訪問介護とは?仕事内容や給料・資格などの基本を徹底解説!
介護業界で働こうとしても、どのような仕事かわからずに立ち止まってしまう人は多くいます。
そもそも訪問介護とは、利用者さんのお宅に訪問して支援サービスを提供する仕事です。
そして、訪問介護で働くには介護資格が必要となります。
今回「みーつけあ」では、訪問介護の概要や給料、資格取得方法を紹介します。
仕事内容やトラブル事例にも触れていますので、参考にしてください。
資格取得方法や業務内容を知って、訪問介護で働く前から準備しましょう。
1.訪問介護とは
訪問介護とは、訪問介護員が利用者さんのお宅を訪問して、身体介護・生活援助などを提供する支援サービスです。
介護保険が適用されるサービスで、利用者さん本人のみを支援の対象とします。
そして、利用者さん本人が健やかな生活を送るうえで必要な介護・介助に携わり、「生活の質」や「人生の質」(QOL)の向上をサポートします。
訪問介護の利用者さんは、介護が必要になっても施設入所ではなく、在宅生活を続けたいと考える場合がほとんどです。
できるだけ長く自宅で過ごしたいという希望を叶えられる、やりがいのある介護サービスが訪問介護です。
2.訪問介護の主なサービス・仕事内容
訪問介護は大きく分けると、以下3つのサービスに分類されます。
- 身体介護
- 生活援助
- その他のサービス
利用者さんが望むサービスであっても、介護保険に定められた条件で認められない場合もあります。
訪問介護で働く前に、どのような業務内容があるのか知りたい人は、ぜひ参考にしてください。
内容1.身体介護
身体介護とは、訪問介護員が利用者の自宅を訪問して、食事・排泄・入浴の介護をおこなうサービスです。
利用者さんの身体の状況は、認定された介護度によって異なります。
そこで、資格を持った訪問介護員が、利用者さんの身体状況に合わせた介護をおこないます。
厚生労働省の示す身体介護の種類と、代表的な内容です。
また、身体状況に変化があった場合は、利用者さんの身体状況に合わせた介護をおこないます。
内容2.生活援助
生活援助は、訪問介護員が利用者の自宅に訪問し、掃除・洗濯・買い物・調理などの生活の支援をおこなうサービスです。
利用者さんが生活するうえで、必要となる支援のみをおこないます。
生活援助は、噛み砕いて説明すると「家事労働」です。
できることに限界はありますが、ケアマネジャーが作成したケアプランにもとづいてサービスを提供します。
それぞれの支援で、1回あたりの訪問時間に限りがあるので注意しましょう。
内容3.その他のサービス
訪問介護は、身体介護・生活援助が広く知られています。
その他のサービスとして、通院を目的とした乗車・移送・降車の支援サービスを提供する事業所もあります。
たとえば、通院等乗降介助と呼ばれる利用者さんを送迎するサービスがあります。
車の乗り降り・乗車降車前後の移動の支援・病院受診する際の手続きをおこなう業務です。
また、通院等乗降介助を提供するためには、訪問介護事業所が介護タクシーの許可を得ている必要があります。
【補足】訪問介護員ができないこと
訪問介護は、要介護認定を受けてケアプランが作成された利用者さんに向けたサービスです。
基本として、ケアプランに定められていない支援は対応できません。
また、利用者さん本人だけを対象としており、家族や親戚などへのサービスはおこなえません。
さらに、日常生活の範囲を超えると判断される、庭掃除や大掃除なども提供できない決まりです。
その他、訪問介護員が対応できないことについては、「訪問介護のヘルパーがやってはいけないこと・できないことについて解説!」を参考にしてください。
3.訪問介護の事業所で働いてもらえる給料
「訪問介護は給料が安い」と耳にした人もいるのではないでしょうか。
訪問介護員の年収は、常勤の場合で「3,681,120円」、非常勤の場合は「2,089,800円」です(令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果 厚生労働省老健局老人保健課,83表)。
時給に計算し直すと、手当を含めた月給から実労働時間を割ると「1,902〜2,063円」となります。
また、実際に掲載されている求人から、みーつけあで独自にリサーチした時給は「1,000〜2,000円」ほどでした。
