訪問介護モニタリングとは?意味や書き方を徹底解説
「事務作業が苦手だから、モニタリングと聞いただけで苦手意識が出る」
「モニタリングって難しそうで、できれば避けて通りたい」
介護の仕事は好きだけど、事務系の仕事は苦手という人は多いですよね。
訪問介護員の業務の1つとして、利用者さんの経過状況を記述して共有する必要があります。モニタリングのためには、細かい状態を観察しなければならず、不安に感じるケースが多いでしょう。
そこで今回「みーつけあ」では、訪問介護のモニタリングについて、日々の業務におけるポイントから記載方法まで紹介します。
モニタリングを理解して、苦手意識を克服し、介護員としてステップアップしましょう。
1.訪問介護のモニタリング作成の流れと内容
モニタリングとは、介護計画の進捗状況の確認のことです。介護サービスに定められたとおりに、おこなわなければなりません。
まずは、基本の流れを以下に分けて紹介します。
- ケアプランの確認
- 訪問介護計画の確認
- 日々のケース記録
- 月まとめ
- モニタリングとサービス担当者の関係性
モニタリングを怠ると、介護報酬を返さなくてはならない可能性があります。
利用者さんが介護サービスを利用し続けられるためにも、モニタリングを正しく理解しましょう。
流れ1.ケアプランの確認
利用者さんに提供する介護サービスが決まったら、ケアマネジャーが作成したケアプランを確認します。
ケアプランは、利用者さんの希望・課題・目標・週間計画で構成されています。
全体的な課題や他に利用しているサービスまで理解でき、何を支援するべきかを判断できる基準の1つです。
また、ケアプランは、利用者さん本人でも作成できます。
ただし、自己ケアプランの場合は、ケアマネジャーが付いていないので注意しましょう。
ケアプランでおおよその支援内容が理解できたら、次は訪問介護計画の確認です。
流れ2.訪問介護計画の確認
ケアプランを確認したのち、訪問介護事業所のサービス提供責任者が、事業所の訪問介護計画を作成します。
訪問介護計画はケアプランに沿った形で、課題に対して目標を立て、どのように介護するのかという内容で作成しましょう。
介護計画は、介護方法の統一や利用者さんの見立ての共有にも必要です。
内容に沿った方法と違う介助方法で訪問介護をしていると、適切なモニタリングはできません。
適切なモニタリングのためにも、訪問介護計画を確認して介護をおこなうことは、とても大切です。
流れ3.日々のケース記録
日々のケース記録に記入する内容は、大きく分けて2種類あります。
1つ目は、日々のモニタリング記録です。
訪問介護計画の目標や課題に対して、介護した結果どうだったのかという内容です。
また、利用者さんの身体状況や精神状況の変化も記録します。
2つ目は、特記事項の記録です。
- 利用者さんの体調がすぐれない
- 皮膚状態や精神状態がいつもと違う
- 眠そうにしている
こうした、いつもと違う状態があれば記録に残します。
現場の最前線で介護をしている訪問介護員は、重要な情報を確認しやすいです。
大きな怪我や、あざを発見したときは、とくに注意が必要になります。
検討の結果、必要性に応じてケアプランや介護計画変更として反映されることもある大切な記録です。
流れ4.月まとめ
月まとめでは、ケアプラン・介護計画に沿って介護サービスを提供して、記録に残す業務を積み重ねます。
1ヶ月積み重ねた結果を、月まとめとして目標ごとにまとめましょう。
月まとめの効果は、1ヶ月のケース記録を繋ぎ合わせて、相対的に利用者さんの状態を把握できることです。
先月、3ヶ月前、半年前などと、比較して検証できるのも利点です。
- 今月は何回失禁があった
- 拒否された日が出てきている など
こうした細かい身体面や精神面の変化が、まとめると見えてきます。
ケアマネジャーには、月まとめを状況報告として提出する事業所もあります。
【補足】モニタリングの頻度は?
