以下の記述があります。
介護職の専門性が不明確なため、仕事内容やキャリアについての明確なイメージがしにくい
専門性を高めることでイメージを明確にし、介護の職に就き、長く続けてもらえるようにする。また専門性を高めることにより、質を向上させる
介護職全体で業務内容は多岐にわたり、1人でさまざまな業務をおこなったりする必要があります。
このような状況では、仕事内容やキャリアの明確なイメージが付きにくく、新しい人材の確保や定着が見込めません。
業務内容を明確化して、介護の職に就きやすく、そして長く続けてもらうための取り組みがなされています。
その2.給与の改善
2つ目の取り組みは、介護職員の給与の改善です。介護職全体で、賃金水準はほかの産業と比べると低くなっています。
参考:福祉・介護人材確保対策について
一般的に、賃金の低い職より高い職のほうが人気になるのは仕方がないことです。
そこで、賃金水準を上げるためにさまざまな取り組みがなされています。
これまでの取り組みによって、「月額平均5.7万円もの賃金水準の改善」がおこなわれました。
今後もさらに改善されていき、介護職はますます魅力的な職業になっていくでしょう。
その3.多様な人材の確保
3つ目の取り組みとしては、多様な人員の確保です。
具体的には、以下の取り組みがなされています。
- 未来の介護職を担う中高生等に出前講座で介護職の魅力を伝える
- 一度離職した人材への復職支援
- 外国人人材の受け入れ
現在と未来のどちらに向けても、介護職の人材不足に対する人員確保は続いていくでしょう。
訪問介護に限らず、介護業界の見直しが続けられた結果、なくなる未来は回避できるのかもしれません。
訪問介護が「なくなる」に関するQ&A
最後に、訪問介護が「なくなる」というテーマに関するQ&Aを紹介します。
- 訪問介護事業所が潰れるって本当?
- 訪問介護は実費で依頼できる?
- 訪問介護の求人はこれから減っていく?
訪問介護の事業所が潰れてしまう不安や、サービスが足りずに実費で依頼する場合は、よくある疑問です。
それぞれ参考にして、今後のキャリア形成に役立ててください。
Q1.訪問介護事業所が潰れるって本当?
A. 東京商工リサーチによると、訪問介護事業所の倒産件数は「52件」と増加傾向にあります。
2016年から40〜50件ほどが倒産している推移が、以下の表で確認できます。
出典:2020年「老人福祉・介護事業」の倒産状況 : 東京商工リサーチ
訪問介護事業所は、潰れてしまうという話を耳にした人もいるのではないでしょうか。
しかし、高齢者は今後も増えていく傾向があり、訪問介護の需要が高まることを考慮するとなくなってしまう可能性は低いでしょう。
Q2.訪問介護は実費で依頼できる?
A. 訪問介護は、実費でサービスを受けられます。
ケアプランに盛り込めないけど、依頼したい事柄に関してサービスを提供する事業所があるためです。
介護保険適用外ですので、利用料金は高くなってしまいますが、柔軟なサービスを受けられます。
また、保険サービスと保険外サービスの併用も可能です。
▼自費サービスに関しては、以下の記事が参考になります。
>>【介護保険外】訪問ヘルパーの自費サービスとは?料金や内容を徹底解説!
Q3.訪問介護の求人はこれから減っていく?
A. 訪問介護の求人は、訪問介護の人手不足と利用者の増加を考慮すると、むしろ増加すると予想できます。
2019年度の訪問介護の有効求人倍率は15.03倍となっていて、どこの事業所も訪問介護員として働いてくれる人を探しています(一般職業紹介状況(職業安定業務統計)|厚生労働省)。
それに加えて、今後も利用者が増えることから訪問介護の求人は増加していくでしょう。
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ぜひ、以下のページをご覧ください。
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まとめ:訪問介護は需要の高まりがある
高齢化により、利用者が増えて、需要が高まることを考慮すると訪問介護の仕事がなくなることはまずありません。
また、人材確保に向けて給与の改善といったさまざまな取り組みがなされていることから、訪問介護職の担い手も増えていくでしょう。
しかし、今後の需要に追いつくほどの勢いが得られるかは、取り組み次第とも考えられます。
訪問介護の業務形態は変容するかもしれませんので、随時チェックしておきましょう。