また勤務形態は、正社員が約3割なのに対して、非正規社員が約7割をしめています(平成29年度 「介護労働実態調査」の結果)。
詳しくは、「みーつけあ」で公開している以下の記事を参考にしてください。
▼関連記事はこちらから。
>>訪問介護ヘルパーは年収が低い!?給料の相場や給料アップの方法を紹介
>>介護ヘルパーの資格による給料の違いや資格手当について徹底比較
4.訪問介護で働くなら持っておきたい資格
訪問介護は、個人で利用者さんのお宅を訪問して生活を支援する仕事です。
なかでも、身体介護は専門知識と技術を求められるため、有資格者でなければ対応できません。
そこで、訪問介護で働くなら持っておきたい資格を、以下に分けて紹介します。
- 介護職員初任者研修
- 介護福祉士実務者研修
- 介護福祉士
それぞれ、わかりやすく説明するので参考にしてください。
資格1.介護職員初任者研修
訪問介護員として働く場合に取得したい資格が、介護職員初任者研修です。
介護職員初任者研修は、介護の入門的な資格で旧ホームヘルパー2級と同等です。
介護に関する基本的な知識と技術を、21時間の研修を受講して学びます。
研修実施機関は、専門学校等の養成校が多くをしめますが、ハローワークでも受講できます。
また、ハローワークでは受講料が安く、給付金がもらえるというメリットがありますので、積極的に取得を目指したい資格です。
「介護ヘルパーの資格「介護職員初任者研修」をハローワークで取得するには?」で、詳しくハローワークでの受講方法を紹介しているので、ぜひご覧ください。
▼ヘルパー2級の履歴書の書き方は、以下の記事をご参考ください。
>>介護ヘルパー2級は資格として書ける?復職・転職に対応した履歴書の書き方
資格2.介護福祉士実務者研修
介護福祉士実務者研修とは、より質の高い支援を提供するために、実践で使える知識と技術の習得を目的とした資格です。
また、3年以上の実務経験を積んだ介護職員が、介護福祉士を受験する資格を得るために受ける研修でもあります。
カリキュラムの受講時間は、座学が450時間です。
また、医療的ケアの演習をおこなう必要があります。
研修の実施場所は、全国各地にある厚生労働省の指定養成校です。
介護職員初任者研修の資格を取得している場合は、受講時間の免除があります。
資格3.介護福祉士
介護福祉士は、介護職員初任者研修より上位に位置する国家資格です。
取得方法には、以下4つに分けられたルートがあります。
- 養成施設ルート
- 実務経験ルート
- 福祉系高校ルート
- 経済連携協定(EPA)ルート
また、平成29年の「社会福祉士及び介護福祉士法」の一部改正により、実務経験3年と実務者研修の受講が受験に必須の条件となりました。
介護福祉士は、訪問介護事業所のサービス提供責任者として働くためにも、必要となる資格です。
今後のキャリアアップを検討している場合は、取得を目指していくとよいでしょう。
「みーつけあ」では、資格の取り方について詳しくまとめた記事がありますので、ぜひご覧ください。
▼資格の取り方に関する記事はこちらから。
>>介護ヘルパーと介護福祉士の違いとは?介護士の仕事内容や資格について
5.訪問介護に向いているのはどのような人?
訪問介護の仕事をしようと思っても、自分が仕事に向いているか不安になることがありますよね。
訪問介護は、限られた時間で介護サービスをおこないます。
また、流れ作業ではなく、コミュニケーションを潤滑にとることも重要です。
そのため、時間にきっちりしている人や、コミュニケーションがうまくとれる人は向いています。
利用者さんと良好な関係で、長く訪問介護サービスを続けるための、重要なポイントをお伝えします。
- 時間を守れる人
- 時間配分のうまい人
- 秘密を守れる人
- 人と関わることが好きな人
- 引き継ぎができる人
「開始時間を守る・無理なく時間内で介護業務を行う・守秘義務を守る・コミュニケーションを取り心もケアする・引継ぎでチームケアをおこなうこと」は大切です。
これらを無理なくおこなえる人は、訪問介護に向いているといえます。
▼向き・不向きに関しては、以下の記事をご参考ください。
>>訪問介護に向いてる人・向いていない人の特徴13選!