介護保険上、定められたケアプランのモニタリングは、ケアマネジャーが利用者の自宅を訪れておこないます。
そして、ケアマネジャーのモニタリング作成時に、訪問介護計画の毎月のモニタリングである月まとめの内容も反映されます。
モニタリング頻度は、要介護者なら月に1回、要支援者の場合は3ヶ月に1回以上の実施が必要です。
サービス開始後は1ヶ月後、その後は3ヶ月に1回程度の頻度で、ケアプランのモニタリングをおこないます。
流れ5.モニタリングとサービス担当者の関係性
利用者さんの介護サービスの追加や、ケアプランの更新、変更の前に、ケアマネジャー主導でサービス担当者会議をおこないます。
参加者は、「利用者さん・ご家族・介護サービス担当者・医療関係者等」です。
モニタリングの結果から、ケアプランの検討をします。
必要に応じて、サービスの変更や追加の検討もされる重要な会議です。
2.モニタリングを怠ると減算もあり得る
モニタリングの記録は、実地指導で確認される資料です。
実施しても、記録が保管されていなくて確認できないと指導対象になります。
指導が入っても改善されない場合は、介護報酬の減算や返戻になることもあるでしょう。
せっかく行った介護サービスに対して、減算や返戻があると収入減・事務手続きの負担が重なります。
結果として、事業継続に支障をきたすことになりかねません。
日々の大変な業務に追加して、さらなる負担が発生しないよう管理が必要です。
利用者さんごとに、見やすく保管しておきましょう。
参考:実地指導の結果を踏まえた留意事項等に ついて(居宅介護支援)
3.モニタリング記載方法・例文・内容例
モニタリングシートには、決まった書式がありません。
事業所で使用している介護ソフトや、使いやすい書式をインターネットからダウンロードして使いましょう。
しかし、利用者さんの様子に大きな変化がある場合は別として、同じようなことを毎月書くのも気が引けますよね。
こうした場合は、日々の記録に些細な変化も記録しておくことで解決します。
人の生活は、毎日同じ様子ということはありません。
日々の記録をしっかりとまとめられれば、同じ内容のモニタリングだとがっかりしなくなります。
モニタリングシートに関する以下3つの例を押さえて、継続して記述できるようにしましょう。
- 記載方法
- 記載内容
- 例文
それぞれ、わかりやすく紹介します。
(1).記載方法
モニタリングシートの上段には、利用者名・事業所名・担当ケアマネジャー名・実施日を記載します。
内容としては、サービス実施状況・利用者や家族の満足度・利用者生活状況や心身の変化・計画変更の必要性の項目に沿って記載します。
(2).内容
続いてサービス提供を、どのようにおこなえたかを記載します。
- 計画通りにおこなえた
- ほぼ計画通りにおこなえた
- 計画通りにおこなえなかった
このような項目があれば、チェックするだけなので事務が簡素化できます。
計画通りにおこなえた場合以外は、特記事項にその理由を記載します。
次に、利用者や家族の満足度の記載内容です。
提供している介護サービスに満足しているか・いないかという項目です。
満足度もチェック欄を作り、確認後に満足度をチェックすると業務が簡素化できます。
満足度の場合は、どちらの回答でも理由を記載すると、今後のサービスの検討につながります。
(3).例文
具体的な内容と、先月との比較がポイントです。
服薬の例 | ご自身での服薬管理は難しいようです。お薬カレンダーを使い、訪問介護員の声掛けと見守りで服薬をおこなえています。 |
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入浴の例 | 先月より、浴槽をまたぐ際に足の上りに不安を感じています。転倒防止のために、浴槽をまたぐ際は介助いたしました。 |
排泄の例 | 尿パットを使用していますが、トイレに間に合わないことがあります。失禁量が多いときは、下着の交換の介助をしております。ご自身が不安なため、リハビリパンツに変更したいとのお話がありましたが、さらなる機能低下が心配なため、関係者で検討したいと考えております。 |
状態変化と、サービス担当者での検討事項も盛り込むとチームケアとしてよいですね。
4.訪問介護計画のPDCAとは
PDCAとは、PLAN(計画を立てる)・DO(実施する)・CHECH(評価)・ACTION(改善)のサイクルの事です。
訪問介護計画も、PDCAのサイクルによって実施されます。
- 計画の立案
- 介護サービスを提供
- モニタリングにて評価
- 計画変更を含めた改善
改善の後は、再び計画立案となり、このサイクルを何度も繰り返します。
サービス提供責任者一人では難しいため、訪問介護職員も参加して情報を積み重ねる必要があります。
まとめ:訪問介護のモニタリングで支援の質を高めよう
訪問介護のモニタリングについて、わかりやすく紹介しました。
モニタリングに慣れない人には、苦手意識の出やすい用語ですよね。
たしかに、訪問介護事業所での計画やモニタリング記録の作成者は、サービス提供責任者の役割です。
しかし、「現場の仕事ではない」と思わずに、日々の介護記録でチームケアをおこないましょう。
モニタリングの書式や記入方法、記載例まで紹介しましたので、明日からの介護業務に活かしていただけたら幸いです。