6.訪問介護の求人を探すポイント
訪問介護の求人は、インターネットや求人誌で、多く目の当たりにします。
情報数は多いほうがよいのですが、いざ探すとなると何をポイントとして探したらよいか迷うことがありますよね。
せっかく訪問介護の仕事をしようと思ったのに、求人数に圧倒されて気持ちが滅入ってしまう。
そうならないために、分かりやすいポイントを以下に分けて紹介します。
- 給料面
- 給料以外の待遇面
- 資格取得支援
求人を探す人によって、個人的な優先事項はあると思います。給料面・給料以外の待遇面・資格取得支援にポイントを定めて、確認していきましょう。
ポイント1.給料面
訪問介護員の年収は、常勤の場合で「3,681,120円」、非常勤の場合は「2,089,800円」となります(令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果 厚生労働省老健局老人保健課,83表)。
また、時給に計算し直すと「1,902〜2,063円」です。
ただし平均の数値であり、身体介護は直接介護をする心身的な負担も多いため、水準は高くなっています。
生活援助は、直接介護ではなく、家事という業務内容です。
時給相場と、実際見た求人情報を照らし合わせて待遇がよいか比べてみましょう。
「みーつけあ“>みーつけあ」では、給料面について詳しく紹介している記事がありますので、ぜひご覧ください。
>>登録ヘルパーの給料相場はいくら?他業種とも比較してみました
>>訪問ヘルパーは稼げるのか?相場や給料を上げる方法について
ポイント2.給料以外の待遇面
訪問介護員がもらえる補助金は、以下の4つです。
- 介護職員処遇改善加算
- コロナウイルス関連の補助金
- 事業者向けの補助金
- 家族介護慰労金
新型コロナウイルス感染症対策給付金や、処遇改善加算により、手当として時給に上乗せでお金をもらえることもあります。
「本来もらえるはずのお金がもらえなかった」とならないように、それぞれの補助金は確認しましょう。
ちなみに、補助金は申請が必要です。詳しくは、以下の記事を参考にしてください。
▼合わせて知りたい記事はこちらから。
>>介護ヘルパーがもらえる補助金4選【処遇改善加算やコロナウイルス慰労金】
ポイント3.資格取得支援
最後にチェックしておきたいのが、資格を取得する支援です。
資格取得支援があると、以下のメリットが得られます。
- キャリアアップしやすい
- 継続性がある
キャリアアップのために、資格の取得は欠かせない目標です。
事業所によっては、業務として研修に出してくれたり、研修費用の補助を出してくれたりするところもあります。
事業所にとっても、処遇改善加算申請時のキャリアアップのアピールや、介護福祉士が増えることでの配置加算の後ろ盾になる理由でのメリットがあるからです。
そして、資格取得支援があると、「キャリアアップを狙って働きたい」というモチベーションにもつながります。
離職率の高い介護業界では、事業所に継続して働いてもらうことが大切です。
雇う側も働く側も、長く仕事をし続けることに重点をおいた事業所は、求人を探すうえで押さえておきたいポイントとなります。
7.訪問介護の面接対策
人生のなかで、面接は緊張する場面の1つです。
落ち着いて面接を受けるためにも、以下の事前準備は欠かせません。
- 履歴書の書き方
- 面接の質問
面接場所の確認はもちろん、時間を守ることも大切です。地域によっては、似た名前の事業所が複数あり、間違えてしまいそうになることもあります。
本来の実力を発揮できるように、それぞれ対策しましょう。
対策1.履歴書の書き方
履歴書は、事前に事業所へ送付して選考してもらう、いわば「第一印象を決める要素」です。
丁寧に書くだけではなく、正確な情報の記載も心がけましょう。
とくに、資格の正式名称は間違えて記入しやすい要注意箇所です。
たとえば、現在は介護職員初任者研修と同等である、「ホームヘルパー2級」は、正式名称ではありません。
履歴書に書くときは、「訪問介護養成研修2旧課程」と正式名称を書きましょう。
その他、ケアマネジャーの正式名称は「介護支援専門員」です。
それぞれ丁寧に記述して、自分が持っている技術をアピールしてください。
▼さらに詳しく知りたい人は、以下の記事をご参考ください。
>>介護ヘルパーの履歴書で資格はどう書く?正式名称・送付方法・面接のコツを解説
対策2.面接の質問
面接では、急な質問に答えられるのか、緊張しやすい人は心配になってしまいますよね。
たしかに、質問内容を事前に予測するのは不可能です。しかし、面接の質問には、傾向もあります。
たとえば、志望動機・介護に対する知識・経験・通勤時間は、テンプレート的に質問されます。
給料・待遇以外にも、自身にとって前向きなポイントを確認しておきましょう。
「みーつけあ」では、面接についての詳しい記事がありますので確認してください。
>>登録ヘルパーの面接で使える豆知識!服装や履歴書の書き方について
8.訪問介護トラブル事例と対応
訪問介護は、利用者のお宅に訪問して、介護サービスを提供する業務です。
基本的に、自分自身でその場の対応をおこなわなければなりません。
介護資格を持っているとはいえ、急なトラブルへの不安はつきものです。
そこで、トラブル事例として、以下3つの場面について紹介します。
- 緊急対応
- 家族対応
- 遅刻
実際に困る前に、トラブル事例を確認してイメージを持っておきましょう。
事例1.緊急対応
訪問介護で想定される緊急対応は、大きく分けて「介護の事故」と利用者の「状態の急変」です。
業務中に事故や急変が起きたら、動揺してしまうのは仕方がありません。
しかし、事故を大きくさせない・急変時に早急に医療に繋ぐことは、訪問介護員の大切な仕事といえます。
- 利用者の情報・状況の把握
- 緊急連絡先のチェック
- 主治医の確認
こうしたチェックは、日々から怠らないようにしましょう。また、事業所にも「緊急時対応マニュアル」が用意されていますので確認してください。
▼緊急時の対応については、以下の記事も参考になります。
>>訪問ヘルパーの方必読!緊急時の対応方法について紹介
事例2.家族対応
訪問介護は、施設介護と違い利用者のお宅に訪問してサービスを提供します。
なかでも、生活援助は家事中心の業務です。
各お宅の自宅ルールがあるなか、洗濯・掃除・調理等の家事をするのですから、やり方等のクレームをご家族から受けることもあるはずです。
介護保険では、利用者のみしかサービスをおこなえないのですが、環境によって対応範囲の線引きが難しいこともあります。
また、訪問介護員は1人で業務にあたるため、直接ご家族からクレームを受ける可能性も高いでしょう。
▼クレームに関する記事はこちらから。
>>訪問介護のクレーマー対処法!正しく対処してトラブルを回避しよう
事例3.遅刻
訪問介護員として働いている場合、止むを得ない理由で遅刻する可能性もあります。
とくに、公共交通機関の遅延等による遅刻は避けられないことです。
設定時間とのズレについては、介護保険に定められている明確な規定はありません。
利用者・事業所・ケアマネジャーに、報告をおこないましょう。
訪問介護に関するQ&A
訪問介護の仕事をしたいと思ったときに、気になりやすい内容について5つ紹介します。
- 訪問介護ヘルパーになる最短ルートを知りたい
- 訪問介護は無資格でもできる?
- 訪問介護ヘルパーの身だしなみは?
- フリーランスや個人事業主として働ける?
- 訪問介護のよくある悩みは?
なかでも、身だしなみの悩みは多くの訪問介護員が直面する疑問です。
それぞれ確認して、働きやすい環境を整える一助としてください。
Q1.訪問介護ヘルパーになる最短ルートを知りたい!
A.資格の取得により、訪問介護員に必要な知識を身に着けることが最短ルートです。
働きながら資格の取得を目指すか、無資格で働ける内容の業務のみに対応した事業所を探しましょう。
▼最短ルートに関しては、以下の記事をご参考ください。
>>介護ヘルパーになるには?最短ルートを解説【必要資格や業務内容も】
Q2.訪問介護は無資格でもできる?
A.基本的に、訪問介護ヘルパーは「無資格」で働けません。
ただし、生活援助だけの場合は、資格がなくても働けます。
その代わり、対応できる業務が少なくなり、手当も出ないので給料面に不安が残る人はいるでしょう。
少しでも待遇面がよい事業所で働くためにも、介護職員初任者研修の受講をおすすめします。
▼関連記事はこちらから。
>>介護ヘルパーは無資格でもできる!業務や取っておきたい資格を解説
Q3.訪問ヘルパーの身だしなみは?
A.訪問介護員として働く場合は、清潔感があり、まとまりのある身だしなみを心がけましょう。
ピアスや、長い爪は利用者の身体を傷つけてしまう危険があります。
また、高齢者は皮膚が薄く傷がつきやすい人もいらっしゃるため、細かい部分まで配慮しましょう。
▼身だしなみに関しては、以下の記事にてまとめています。
>>訪問ヘルパーの服装・身だしなみは安心・安全が鍵!好印象を与える見た目とは?
Q4.フリーランスや個人事業主として働ける?
A.働き方改革が福祉業界にも及んでおり、フリーランスや個人事業主としても働けます。
介護職の処遇や労働環境は、厚生労働省により整いつつあります。
厚生労働省は介護労働者の雇用について、処遇改善や労働環境の改善を求めている背景もあるほどです(介護労働者の雇用|厚生労働省)。
▼詳しくは、以下の記事を参考にしてください。
>>介護ヘルパーがフリーランスになる方法を解説【メリット・デメリットも】
>>【個人事業主・起業】介護ヘルパーが会社に依存せずに自由に働く方法【登録ヘルパーや個人契約についても!】
Q5.訪問介護のよくある悩みは?
A.訪問介護での悩みの多くは、人間関係に関することです。
人と関わる仕事のため、利用者本人・ご家族・職場との人間関係は避けて通れません。
コミュニケーションが苦手な人は、働きにくさを感じることがあるでしょう。
▼詳しくは、以下の記事を参考にしてください。
>>訪問ヘルパーの悩みあるある3選!解決策についても紹介
まとめ:訪問介護の仕事を始めてみよう
本記事では、訪問介護についてさまざまな観点から紹介しました。サービス内容・給料・トラブル事例等は、事前に知っておくことで安心感が持てますね。
常に人材難の介護業界ですが、処遇改善加算といった待遇面の改善が進められて、徐々に働きやすくなっています。
在宅生活で、介護サービスが必要でも利用できない人が少しでも減ると嬉しいです。
ぜひ、訪問介護の仕事を始めてみましょう。